不動産トピックス
クローズアップ 防水特集編
2007.09.17 17:03
屋上やベランダ、壁から浸入する雨水に驚いたことはないだろうか。いくら外観や設備に注力しても、漏水で電気機器を故障させたり、テナント側の業務に支障を及ぼすようではビルの価値は下がる一方である。そこで今回は、水害が起きやすいとされるこの時期を背景に防水を特集する。
エスジー 丁寧な漏水調査で追究コスト削減に寄与する 強い防水特集防水性と耐衝撃性が躯体を守る
改修専門会社のエスジー(静岡県沼津市)が提供する防水工事は、その事前調査に特長を持つ。依頼によって組まれたチームは、ゴンドラに乗る班と、内部で浸水状況を把握する班に分かれ、トランシーバーで連絡を取りながら漏水箇所を1つ1つ丁寧に確認していく。使用するゴンドラは同社開発のもので、複雑な構造の壁面にも対応する。
ゴンドラに乗るメンバーは、外壁にまんべんなく高圧の水を吹き付け、内部に浸水してきた箇所をくまなくチェック。半日から1日をかけて漏水調査を行う。職人の目が届きにくい場所や狭いスペースには、専用のCCDカメラを用意し、モニター監視を行いながら、小型のロボットや伸縮性のある竿を使用した監視器具で確認する。
「この事前調査により、必要のない塗装を省くことが可能となります。それによって効率も上がり、コスト削減につながります」(取締役会長鈴木荘大氏)
漏水調査を行った上で塗布するのは、同社が開発した塗料「SG―2000」である。この塗料は強い防水、防汚性を持ち、ミクロのガラス繊維が高い強度を保持する。
レオン工業 資格取得奨励で施工品質の向上に努める 同構造の建築物でも施工ケースは千差万別
レオン工業(東京都新宿区)には熟練した職人が約15人所属し、ウレタンやFRPなどの技能士資格を全員が3つ以上保有している。同社の代表取締役である渡辺光氏は防水施工技能検定委員の1人でもあり、業界において施工品質の維持及び向上が課題であると考えているため、同社では資格取得の奨励を行っているという。
「資格を持つからといって、達人というわけではないかもしれません。しかし、車の免許と同じように、学科及び実技試験をパスした職人の質は、ある一定の水準以上と考えています」(渡辺氏)
技能士検定を受けるためには、1級で7年以上の実務が必要とされており、平均60%の合格率のため、熟練した職人でも必ずしも受かるというものではない。カバー工法と呼ばれる工法で施工する場合、ポリエチレン系の下地をメカニカルアンカーと呼ばれる機材で打ちつけ、その上からウレタンを吹き付ける。以前に施工した例には、4棟が連なる団地の防水施工を行ったケースがある。構造はほぼ同じでも、建築物の環境が1つずつ異なるため、防水施工は建物によって千差万別なのだ。そのため、施工には技術が必要となる。
大泰化工 下地の動きに追随する柔軟性が断裂防ぐ シームレスな仕上がり 外観を損ねないカラー
大泰化工(大阪府摂津市)が開発した防水材「コンパック」を使用する「コンパック工法」は、屋上防水をはじめプールやバルコニーなど広範囲に渡って施工されている。
耐摩耗性及び耐衝撃性に優れ、つなぎ目がないために防水層が軽量である。また、超軟質防水用樹脂を使用するため、下地の動きに対応し、断裂が起きにくい。
「もともとは船舶などにも用いられたように、高い防水性と柔軟性に特長があります。阪神大震災が起こったときにも広く知られたように、飲料水や消火用水がいざというときに使用できなければ、肝心の設備の意味がありません。断裂が発生しにくい『コンパック』は、そのような貯水槽などにも使用されています」(販売本部取締役本部長相葉利博氏)
この工法では、下地材の上に防水用ガラスマットを敷き、塗料の「コンパック」を染み込ませて仕上げる。テスト素地では折り曲げても割れることなく、弾力性が高いことが実証された。また、様々なカラーを用いることができ、シームレスタイプのため美観性を損ねないという。そのため、美術館や公共施設など様々な建築物で採用されている。