不動産トピックス
クローズアップ アスベスト対策編
2007.04.02 17:07
ビルの建て替えや増改築の際に頭を悩ますのがアスベスト問題。有害性は世間一般に広く認識されており、放置しようものなら訴訟沙汰にも発展しかねない。現在ではアスベスト除去事業に参入する業者も増加し、依頼先の選定が難しくなっている。今回は3社の技術を取り上げ、その特徴を紹介する。
リサイクルワン 電子取引市場を活用した環境ビジネス 最適業者の選定でアスベスト対策を安価に
リサイクルワン(東京都渋谷区)は、インターネット上の電子取引市場のネットワークを活用し、廃棄物・リサイクル対策、環境デューデリなどを展開する。環境課題に関するメニューとしては、アスベストをはじめとし土壌汚染、PCB・フロン、CO2削減などにワンストップで対応。環境関連企業約1500社とのネットワークを有するため、顧客が抱える問題の最適な解決策を提示することが可能だ。
「アスベストに関しては、統一フォーマットによる簡易調査から本格的な調査、除去工事まで対応。電子取引市場を通じて最適業者を選定します」(取締役本田大作氏)
昨今、アスベストの調査や除去工事への依頼が増え、業者によっては順番待ちにより、アスベスト調査・分析、除去および封じ込め工事完了までに長時間を有するケースが発生しているが、同社の場合は、中部電力が特許を持つ簡易型アスベスト判定試薬『アスベストワカール』による簡易診断を行うことによって、他社に依頼した場合一般に2カ月程度かかる分析結果を、わずか1〜2週間程度で提示。その後の対処方法まで提案する。
「当社は『インターネット』、『最新の技術』、『先端の情報』を組み合わせることで、顧客にとって最適な環境対策の実現をサポートします。アスベスト除去工事具体例を上げると、ある総合病院の場合、当初の2000万円の見積を1200万円まで削減しています」(本田氏)
浦賀興業 グローブバッグ工法による工事提案 アスベストのみを密閉手間とコスト負担低減
米軍施設のアスベスト除去作業も行うなど、技術力に定評がある浦賀興業(神奈川県横須賀市)は、アスベストを作業員から隔離し、除去を行う「グローブバッグ工法」による安全かつスピーディなアスベスト除去工事を行っている。
同社が行うグローブバッグ工法は、アスベストを含有する配管保温材などをグローブバッグと呼ばれる透明の袋で密封し、作業員とアスベスト付着箇所とを隔離する。このグローブバッグには、上腕まで入る長手袋状のくぼみがあり、作業時は外側から腕を入れてアスベスト除去を行う。
通常のアスベスト除去作業の場合、部屋全体を密閉する必要がある。これに対し、アスベスト含有箇所のみを密閉するだけで済むグローブバッグ工法は、コストおよび手間が大幅に削減できるというメリットがある。
同社工事部の角康太郎氏は「当社は元々解体工事業者であるため、建物の解体からアスベストの除去まで一貫して受注することができます。依頼する側にとって、複数の業者に発注する手間が省ける上に、こちらも解体工事の流れの中でアスベスト除去に取り掛かることができるので、コストは解体とアスベスト除去を別々の業者に依頼するより低価格で提供することができます」と語る。
アスベスト除去の費用は、もっとも飛散の危険性が高いレベル1作業で、1㎥あたり1万5000〜3万円(作業箇所の規模により変動)だという。
新和環境 建設技術審査証明取得でアピール アスベストを安全に最終処理
新和環境(東京都新宿区)は、吹き付けアスベストの除去工法「S・D工法」の建設技術審査証明を、国土交通省の外郭団体である(財)日本建築センターから取得。アスベスト処理の技術・安全性が評価されたことを、一つのアピールポイントとしている。
年間の処理量は、5万㎡。処理量は東京では現在がほぼピークと見ている。しかし、地方はまだまだ処理量が増えると見ており、今後は地方への進出を見据える。事前調査から、諸官庁への届出、産業廃棄物の処理、環境調査、修復工事まで一連の作業を実施する。このうち、産業廃棄物の処理に関しても強みがあるという。
同社は、以前より産業廃棄物の事業を行っているため、特別産業廃棄物のアスベストを処理するためのネットワークを有している。最終処分場の数が限られているため、一部では不法投棄や放置などの問題も出ているが、同社では適正な処分が可能だ。
「これまで築いてきたネットワークにより、円滑なアスベスト処分が可能です」(新和環境環境改善工事部部長代理小笹浩氏)
なお、飛散性アスベストでは最終的に埋め立て処理を、非飛散性アスベストでは管理型か安定型最終処分場で埋め立て処理しているという。