不動産トピックス

商業ビル最前線

2007.07.02 15:33

ナポリビルディング 益還元法で価値の高い物件に 京阪神に12棟のレジャービル競合少ないがリーシングで苦労氏収
 飲食店やクラブ、バーなどが入居するレジャービルは、独自の経営ノウハウが必要である。大阪市を中心に、京阪神エリアで12棟のレジャービルを保有し、運営するナポリビルディング(大阪市北区)の高田慎治代表取締役に、レジャービルの利点を聞いた。
高田 当社は設立当初、物件をサブリースして店舗を経営していました。店舗数を増やし、ある程度体力がついてから土地を購入し、ビルを建てました。現在は京阪神エリアの繁華街などに、計12棟のレジャービルを経営しています。経営するレジャービルは、50坪から大きいもので200坪。地上5階から10階の規模まで様々です。
―物件を購入する際に重視することは
高田 条件があうものであれば購入し、他人に任せず我々の手でレジャービルとしてプロデュースします。購入の条件は利回りです。12%以上の物件を購入するようにしていますが、プロデュースすることにより、13%から15%に上がります。3、4年前まではビルの性質上、金融機関からの融資を受けにくかったのですが、収益還元法により、それまで固定資産として評価されていた不動産が、利回りに基づき評価されるようになりました。当社の保有するレジャービルの平均利回りは現在15%、5、6年前は20%以上。マンションなどの利回り8〜9%と比較すると、非常に価値の高い物件で、融資を受けやすくなっています。
―景気の影響で、利回りが上下することなどは
高田 たしかに、レジャービルは嗜好品を提供する場ですので、景気の動向に大きく左右される特徴もあります。景気が上向きになってきたときも、一呼吸置いてレジャービルはその恩恵を受けます。景気が下降するときは一緒に影響を受けるため、好景気の恩恵を受ける期間が短い。ただ、競争相手が少ないという点が、オフィスやレジデンスに比べ有利に働いています。
―なぜ、レジャービル経営は、競争相手が少ないのでしょうか
高田 通常のテナントビルですと大資本に太刀打ちできませんが、専門的な管理が必要なレジャービルでは大手企業は手を出したがりません。確かに、水漏れや停電などのトラブルが夜中に起き、メンテナンスも夜中になってしまうということもあります。個人経営の方も、管理の大変さから諦めてしまうようです。
―レジャービルを経営するにあたり、一番重要なこととは何でしょうか
高田 リーシングです。秘訣はなく、地道に営業を行っています。京阪神エリアのレジャービルリーシングに強い仲介業者がいないものかと情報を集めています。経営上の悩みは、この一点につきるでしょう。

タイムクリエイト リピーター率は80%の人を呼ぶSC 日常の延長にある気軽さが人を呼ぶ イベントは手作りで年間700回以上開催
 JR亀戸駅より徒歩1分、平成5年に誕生した地元密着型SC「亀戸サンストリート」は、開設から今日に至るまで確かな顧客をつかみ、人の流れが絶えない施設だ。
 同地には以前、セイコーグループのウォッチ製造部門の工場があったが、移転に伴い土地の有効利用が考えられた。当時は先行きが不透明ということもあり、投資額をおさえ柔軟に用途変更可能な施設を開発することとなった。その施設が「亀戸サンストリート」であり、そうした背景から同SCを日常レベルで使いやすい施設とした。
 同SCは地上2階建てで延床面積は3万7855㎡。中央部分に人が集い憩う広場が設けられている。容積率いっぱいにハコを作り、買い物をするだけの場所だった当時のSC業界の中ではめずらしい設計だ。
 下町の商店街と公園を兼ね備えた空間が作り出されており、「玄関より一歩足を踏み出したらそこにある」という身近さから、日中は保育園帰りの父母が憩い、休日は家族連れで賑わうという、買い物以外でも人が足を運ぶ施設となった。
 PM業務を行うタイムクリエイト(東京都江東区)は日々ソフト面での充実も図る。
 「現在は年間700回以上行っているイベントも、我々が9割プランニングしています。現場の人間が来場者の反応を見ながら徐々に作り上げていきました。パフォーマーや歌手は自分たちで探しましたし、イベントを開催し人が集まることにより、皆さんも『あそこは賑わっている』と認知してくれるようになります。それが、さらに人を引きつけるようになります。キャラクターショーは特に人気で、一日で2、3000名集まります」(会田氏)
 「日常+半歩」という、日常的な気楽さとイベントなどのサービス機能を上手く組み合わせることにより、今日までこれほど人をひきつける空間となった。リピーター率は実に80%とのことだ。
 7月4日、静岡県浜松市北浜区に開発中の「サンストリート浜北」がオープンする。「楽しいショッピングセンター」をコンセプトとした長時間滞在型SCで、西友、12のフードコート、35店の専門店街、天然温泉、シネコンより構成。屋外型イベント広場も設置し、多彩なイベントを計画中。

