不動産トピックス

クローズアップ 通信設備編

2007.10.22 15:51

 オフィスビルにおいて、通信設備は水道や電気などの基本インフラと同じぐらい当然かつ重要なものであり、テナントがビルの選考基準とするポイントでもある。各種有線LANはもちろんだが、無線LANや盗聴防止のための電磁シールドなど、工夫すべき点は多々ありそうだ。

日立セキュリティサービス 暗号化では防げない電波漏洩傍受・盗聴から機密情報を保護壁面にシールド材を貼るだけ施工や補修が容易で短期完了
 「市販されている10万円程度の受信機を用いれば、パソコンのモニタに表示されているデータを盗聴できます。パソコン本体と配線、入出力機器から発する微弱な電磁波による傍受 は、暗号化などを無意味にしてしまいます」(玉井氏)
 平成18年に特許を取得し、日立セキュリティサービスが提供する「電磁波遮断構造」は、サーバから漏れる微弱電波、または無線LAN使用による隣接ビルへの情報漏洩防止、無線盗聴機による社内極秘情報の漏洩防止、外部電磁波から医療機器等の精密電子機器の保護に効力を発揮する。
 壁紙、サッシ、ダクト、窓ガラスにシールドプロテクターを施した壁紙やフィルム、ノイズフィルタを用いて内装工事を施工するだけで電磁波を遮断できるため、既存施設への施行も短期間かつ安価で可能となる。
 同社が提供する施工方法は、壁面材にシールド材となる壁紙・床材等を貼り付けるだけ。よって、破損部分はすぐわかり、その部分だけを取替え施工が可能で補修も容易。
 「簡単に施工できるように見えますが、少しでも穴が開いていたら、そこから情報が漏洩してしまうので、当社の一貫した責任施工にお任せいただいております」(玉井氏)
 相談と現地調査は無料、詳細調査は約50万円、施工費は床換算で1㎡5万円程度。

アイ・オー・データ機器携帯電話からモニタリング可能 有線・無線LANに対応3万円前後の価格も魅力
 アイ・オー・データ機器(石川県金沢市)では、パソコンや携帯電話からでもリアルタイムでモニタリングが可能なパン&チルト・デジタルズーム対応のネットワークカメラ「QwatchM」シリーズを開発した。
 画像のタイムラグは0・3秒程度。カメラのアングルを携帯電話から操作ができ、また映像に動きがあったときにメールで通知したり、画像をサーバーに保存する「人感センサー」機能を搭載している。640×480サイズの高解像度のため、細かい部分の確認も容易だ。
ネットワーク接続は有線・無線LANどちらにも対応しており、既存施設に設置する際も無線が届く範囲であればアクセス可能で、配線工事の必要がない点がメリット。
 「ペットや子どもの様子を確認するため、防犯のためなど、ご家庭から法人まで、幅広くお使いいただいています。あるマンション経営者は、各部屋に設置して『住民が自分の部屋をモニタリングできる』点を売り出し、付加価値を高めるといった取り組みをしていらっしゃいました」(北村氏)
 商品本体は80(W)×110(D)×100(H)㎜と置き場所に困らない小型モデル。価格も無線LANタイプが3万1700円、有線LANタイプが2万6400円と「個人でも変える値段に設定しました」(北村氏)という低料金。現在、同商品は完売しているが、来年2月には新機能を付け加えた商品がリリースされる予定だ。

日本無線 防水ユニットで全天候型ビル間通信が実現 零下30度でも使用可能寒冷地対応の無線通信
 企業が複数のビルに分かれて業務することは珍しくない。また、複数の隣り合ったビルを所有するオーナーもいることだろう。その場合、ビル間で無線通信ができれば、テナントの業務も、ビルの経営にもアドバンテージとなるはずだ。
 日本無線(東京都新宿区)は、ビル間の無線通信ができる「無線LANブリッジ・JRL71 0シリーズ」と「25GHz帯小電力データ通信装置」を製造している。「無線LANブリッジは、周波数帯が2・4GHz、36Mbpsのデータ伝達速度で最大10㎞先まで飛ばすことができます。悪天候にも強く、防水構造の屋外ユニットを併用することでビル間の無線通信を安定させることができ、導入費用としての目安は、ペアで約40万円前後です」(宮崎氏)。
もう1つの25GHz帯小電力データ通信装置は、都心部では飽和状態になっている2・4GHz帯を避けることで安定した通信性能を発揮する。64Mbpsの高速通信を約2・5kmまで飛ばすことができ、同時に日本無線独自の高度な暗号化などによって、セキュリティの向上が図られている。導入費用はペアで約100万円前後。前者は零下30度、後者は零下20度でも使用可能なので、寒冷地などで威力を発揮しそうだ。

