不動産トピックス
クローズアップ 防災備品編
2007.10.01 16:58
災害対策が進む中、被災時における物資の調達が難しいことは広く知られていることだ。しかし、だからといって備蓄品を常にストックするのはコストがかかるという問題がある。食品の賞味期限だけでなく、ビニールが劣化するなど耐用年数は長いものだけではない。そこで、より低コストで導入が可能な製品を紹介する。
セイエンタプライズ アメリカ生まれのフリーズドライ備蓄食 コスト削減の決め手は25年の賞味期限
「サバイバルフーズ」は、セイエンタプライズ(東京都千代田区)が総販売元である備蓄食である。この製品は、元来アメリカで開発されたもので、当初は軍や宇宙計画に利用されていたのだそうだ。
「フリーズドライ製法のため、軽く水なしでも食べることが可能です。そのため、震災時にお湯を作ることができない場合には冷水でも戻すことができますし、水が不足して使えない場合には、だ液だけでスナックのように食べることができるのです」(ジェネラルマネージャー藤枝務氏)
この「サバイバルフーズ」は、非常時に必要な栄養補給は言うに及ばず、その味にも定評がある。
「非常時はまずくても我慢する、という考えは被災時には通用しません。実際に、塩味のおにぎりだけではなく味の整った食事が必要だと訴える被災者が多くいました」(藤枝氏)
味の種類は、現在日本に輸入されているものが4種類で、顧客にも定評のある味付けだ。また、この製品の特長として他製品と差別化が図られる点は、賞味期限が長いことである。
一般的に賞味期限は5年といわれている。しかし、この「サバイバルフーズ」は25年という長期保存が可能。しかも、買い替えのスパンが長いために廃棄処分は少なく済み、メンテナンスの手間は軽い。
ランニングコストが抑えられるため、結果的にはコストもより低いのだ。
ダイドードリンコ 非常時災害ベンダーとの組み合わせが生命を守る エレベーター閉じこみに対応自動販売機が経費を低減する
ダイドードリンコ(大阪市北区)が開発した「ビル・サバイバルシステム」は、自動販売機とエレベーター内備蓄を組み合わせた新しい提案である。
発案者は、同社の営業統轄部次長である三溝義之氏。飲料メーカーならではの災害救援用ベンダーにサバイバルボックスを組み合わせることで、救助物資を待つ間ビルの中で生き延びることができる環境作りを目指す。
この「ビル・サバイバルシステム」は、非常時災害ベンダーとなる自動販売機を設置すると、無料でエレベーター・サバイバルボックス及びその備蓄用品とそのメンテナンスがセットになってくるというお得なもの。
自動販売機から生まれる利潤をサバイバルボックスの維持管理の費用にまわすため、オーナー側が負担するのは電気代のみ。しかも、その電気代も飲料の売り上げ次第でまかなえてしまう。
ただし、このシステム導入は月平均1000本の売り上げが見込める場所であることが条件だ。維持費がかかることがその理由である。
「このサバイバルボックスは、大きいタイプで10人が1週間過ごせるだけの物資を搭載することができます。また、災害救援用ベンダーは39人が3日間に必要なだけの水分を提供することができるため、震災時に広域避難場所に行けるようになるまでの時間を、より長く確保できます」(開発グループ主任松本英康氏)
エス・ポワール 簡易トイレの大量注文増加 可燃物として処理可能 被災時に重要な衛生面
エス・ポワール(東京都品川区)は、非常災害対策用製品の商社である。元来は医療用酸素吸入器などを扱っているが、約6年前から防災用品の販売にも携わってきた。
「ビルのオーナー向けの商品といえば、食料や飲料水、ブランケットなどをセットにしたものもありますが、近年ではどちらかといえばタンカや救急用品などにニーズがあるように思います」(営業田中啓治氏)
中でも最近の注文で増加しているのが、簡易トイレの大量注文だという。「当社で扱っている簡易トイレの製品はいくつかありますが、中でもおすすめなのが『サニタクリーン』というものです」(田中氏)
サニタクリーンは、便袋受けネットをかぶせた洋式便器の上に、高吸水性ポリマーを含む高速吸水凝固シートが中に入った専用便袋を装着して使用する。液体漏れがなく、簡単にまとめて燃えるゴミとして廃棄することができるため、被災時に心配されるような衛生面の問題をフォローすることが期待できる。
震災時を想定して、街の各所に公共のトイレが建築されているが、実際にその数が足りるのか、またその場所までたどり着けるのかということが問題になってくる。そのため、経営者からの注文が増加しているのだろうと田中氏は指摘する。
現在、630円割り引きの2520円で販売を行っている。