不動産トピックス
ビルオーナーのための建築・設備最新情報
2007.02.19 11:12
<老朽老化対策>エービーシー商会 高浸透ひび割れ接着剤「RCガード・ei」 塗るだけで簡単にコンクリートのひび割れを補修
エービーシー商会(東京都千代田区)は、コンクリートのひび割れに刷毛やローラー刷毛で塗布するだけで、接着・閉塞する塗布型浸透性ひび割れ接着剤「RCガード・ei」(アールシーガード・イー)を開発した。
コンクリートに発生するひび割れは、構造物の美観を損ねるだけではなく、酸性雨や大気中の炭酸ガスの浸入口となり、鉄筋の腐食を誘発する。よって、コンクリート構造物を長期にわたり使用するためには、ひび割れの補修が重要である。
通常の樹脂注入工法での補修では、注入口の取り付けや養生など作業工程が多く、工期や人件費がかさむ傾向にあった。しかし従来の注入工法で2〜3日かかる現場の場合、「RCガード・ei」は刷毛やローラー刷毛で接着剤を塗り重ねるだけなので、1日で完成する。したがって工期短縮およびコスト削減が可能となる。
また、「RCガード・ei」は毛細管現象を活用しているため、ひび割れ内部まで深く浸透。樹脂注入工法では難しかった0・2㎜以下の微細なひび割れも浸透・接着させる。天井面に塗布しても液だれの心配はない。
「RCガード・ei」は1ケース基材6L・硬化剤3Lのスタンダードタイプで8万円(税別)となっているが、その他用途に応じて少量タイプも発売されている。
竹中工務店 「ブロードバンド制振R」を銀座の商業ビルに初採用 大地震から風による小さな揺れまで1つの装置で制振・居住性向上
竹中工務店(大阪市中央区)は、強風による小さな揺れから大地震による大きな揺れまで、1つの装置で制振できる「ブロードバンド制震R」システムを開発し、東京都中央区銀座で開発中の商業ビル「デュープレックス銀座タワー5/13」(事業主・リテックコーポレーション)に初めて採用した。
大地震時の建物の揺れと小地震や強風による揺れでは約100倍の振幅差があるため、従来は大小の揺れに対してそれぞれ別の制震装置を設置する必要があった。「ブロードバンド制振」はこれを一体化し、大小の揺れに対する制振性能を確保することが可能。1つの装置に統合することで、省スペース、短工期、設置費用の低減が可能となった。
「ブロードバンド制振」は、大地震時に効果を発揮する鋼材ダンパーと、小振幅の揺れに効果を発揮する粘弾性ダンパーを直列に結合したもの。鉄骨造で風などによる揺れの影響を受けやすい、アスペクト比(建物の高さ/幅の比率)の高いスレンダーな建物では、同システムの採用により居住性を向上させることができる。
「デュープレックス銀座タワー5/13」は地上13階と高アスペクト比の商業ビルで、今年4月竣工予定。今回2〜7階の各階に同システムを採用した。強風等による小振幅の揺れを二分の一に低減、大地震時の大きな揺れに対しては、通常の制振ブレースと同程度の制震効果を確保している。
松下電器産業 高精度の暗部補正機能を搭載した監視カメラ発売特別な電源工事も不要で業界最高クラスの高画質
松下電器産業パナソニックシステムソリューションズ社(神奈川県横浜市)は、カラーテルックカメラWV―CP10シリーズを2月15日に発売した。
同社はこれまでにも独自のカメラ技術で高画質シリーズを展開しており、今回のWV―CP10シリーズは、新開発の高性能DSP(デジタルシグナルプロセッサー)を搭載した固定設置型監視カメラで、高精度な暗部補正を実現する「適応型暗部補正機能」により、明るい部分のコントラストはそのままに、陰や暗い部分のみをリアルタイムで階調補正する。そのため、明るい部分の白飛びを抑えながら、陰や暗い部分の黒つぶれを大幅に低減し、自然で違和感のない画像を実現する。
さらに、普及型モデルとしては業界最高クラスの水平解像度540TV本以上(カラー)を実現。鮮明な画像により、不審人物の服装などの細部も判別しやすくなった。また、カメラ電源の供給と映像・音声信号の伝達を1本の同軸ケーブルで行う「VP多重方式」(電源重畳式)の採用により、テルックモニターや専用カメラ駆動ユニットにつなぐだけでシステム構築が可能。電源工事が不要なことも優れた特長のひとつとなっている。