村上開明堂化成 電磁波を防止する窓ガラス用フィルム 受話器に混入するノイズを防ぎ電波漏れによる機密漏洩を防止
 村上開明堂化成(静岡市駿河区)が開発、販売している「マグネパラード」は、窓ガラスを通して侵入する電磁波を防止する電磁シールド・フィルムである。
 この製品の特長は、既設の窓ガラスに貼り付けるだけで、窓を通して侵入する有害な電磁波や紫外線、赤外線をカットすることができる点にある。色あせを防止すると同時に、熱の出入りを防止し省エネにもつながる。
 電磁波による影響は、オーディオ設備にノイズが発生されるほか、建築物の周囲の無線マイクや無線LANから発せられる電波をキャッチ。情報が内外に漏れ出てしまう可能性がある。
 「基本的に、コンクリートの壁を透過する電磁波は微量なのですが、ガラス部では大部分が透過してしまうため、様々な弊害が生まれます」(明吉氏)
 「マグネパラード」は録音スタジオや銀行の電算室、メーカーの商品開発室など、機密を守る必要性の高い場所などで多く用いられている。
 あるオフィスビルに入居を予定していた外資系大手証券会社は、電話の通話口から漏れるノイズを防止することができなければ、入居を取りやめると宣告。「マグネパラード」を窓に貼り付けると同時にノイズが止み、無事に契約を締結できたという。

フルノシステムズ 最適な通信環境のため設計施工まで請け負う セキュリティと管理両面で機能強化
 フルノシステムズ(東京都墨田区)では「管理者の負担を軽くする無線ネットワーク管理システム」として、「UNIFAS」を販売している。
 同時に、このシステムの構築に必要なアクセスポイント機器「ACERA」各種も用意した。
 これらのシステムは、ビル内無線LANを導入するに際し、情報漏洩対策などのセキュリティ面と、ネットワークの管理機能面を同時に強化したものである。
1つの「ACERA」で概ね10〜20台のパソコンなどの端末と無線接続が可能で、オフィスルームだけではなく、会議室などの通常は通信設備が整っていない場所でも機能するようになっている。
 広報室の鈴木智之氏は「他にもこのシステムには、大企業など複数拠点を持つ場合に集中管理によって、現場管理者の負担を軽減したり、同じアクセスポイントに接続しているPC同士で覗き見できないように無線セパレータ機能を搭載するなど、管理・セキュリティ両面で効果を発揮します」と語る。
 同社ではシステムの導入に必要な設計・施工も請け負っているため、それぞれのビルにあった無線LAN環境を構築することができる。

アイコム 1台でフルワイヤレスのIP電話接続が可能に 60台まで接続可能なIPルータ
 アイコム(大阪市平野区)が開発し、今年4月に発表となった「VoIPルータ」は、中規模事業所向けのIP電話ルータである。
 最大で60台の電話が接続できるこのルータは、回線への接続を行なうPBXと呼ばれる機器や、サーバが不要。1台設置すれば、最大で30通話に対応することが可能というシンプルさと高機能性が特長だ。
 通常の固定IPフォンはもちろんのこと、女性の手の平にもすっぽり納まるワイヤレスIPフォンや、無線LAN対応のデュアルナンバー対応携帯を接続可能。
 特にデュアルナンバー対応携帯は、内外線を問わずに1つの端末で応対できるため、営業で会社の外に出ていても電話を取ることができ、連絡を密に取ることが可能だ。電話という分野に対し、実際にはIT系企業を中心に、関心は徐々に高まっている。
 「IP電話のルータを使用することで、経費の削減が可能です。規模にもよりますが、年間で50万円を使用する企業もあります」(野田氏)
 「VoIPルータ」の価格は約20万円。経費の削減を行い、テナントの引き合いを確保することがより有利に運ぶことが大切である。




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