不動産トピックス

商業ビル最前線

2008.01.28 09:55

<商店街活動>熊本県 空き店舗を利用した地域活性化の取組み 高齢者も歩いて通える地域密着店ノウハウまとめたマニュアル作成
 熊本県は、地域密着型のミニスーパーマーケットを開設するためのマニュアル、「徒歩圏内マーケット設立マニュアル」を作成した。
 徒歩圏内マーケットとは、半径300m以内に150戸以上を有する商店街などの空き店舗に開設する、車が利用できず歩いて買い物に来る高齢者等の暮らしを補うミニスーパーマーケットである。商店主、農家、地域、住民が連携して、日々の暮らしに必要な生鮮食料品や惣菜などを販売する。
 現在、徒歩圏内マーケットは同県荒尾市に3店舗あり、それぞれ手作りで改修した店舗で1日10万円超えの安定した売り上げを出している。熊本県では、高齢者の生活支援と地域活性化を考え、ミニスーパーマーケット開設を広げるため、このマニュアルを作成した。
 かつては炭鉱の町として栄えた荒尾市も、炭鉱の閉山以降、人口流出や高齢化、郊外型大型店の進出による商店街の沈滞などが多くの課題を抱えてきた。荒尾市の全人口中、4分の1以上は65歳以上の高齢者。年を重ねて自動車の運転ができなくなり、足腰も弱っているため、1㎞先にあるショッピングモールまで歩いて買い物に行くことは難しい。高齢者が日々の暮らしに必要な食料品・日用品を歩いて買いに行くことができるお店、「徒歩圏内マーケット」の存在の必要性に気がついた荒尾市において、ニーズを補うミニスーパーマーケットの開設・運営が挑戦されてきた。
 低価格競争やイベントなど、アミューズメント要素の強い大型店とは違う土俵に立ち、平日の地域内で必要な日常品をまかなえる店舗づくりを徹することで、大型店とも共存する店舗づくりが可能となる。実際に、荒尾市で最初に開設された徒歩圏内マーケット「青研(青空研究室)」も、1先に大型店がオープンしても売り上げは揺るぐことがなかったという。
 一連の手続きや開設のノウハウなどが記載されている「徒歩圏内マーケット設立マニュアル」は、熊本県商工観光労働部商工政策課商業まちづくり班が発行している。問い合わせ、マニュアル取り寄せについても同課まで。

泉開発 地域一番店の出店によりエリア外からも賃客図る 夏までに3店を新規出店
 当社は中四国と九州に絞った出店を行っています。この地域の限定は意図的に行っているもので、目の届く範囲に出店することにより、商圏の特性を理解した出店戦略をとることが可能になっています。エリア内における出店地域を選定する条件は明確で、そのエリアにおける「地域一番店」になれる店を出せることが条件となっています。そのため、出店する土地の人口がそう大きなものでなくても、積極的に進出するケースは少なくありません。その例が、出店を間近に控えている「ゆめタウン丸亀」、「ゆめタウン三豊」、そして「ゆめタウン出雲」の3店です。いずれも、出店する町自体は、一番大きい出雲市でも人口15万人に満たないという小〜中規模の町ですが、周辺に大きなショッピングセンターがない、あるいは既存のショッピングセンターより大規模な店舗が出店できる地域を選定し、出店しています。それに、本当に魅力ある店舗をつくることができれば、人は遠くからでも集まってきます。その例が、当社が開発した代表的な店舗である「ゆめタウン高松」です。平成10年に開業したこの店舗は、オープンから10年が経過していますが、今なお年間1300万人が来場し、年商も300億円を超えています。この店には香川県内以外に、近隣の徳島県などからもお客が集まっており、四国全域での「ゆめタウン」ブランド浸透に貢献しています。昨年にはライバルとなる大型商業施設が開業しましたが、それでも売上げは落ちていません。こうした強さの源泉は、地域一番店の座に安住せず、常に増床やリニューアルを続けていることと、もう1つは地域に合わせたオペレーションが奏功していることによります。当社では、立地によって商品や売り場の構成を変え、「地産地消」に貢献するといった取組みもしています。こうした地域に愛されるための取組みが飽きられない売り場作りに一役買っているのでしょう。
 また、当然ながら既存店舗のリニューアルも効果の大きな施策となっています。当社では、既存の店舗についても順次増床を含めた大幅なリニューアルを行っており、お客に飽きられない売り場作りを図っています。夏までの間にも、数千単位の大幅増床リニューアルの予定が3件以上決まっており、それぞれ新たな魅力を創出していきます。