三井不動産 東北地方初となる三井不のアウトレット 
 三井不動産(東京都中央区)は、仙台港背後地土地区画整理事業施行地区内の宮城県所有地にて、「(仮称)仙台港アウトレットパーク」の開発を推進しており、6月28日に同計画概要が決定した。今年3月に仙台市が実施した「みなと仙台ゆめタウン仙台港背後地センター地区事業提案募集」において同社の計画提案が当選。広域集客施設の「アウトレット」と地元集客施設としてカインズホーム(群馬県高崎市)の「ホームセンター」を核に、交流拠点を設けるなどして、地元から広域まで幅広い集客を図る。
 所在地は仙台市宮城野区中の敷地面積9万2000㎡。JR仙台線「中野栄」駅より徒歩8分、仙台東部道路「仙台港北IC」から約500mと交通利便性が高い。施設規模は地上3階建て、延床面積は3万4000㎡、店舗数は約80店を予定している。平成19年11月に着工を予定し、平成20年秋のオープンを目指す。

近鉄グループ 四日市駅周辺の商業施設を順次リニューアル
 近鉄グループでは、「近鉄グループ経営計画(平成18年度〜平成21年度)」において、コア事業の基盤強化の一環として、JR四日市駅周辺にある近鉄グループの商業施設を順次リニューアルし、駅周辺の活性化を目指す。
 6月19日には中核施設である「中部近鉄百貨店四日市店」低層部分のリニューアルを実施。同百貨店はこのリニューアルにより、プレステージ・ベター商品の導入と、三重県内のオンリーワンショップを集積し「地域に生きる百貨店」を構築していく。投資額は24億円。店舗構成を移転増床もしくは新商品などを導入し、またユニバーサルデザインを意識し設備面での整備を図る。リニューアルオープンは平成19年11月を予定。
 また、百貨店北側にある歩行者通路(ふれあいモール)に面する飲食店モール「グルメパーク」も、一部に物販店を導入し回遊性を高めるとともに、昭和60年整備当初の外装を一新し、店舗構成を再構築する。平成19年7月リニューアル工事を着工し、11月に北側を、平成20年3月に南側をリニューアルオープンする予定だ。

三菱地所 天然温泉とフィットネスがコラボするテナント入居
 三菱地所(東京都千代田区)が港北ニュータウン中央地区(神奈川県横浜市都筑区)において開発を進めている複合商業施設「港北MINAMO(みなも)」のグランドオープンが、7月20日に決定した。
 所在地は横浜市都筑区中川中央二丁目、横浜市営地下鉄4号線「センター南」駅および「センター北」駅から徒歩5分、主要幹線道路に面しており、交通利便性に優れた立地にある。敷地面積は1万6919㎡、建物は地上6階塔屋1階、延床面積は6万4017㎡(駐車場含む)。「健康・やすらぎ・賑わいを提供する」ことをキーワードに、22店舗から構成されている。
 目玉のテナントは港北ニュータウン随一の天然温泉本格スパ「港北天然温泉SEASONSPA」。フィットネスクラブ「東急スポーツオアシス」とのコラボレーションがはかられている。
東芝不動産 ファミリーからお年寄りまで楽しめるフィットネスが目玉
 6月28日、神奈川県横須賀市「よこすか海辺ニュータウン」内において、複合商業施設「ヴィスポヨコスカ」がオープンした。同事業は東芝不動産(東京都港区)が「よこすか海辺ニュータウン」内に所有する土地に複合施設を建設。東急不動産(東京都渋谷区)がプロジェクトマネジメント業務を受託し、事業の企画・推進・テナント募集を行なってきた。今後は東急不動産がマスターリース契約による施設運営管理を実施する。
 敷地面積約5000㎡。建物規模は地上6階、延床面積は1万9697㎡。フィットネスクラブ、物販店、飲食店舗などが入居し。中核店舗は、最大級のフィットネスクラブ「東急スポーツオアシス横須賀店」と、大型スポーツ専門店「スーパースポーツゼビオ」。その他にもファミリー層を中心に人気のある物販店や飲食店などで構成し、地域密着性の高い複合商業施設となっている。




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