不動産トピックス
クローズアップ ITツール編
2007.10.15 17:33
ITツールの導入が他業種と比較して緩やかであるとされてきた不動産業界だが、物件の保有から経営や投資へと意識が変化するに従い、ツールの導入が加速している。複雑化する業務には必要との認識もひろがりつつある。より円滑に行うための商品を取り上げた。
富士通ビジネスシステム 累計導入実績は1158システムに及ぶ コスト削減による効率的な経営管理 多種多様な機能要求に対応する柔軟性
富士通ビジネスシステム(東京都文京区)が提供する「WebAS」シリーズは、様々な職種に対応する情報管理システムである。
シリーズの中でも不動産管理に特化した製品が「WebASプロパティ」だ。送金の流れから、就業者の管理、契約の登録や賃料請求まで、契約先とオーナーを結ぶ不動産契約上の細かな事務手続きをカバー可能。スタンダードレンジ、アドバンスドレンジ、エンタープライズレンジという、使用する法人の規模ごとに分類し、各種ニーズに対応した製品が用意されている。
「スタンダードレンジはパーツごとのカスタマイズというわけにはいきませんが、その点大規模向けツールで得てきたノウハウを集約しており、より低コストで質の高いサービスが提供できます」(原田氏)
サポート内容の1つはBM、1つはリーシングで、もう1つはCMである。各機能がPMと結びつくことで、オーナーへの送金業務やビル別の収支報告などの多種多様なレポーティングを提供。これらの機能が各方面からの情報を一元化する。「従来は固有のスタッフに頼らざるを得なかった限定的な情報を、共有のものとして扱うことで効率化を図り、また人件費の削減にもつながります。顧客にとって必要なパーツかコンサルタントを通して構築します」(原田氏)
不動産業務は複雑な手続きのものが多く、コスト面でも多くの人件費や紙などの経費がかかってきた。しかし、このツールを使用することで情報の共有がたやすくなるばかりか、処理や資金の流れを整理することができるため時間の節約にもつながる。
昌平不動産総合研究所 月額980円で携帯電話から物件情報を管理 現場の情報を現場で収集業者等への連絡も迅速に
昌平不動産総合研究所(東京都文京区)では、今秋より、携帯電話を利用した建物管理Webサービス「EasyProperty@写真で修繕」の提供を開始する。
一台の携帯電話から、写真付き修繕履歴(建物原状など含む)をサーバに登録、携帯電話から サーバに接続することにより、わざわざ社に戻り、パソコンからデータを引き出さなくとも、出先ですぐに修繕履歴等の物件情報を引き出して確認できる。また、業者やオーナーへ携帯メーラーを使って連絡をとることも可能。その際には物件情報や、携帯電話のカメラ機能で撮影した画像も添付できる。
コンテンツは修繕履歴、苦情履歴、管理履歴、リクエスト、現状写真、物件案内、名刺ホルダ、管理メニューなど。月額契約料は980円(携帯電話一台につき)より。EasyProperty@専用サーバにウェブ上からログインする方式のため、新たな設備投資や導入経費は不要。
また、別料金となるがPCを用いてWEBサイトメニューへもアクセスでき、こちらはExcelへのエクスポートや各種レポート印刷、顧客への履歴情報開示などのオプション利用も可能。
「携帯電話のカメラとメーラー機能を用いることで、現場の情報をすぐに業者やビルオーナーに発信でき、ジャッジのスピードが格段に速くなります。送信の記録や修繕履歴も残り、また修繕の完了日時や支払い方法、現状等も一覧で表示されます」(清宮氏)
メニューは管理戸数が多い賃貸マンション用となっているが、題名やコンテンツを変えることでSOHOタイプやオフィスビル用にも応用できるようになっている。
センターポイント 不動産に特化したツールを製作 口コミで広がる情報提供の場 コンサルティングで商品構築
センターポイント(東京都目黒区)は、不動産に特化した「不動産反響獲得ツール」製作企業である。その顧客の90%が不動産会社だ。
「当社のクライアントのほとんどが不動産業に携っています。より顧客のニーズに沿ったサービスを提供できるようにコンサルティングを行っていくところに特長があると考えています」(多田野氏)
同社で提供しているサービスは、主に月3150円からの物件情報検索や、月5250円からの物件情報更新ツールだ。更新ツールでは、ホームページの問い合わせフォームのような形式で、自社の物件の更新情報のアップが可能。
