不動産トピックス
商業ビル最前線
2008.02.11 10:59
ipoca Felica機能活用した新型マーケティング 月額約3000円で運営可能 助成金交付で商店街を活性化
2月1日、ipoca(東京都港区)は、青物横丁商店街振興組合(東京都品川区)と提携し、携帯ASP販促事業である「あおよこタッチャン」を開始した。この「タッチャン」は、ipoca独自の携帯型メールサービスだ。使用法は、専用のリーダーを各店舗に設置し、Felica機能を持つ携帯電話をタッチするというもの。初回のタッチ時にメールアドレスを簡単に読み取ると同時に、店舗情報をサーバーシステムへ転送。この来店データを蓄積し、利用客のニーズを的確に判断するシステムを構築する。
「『あおよこ商店街』には、約2万人のポイントカードメンバーがいます。しかし、その中で実際にメールアドレスが判明しているのは約900人に留まっており、エンドユーザーへのフォローが難しい状況でした。しかし、携帯のFelica機能を活用すれば、利用客の行動履歴に応じたダイレクトマーケティングを行うことができるのです」(IPOCA代表取締役社長一之瀬卓氏)
アドレスの登録がはかばかしくなかった要因として、ニーズにそぐわない不要な営業メールが送信されることに対する煩わしさや、個人情報の悪用に対する懸念がある。今回導入されたシステムでは、ユーザーにとって興味のある店舗の情報のみを受信することができるため、不要な店舗からのメールは任意で受け取らないことが可能。また、個人情報はサーバー上でガードされ、外部への流出を防止できる。
「新たなポイントカードの導入という方法もありますが、財布の中身が膨らんでしまったり、持ち歩くのを忘れてしまったりと、カードの発行が必ずしも集客に結びつくとは限りません。問題は、ポイントカードを発行することではなく、集客につなげるということです。その点、携帯のFelica機能を用いればかさばりませんし、確実にユーザーへ直接情報を伝達することができます」(一之瀬氏)
この「タッチャン」は東京都及び東京都中小企業振興公社による「商店街パワーアップ基金事業」と、国の助成事業に認定され、助成金の交付により、月額約3000円での導入が実現した。同社は中小企業基盤整備機構から交付される助成金を基に新サービスも開発中だ。
サンシャインシティ 時代と共に成長する複合施設 年間約3000万人が来場 完成より30周年迎えた今もシンボル
昭和53年、経済界からの要望で東京拘置所(巣鴨プリズン)の跡地に華々しく完成した都心型複合施設、池袋サンシャインシティは、今年で完成30周年を迎える。同施設は、副都心構想の中で開発されたものであり、大規模民活プロジェクト第一号となる都市再開発案件だった。
三菱地所を中心に、西武百貨店や政財界の知識人を集めて開発された最新鋭の複合施設には、60階建ての超高層オフィスビル「サンシャインシティ60」をはじめ、商業施設、展望台や水族館などのアミューズメント施設、劇場、博物館などの文化施設、コンベンションセンターやホテルなどが一挙に集約し、今もなお池袋のランドマークとしてそびえ立つ。
一部では「商業施設は陳腐化が激しい」と言われる中、30年が経過した今も約3000万人が同施設に訪れる。長い間、人の足が絶えない魅力の秘密はどこにあるのだろうか。
「業務棟や商業施設、文化会館等、異なる要素を持つ施設を複数も受けており、幅広い年齢層をカバーできることが、まずあります。また、情報発信の場として、年間1000回以上イベントを開催しており、リピーターが多いことも大きいでしょう」(シティ事業部次長鈴木芳生氏)
商業施設は開発すればそれで終わりではなく、一番の肝である運営にもこだわりが見られる。
「施設は時代にあわせて作り変えてきました。民間最大級のコンベンションセンターも、時代の中で既存施設を用途変えして設けたものです。常に刷新し、『ここに来れば何かある』『もう一度来たい』と思う施設にすることにより、人の足が絶えない施設となっています」(鈴木氏)