戸田建設/西松建設 天井落下による設備被害等防止 機器や配管レイアウトの自由度も向上
戸田建設(東京都中央区)と西松建設(東京都港区)が共同で「制震天井システム」を開発した。今回開発された「制震天井システム」は、地震時において天井落下による機器・製品および建物・設備などの被害を防止し、継続使用が重要な生産、医療施設などのBCM(事業継続管理)対策の一環として開発したものである。
本システムは制振ダンパー(粘弾性体ダンパー)を使用した制震天井で、地震時の過大な変形を抑制して壁への衝突を回避し、天井の損傷や落下を防止する目的で開発された。また、天井内にブレース材を設置する必要がないため、設備機器や配管などのレイアウトの自由度が向上する。更に、制振ダンパーを取り付ける際、現地でより容易に取り付けることが可能な施工法となっていることも特徴の一つに挙げられる。
コストは従来工法の天井に比べ、IT関連工場において必要な部分(全体の10%程度)に採用した場合、全体工事金に対し多少の増加がある程度。継続使用が強く要求される施設や、人名保護・資産保全などを主な目的とした一般建築物にも十分適用可能なシステムとなっている。
<注目の新技術>大成建設 超高強度コンクリートのプレキャスト化に成功 超高層集合住宅で採用 日本で初めての試み
大成建設(東京都新宿区)は日本で初めて設計基準強度150N/m㎡の超高強度コンクリートのプレキャスト化を実現し、東京都港区で施工中の超高層集合住宅(赤坂四丁目薬研坂南地区第一種市街地再開発事業)で本格的に適用することとなった。
超高層集合住宅では、低層階から高層階まで柱の大きさを同程度に保ち、かつ本数を低減することでフレキシブルな居住空間を確保することが可能となるように、超高強度コンクリートの採用が増大している。
大成建設では10年前に設計基準強度100N/m㎡級の超高強度コンクリート技術を確立して以来、この分野の開発に力を注いできたが、今回のプレキャスト化はこれまで培ってきた同社の技術を千葉県にある同社のプレキャストコンクリート製造工場で実現したもの。これにより一貫した品質管理体制のもとで部材を製造し、実際の現場に適用することが可能となった。
今回のプレキャスト部材は、主に柱や梁および柱・梁接合部等で、これにより型枠材の軽減による産業廃棄物の削減など、環境保護に貢献すると共に、基準化したメリットを生かした生産性の向上、および工期の短縮などによりローコスト化も可能となる。
今後はプレキャスト工場を自社所有する優位性を発揮し、各種部材の政策に際して設計段階から関連部門との連携を深め、品質の安定したプレキャスト部材を製造することで工業化工法を推進し、超高層RC技術の高度化を図っていく方針だ。
日本ヒューレット・パッカード 消費電力と空調コストを削減 オーバーヒートによるシステムダウンリスクも低減
日本ヒューレット・パッカード(東京都千代田区)は、企業のIT部門やサービスプロバイダの持つデータセンタで深刻化する消費電力と空調コストを削減し、オーバーヒートによるシステムダウンのリスクを低減する新サービス「HPスマート・クーリング・ソリューション」の提供を開始した。
日本HPはIT事業で増大する電源と冷却コストの問題を解決するため、パワー&クーリング技術の開発に積極的に取り組んでいるが、今回発表されたデータセンタ向け冷却ソリューション「HPスマート・クーリング・ソリューション」はその一環として、データセンタで深刻化する消費電力総量と単位面積当たりの電源密度の急激な増大と、それに伴う排熱・冷却コストの増加やオーバーヒートによるシステムダウンのリスク解決を提案するもの。このようなソリューション提供は国内コンピュータベンダーとして初の取り組みとなる。
適切なラック配置と空調設備の配置による冷却効率改善を行うことにより、空調が占める電力コストを30%程度削減し、IT機器の電力コストを33%と同程度に抑えることが可能である。提供価格は基準として、500㎡程度のスペースの既存データセンタ向き「サーマル・アセスメント・サービス」導入で400万円〜となっている。