野村不動産ホールディングス 「津田沼サンペデック」再生「モリシア」として新規開店 大規模リノベーションで魅力向上
 野村不動産ホールディングス(東京都新宿区)は、100%子会社である野村不動産インベストメント・マネジメント(以下・NREIM社)が、同社の運用する私募ファンドにてJR「津田沼駅」前にある地域最大級の商業施設「津田沼サンペデック」を再生し、大型商業施設「Morisia(モリシア)」として、今年3月にリニューアルオープンすると発表した。
 「津田沼サンペデック」は、千葉県習志野市谷津一丁目に位置し、敷地面積1万6707㎡、延床面積約9万3632㎡をほこる大型複合施設。併設する「習志野文化ホール」と共に、昭和53年の開業以来、地域のランドマーク施設として親しまれてきた。
 NREIM社は、メインテナントが退去した同施設に対して、大規模リノベーションと多彩なテナントミックスを行うことにより、施設の魅力向上および地域発展と賑わいの創出が可能と判断し、私募ファンドによるバリューアップを推進してきた。20〜30歳台のファミリー層をメインターゲットとし、100店舗以上の専門テナントを誘致する予定。駅前公園や建物内ポケットパークの「自然・緑」、習志野文化ホールに代表される「地域文化」とも融合する施設創造を目指す。
 NREIM社では、各セクターの私募ファンドを運用しており、同物件を含めた商業施設系の資産運用総額は2000億円規模に達している。
 昨年7月に野村不動産グループに加わった商業施設開発会社ジオ・アカマツ(大阪市中央区)の商業施設運営ノウハウを活かし、更なる投資規模の拡大に積極的に取り組んでいくとの意向を示している。

ディーゼルジャパン 銀座に集まるブランドショップ、ディーゼルも旗艦店
イタリアのカジュアルブランド、ディーゼルジャパン(東京都渋谷区)は、4月23日にオープンする商業施設「ギンザ・グラッセ」内に、アジア最大級となる旗艦店「DIESELGINZA(ディーゼルギンザ)」を同日オープンする。
 店舗総面積や約1000㎡で、3フロアを使用。エントランスを設けた1階には、石張りの床と高い天井で開放感を演出、2階から3階にかけては、全面ガラス窓による、外光が入る見晴らしの良い空間を特徴としている。
 店内インテリアには、イタリアから届くビンテージ風の家具などを配置。内装はすべてイタリアのインテリアデザインチームが担当している。1階はシューズ、バッグ、アクセサリーをメインとして取り扱い、2階ではデニムを中心としたメンズとレディスのディーゼルコレクションを展開。3階ではニューヨークコレクションピースと2008年秋冬コレクションより登場する新ライン「DIESELBLACKGOLD(ディーゼルブラックゴールド)」を取り扱う予定である。

日本商業開発 長谷工コーポと新会社設立
 日本商業開発(大阪市中央区)と長谷工コーポレーション(東京都港区)は、共同出資による新会社を設立することを発表した。
 新会社の新日本商業開発の代表取締役社長には、日本商業開発の代表取締役社長である松岡哲也氏が就任する。
 日本商業開発は、自らの投資で商業施設の開発を行い、不動産投資ファンド等に提供してきた。一方、長谷工コーポレーションは、これまで45万戸を超える豊富なマンション施工実績を有している。長谷工コーポレーションが保有する不動産情報及び開発ノウハウと、日本商業開発が保有する商業施設開発ノウハウを融合し、商業施設を開発・運営する事業を共同で進めるために新会社が設立された。
 今後、日本商業開発は新会社を通じ、長谷工コーポレーションとの取引関係を強化拡大していく。




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