平成18年12月にも、アルパ1階南ゾーンを「食」をテーマにした商業ゾーンにリニューアルしている。東池袋4丁目の再開発により、周辺居住者が増加したことを踏まえての取組みだ。アルパの中心にある噴水広場や文化会館、展示ホール等では毎日なにがしかの催し物が開催されているなど、建物のハード・ソフト双方において変化し続けている。そこには時代のニーズを汲み取り、施設に繁栄させる人の目と運営能力によるところも大きい。
三菱地所 サンシャイン取得へ
三菱地所(東京都千代田区)は、サンシャインシティ(東京都豊島区)の株式を公開買付けにより取得すると発表した。同社は対象会社設立時より、主要株主として事業展開に関与してきており、これまでにも段階的に株式を追加取得し、現時点で筆頭株主となっている。同社は公開買付けの背景として、SC事業は今後の成長領域と位置づけ、丸の内以外でも展開も含め、事業基盤の拡大を図っていくためとしており、同時に今後池袋地区における再開発事業において、よりよい成長戦略を描くためにも両者の関係を緊密にする必要があるためとしている。
名古屋鉄道 名鉄岐阜駅隣接の新商業・愛称決定
名古屋鉄道(名古屋市中村区)は、名古屋鉄道「名鉄岐阜」駅西側の新岐阜百貨店跡地に建設する新商業施設の愛称を募集していたが、応募総数1046件の中から審査の結果「ECT(イクト)」に決定したと発表した。
「ECT」とは、「食(Eat)」、「楽しむ(Enjoy)」、「電車(Train)」を「つなぐ(Connect)」の頭文字「E」「C」「T」をつなぎ合わせたもので、同駅のターミナル機能を保管する新施設のコンセプトに適合していることから採用された。「ECT」は鉄骨2階建てで、建築面積は約3300㎡、延床面積が6000㎡。1階に食品スーパー「パレマルシェ」、2階に飲食・物販等13店舗が入居する。平成20年2月の商業施設工事を着工し、同年12月 のオープンを目指す。
新岐阜百貨店は平成17年12月に閉店し、翌年6月に解体。同時に、「名鉄岐阜」駅舎の建設工事が始まった。
平成19年8月に、新岐阜百貨店跡地において新商業施設開発の建築計画がまとまり、同施設に隣接する岐阜バスターミナルもあわせて改修工事を検討されてきた。施設完成後は、一帯の機能性や利便性が高まると見込まれている。
イオンモール 琵琶湖の景観配慮したSCを開発
イオンモール(千葉市美浜区)は、滋賀県草津市新浜町において開発中のショッピングモール「(仮称)イオンモール草津」の建築着工、および大規模小売店舗立地法の届出を行い、その内容に基づくショッピングモール概要を発表した。開店予定日は平成20年冬としている。16万5410㎡の敷地内に、A棟とB棟を建設する。延床面積は、A棟が地上6階建てで16万5134㎡、B棟が地上2階建てで1万2235㎡。
対象となるエリアは琵琶湖の直近に位置しており、周辺の自然や景観に配慮して、自然エネルギー活用や環境負荷軽減設備導入を積極的にはかる建。物のデザインにおいても、周辺の景観に配慮した店作りを行っていくとしている。「サティ」を核店舗とし、サブ核店舗にシネマコンプレックス、スポーツクラブなどの大型店を配置し、合計200店舗の専門店誘致を予定している。
ゼファー/久保工 西新井再開発地区の一区域で初のフィットネス開発に着手 地上7階建の大型施設に
ゼファー(東京都中央区)は、久保工(東京都千代田区)と共同事業として進めていた、「ウェルネスタウン西新井」を、平成20年2月1日にオープンすると発表した。
同施設は、都市再生機構が開発を進める「西新井駅西口再開発」のB街区の一部 で、東武伊勢崎線「西新井」駅より徒歩3分に立地する。
今回オープンとなったのは、フィットネス温浴施設で、地域最大のフィットネスクラブとなる。ジム、プールなどに加え、天然温泉のスパエリアやマッサージルームなども設置する予定だ。
建築面積は2195・67㎡、地上7階地下1階で、延床面積にして1万2180・64㎡。ゼファーでは初となるフィットネス温浴施設の開発物件となる。
「西新井駅西口再開発地区」は、総敷地面積が約11・6万㎡という大規模プロジェクトが進行中の地区で、このエリアには他に住宅、商業施設、医療施設および都市公園等、人が集積することが予想される施設が開発される予定である。