不動産トピックス

クローズアップ 非破壊検査編

2007.11.19 13:32

 コンクリートに空洞やひび割れが生じて安全性の確保が難しくなったり、リノベーション時にコンクリート内の配管を傷つけてしまったりと、建築物の状態を把握し維持するのは難しい。そこで、躯体に負荷をかけずに把握するための方法を取り上げる。

オリジナル時計 色分けされた立体図で提案 構造物の長寿命化を支援する建築物診断を3D画像化
 オリジナル時計(東京都新宿区)は弾性波レーダーシステムなどを使用し、建築物の耐震、劣化診断を行っている。
 ここで使用されている弾性波レーダーは5mの厚さのコンクリートでも診断することが可能で、圧縮強度や内部欠陥、骨材の剥離などのほか鉄骨溶接部の欠損も診断することができる。
 壁面を透過させた状態の建築物を3D図に表し、ひび割れが走っている箇所や耐震性の強度のためにダンパーで補強すべき箇所を、赤やオレンジのラインでわかりやすく提示するため修復箇所が一日でわかる。
 「当社の技術はダムや学校をはじめ、大型の構造体に対しても使用することが可能です」
 これらの診断により、従来と比較してより的確な補修・補強設計に結び付けることを目的としているという。

トーレック パイプや鉄骨の位置 壁を透過して撮影可 X線検査でフィルムに転写
 トーレック(横浜市港北区)が販売し得いえる「RIX-Ceramic」シリーズは、携帯式工業用X線検査装置である。
 「このシリーズは、X線検査装置の中でも歴史がある製品です。建築物の診断に効果的と言われるX線によるフィルム撮影をし、リニューアル時などに鉄筋を切断するなど施工上のミスを事前に防ぐことができます」
 リノベーションや光ファイバーの開通工事の際に多いのが、壁面に走るパイプや鉄骨などを切断してしまうという事故である。
 その点、この製品で撮影を行い使用するドリルとの直径と照らし合わせることで、事故を未然に防ぐことが可能となる。
 しかし、この検査方法では現像が必要なため可動式現像室を開発。車中を現像室に変え、時間の節約を可能とする。

アプライドリサーチ 車を転がすだけで測定可能 ハンディタイプでかさばらない
 コンクリート聴診器「iTECS-9」は、今年9月に発売された非破壊検査診断装置である。
 アプライドリサーチ(茨城県つくば市)が開発し、現在特許出願中。厚さや表面劣化、内部欠損や表層及び骨材の剥離測定などを行うことが可能だ。
 「この製品に使用する専用打撃センサーユニットに『コロコロ君』という製品があります。これは距離などを入力して転がすだけでコンクリート面を打撃して、コンクリートの密度や含まれる金属などを液晶に表示するというものです」
 積み木の様な形態だが、打撃を行うと測定波形及びスペクトル分析結果が表示される。コンクリートが打撃ハンマと接触する時間や押し戻す力などを算出することで解析を行うことが可能である。

ニシヤマ 開発中の打音検査製品 なぞるだけの簡単操作 握りやすいスティック状
 「コロリン点検棒」は、ニシヤマ(東京都大田区)が発売する打音検査製品である。現在は開発中で、近々販売される予定だ。
 使用方法はマイクロホンに接続し健全箇所の打音を取り込み、判定レベルを登録した後に検査箇所をなぞるというシンプルなもの。マイクロホンで集音された打音は接続したテスターの接続画面に映し出され、一目で波形が判別できる。その際、打音検査結果を保存することが可能だ。
 「例えばコンクリートの剝落箇所における打音は、振り幅が乱れ収束に時間がかかります。波形を正常値と比較することで異常箇所が判明するのです」
 これらのデータの保存により明確に結果を提示することができ、同時にレポートの信頼性を上げることを目指す。




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