不動産トピックス
クローズアップ 台風対策編
2007.09.24 10:11
今年も台風の季節が到来した。近年、大型化する台風には、洪水や飛散物によりビルも大きな被害を受けやすい。吸水バッグやガラスフィルム等を利用し、日頃から対策を講じておくことが重要だろう。今回は、このような台風対策製品を紹介する。
旭硝子ビルウォール 高層・低層を問わず設置が可能 独自の楕円形状により風きり音の発生を防ぐ
ビルの外部に設置されている空調設備などを目立たなくしたり雨や飛来物から守るために、ルーバーが使用される。しかしビル風などの強風によってこのルーバーから風きり音が発生する場合がある。
台風による被害を想定し様々な対策をビルの施したとしても、この風きり音には無防備なビルも多いのではないだろうか。
旭硝子ビルウォール(東京都文京区)が開発した「エアロルーバー」は、この風きり音を効果的に防ぐことができる。
通常、ルーバーによる風きり音の大きさは、同じ風の強さであっても風向などで大きく変わる。そのため同社では風洞実験装置を使って様々なケースで実験し、形状や部材の研究を行っている。
同社によると、そもそも風きり音はフレームの間を流れる風の圧力流動により生じた「渦」が原因と考えられているという。同社ではこの「渦」による風きり音を防ぐ為には楕円形状がゆうこうであることを発見。それをルーバーに採用することで音の発生を抑制する事ができた。
ビル風は中小規模のビルであっても発生する。また、台風などは高層か低層かに関わらず、すべてのビルに強風を吹き付ける。そこで同社では、中・低層用のエアロルーバーも開発し、規模の大小を問わず対応できるようにしている。近年、ビル風の問題は訴訟問題にまで深刻化する傾向があり、特に強風により騒音はトラブルになりやすい。台風だけでなく、普段からのトラブル防止として活用したい。
メイコー・エンタープライズ 独自のシート化技術で吸水性向上 キューブ状に膨らみ隙間なくす 消防庁との技術提携で性能の高さ照明
土嚢(どのう)は大雨・洪水時にビルのエントランスや地下入口を塞ぎ、浸水や飛散物を防ぐ。常備しておくとしても安価ですむのが魅力だが、重いので実際の使用時には迅速に作業できないという欠点がある。
メイコー・エンタープライズ(東京都世田谷区)で販売している「AQUA-BOY」は水を吸い取り、それを外に逃がさないことで体積、重量とも増大し土嚢と同じ役割を果たすことができる。
例えば、すでに浸水が始まっているエントランス部分にこの製品を並べれば、1~2分の間に20リットルの水を吸い込み自重作用によって互いが強固に重なり合う。
同社の佐々木代表は「類似する製品は多いのですが、当社の場合は吸水樹脂をシート化しているためバッグのどの部分に水がかかっても均一に吸水されます。これによりバッグはキューブ状に膨らみ、隙間が小さくなるのです。しかし、他社のシート化されていない製品では丸まって膨らむため大きな隙間ができてしまいます」と語る。
同社では吸水バッグの独自開発を平成3年ごろから始め、翌年には商品化に成功。平成9年には吸水の速さや吸水量の多さなどが評価され、東京消防庁と技術提携に調印。これによって「AQUA-BOY」の量産化が始まり、現在では年間10万枚を生産するまでになっている。
また、同製品はサイズも3種類用意しているため、予想される使用状況に応じて準備しておくことができる。
ライフガードジャパン 省エネ効果でビルの経営コストも削減可能 警察庁認定の高い防犯性能 台風の飛来物にも効果発揮
台風の雑賀には強風による飛来物が窓ガラスを割るというケースも考えられる。
ライフガードジャパンでは、ガラスに内側から貼るフィルム「ライフガード」を販売・責任施工している。
この製品は高い防犯効果を有し、外からバールやハンマーなどで窓ガラスを割ろうとしてもフィルムが内側から守り、飛散、貫通を防ぐ。
常務取締役の土渕氏は「4種の製品を用意しておりますが、そのうち44mmの厚さがある『LG440』は警察庁が認定する『防犯性能の高い建物部品』に選ばれています」と語る。
人為的な強い力をもってしても、ライフガードを貼り付けた窓ガラスを割るのはほぼ不可能である。つまり、台風の飛来物に対しても当然大きな防災性能を有することになる。
この製品は他にもUV効果と省エネ効果があり、テナントに対し快適な業務環境を提供することができる。
同社では支店・代理店を含めて全国に約170箇所の施工拠点を持ち、施工は研修と認定を受けた者だけが行うので、施工技術についても心配がないということだ。
キッスビー三興建設 床の凹凸に対応する特殊構造のパッキン 専用固定金具使用し密封性の向上を実現
キッスビー三興建設(東京都千代田区)では、大雨や洪水時にビル等への浸水を防ぐ止水板「みずどめくんⅡ」を販売・施工している。
止水板は建築物のエントランスや地下駐車場入口などに設置し、洪水が発生した場合などに浸水するのを防ぐ。通常、平時から止水板専用の支柱を設置しておき使用時にパネルをはめ込んで浸水に対応する。
「みずどめくんⅡ」の特徴は第一に床面に特殊構造の止水パッキンを使用することで、床面がある程度凹凸を有する場合でも確実に密封することができる。第二にパネルに取り付けられている固定用ベルトを使用し、より強く床面との密封性を確保できる。第三にパネルをフラッシュ構造のアルミ製とすることで、強度の向上と軽量化を同時に実現した。パネルの大きさにもよるが、1人でも持ち運びできるので急な浸水にも対応できるだろう。
黒田代表取締役は「実際に間口の幅や必要とする高さなど条件によって異なるので、すべて受注生産で止水板の設計、製作を行っています。また、当社では施工まで行いますので、現場に適した施工計画を立てることが可能です」と語る。
同社では濡れた箇所にも貼り付けられる防水テープも販売している。例えば、漏水箇所を緊急的に処置する場合などに効果的だ。