Webページの中では、360度のパノラマで物件の内覧が可能で、写真の情報と、その横に作られたフォーマット上の物件概要を1画面上で把握できる。
また、物件情報検索では多田野氏らが他社サイトをまわって気付いたことを元に構築している。例えば、物件情報を検索する際に、各項目を入力するのは誰しもが体験したことがあるだろうが、その際に1ページずつめくっていく必要があり、いらついた経験があるのではなかろうか。同社で提供する検索ツールでは、1ページ内で入力が完了するなど、手間を取らせないのだ。
これらの商品は、不動産仲介業に向けたものが多いが、その性質上不動産業務の方向性によって様々に構築できるため、受注先の職種は限定されていない。
「当社では、特に地区を限定して販売しているわけではないのですが、口コミによるものが多く、会社がある目黒区を含む城南6区を中心に展開しています」(多田野氏)
ソフトボランチ 様々な賃貸管理形態に対応・WEB作成ソフトとも連携 帳票に数値を打ち込むだけで詳細な報告書が完成
ソフトボランチ(東京都新宿区)では、不動産管理システム「PMVolante」と、不動産WEBサイト支援ツール「WebVolante」を販売している。
「PMVolante」の基本の操作方法は、エクセルに従来通り収支項目と各数値を打ち込んでいくもの。このシステムを利用することにより、管理会社はオーナーへの従来の報告(送金明細書)だけでなく、ポートフォリオ&マンスリーレポート(全28票)による、正確かつ詳細な報告が可能。また、変動費の実績・業者支払いの実績管理、また予算と実績の管理やポートフォリオ機能により、データから実績を把握・分析し、収支コストの最小化につなげられる。
様々な賃貸管理形態、例えば集金代行、マスターリース、物件口座モニタリング、自社所有などにも対応。住居用物件、事業用物件、駐車場等の物件にも対応し、混在した複数物件を一つの送金口座をまとめたり、一物件で複数の口座に分けての送金もできる。
同商品は、ASP(インターネットを通じてアプリケーションソフトをレンタルするサービス)とWebアプリケーションソフトでのサービス提供となっており、価格はASP版が150万円から、Web版は650万円から。Web版はインターネット接続できる環境にあれば、業務の場所を選ばない。
また、「WebVolante」はYahooやGoogleといった検索サイトでより上位に表示される機能を用意。初心者にも分かりやすい画面構成で、ボタン一つで物件情報の更新からHPの管理、効果測定ができる。「PMVolante」に蓄積したデータとも連携が可能だ。
こちらはASPでの提供で、月額3万円より。
ダンゴネット 賃貸管理・契約書とチラシ作成の業務が全自動化 管理情報を更新するとHP上の物件情報に反映
ダンゴネット(東京都武蔵野市)では、不動産業者向けの業務支援ツールの開発および販売を行っている。
特に、全データ完全連動の統合一体型ソフト「アイ・キャン賃貸」は、このソフト1本で「賃貸管理」「契約書作成」「チラシ作成」の全ての業務を自動化。この主要機能いずれかに必要データを入力すると、各コンテンツに情報が一貫連動し、内容が反映されるようになっている。通常の管理ソフトでは3回データ入力をする必要があったが、このソフトでは1回の入力で済むのが大きな特徴だ。
集金代行や家賃保証、サブリース物件、また原状回復等に関わる東京ルールにも対応している。出力できる帳票は全85種類。空き物件一覧表から年間収支報告書まで、不動産賃貸ビジネスに必要なあらゆる帳票を網羅している。
このシステムは同社が運営するHP「賃貸名人」と連動させることが可能で、システム内に打ち込んだ管理物件データを更新すると、連動するHPの内容も更新。繁忙期等、物件の入れ替わりが頻繁にある場合、逐一HP上の物件情報を更新せずとも、物件の管理の中で自動的に行われる。
「このダンゴネットが運営するHPは、『Yahoo!不動産』や『Home’s』などのポータルサイトとも連動しており、これらのHPに登録している物件情報にも、『アイ・キャン賃貸』上で更新した情報が反映されるようになっているのが大きな特徴です」(蓮佛氏)。
価格は10万8000円より。自社物件に適した仕様にカスタマイズするなど、別料金のオプションをつけても、初期費用は30万円程度となっている。