不動産トピックス
クローズアップ セキュリティゲート編
2008.02.11 10:57
生体認証にしろ暗証番号入力にしろ、オートロック式のセキュリティゲートの弱点は、共連れの危険性にある。扉を開けた人のすぐ後に続いて不審者が侵入してくる事だ。これを防ぐには、定められた人数しか通過できない専用の設備が必要となる。
日本原子力防護システム ゲートの形状を円筒型にし狭いスペースでも設置可能
原子力施設での高いセキュリティノウハウ活かす日本原子力防護システム(東京都港区)は、原子力発電所を中核とした原子力施設の安全を守る専門会社だ。
同社では厳しいセキュリティ品質が問われる原子力施設の業務ノウハウを活かし、通常のビルにも導入できるセキュリティゲートを製造・販売・施工している。
共連れ防止機能が付いたセキュリティゲート「セキュリティロボゲート」は、中小ビルでも導入しやすいサイズに設計されている。
左右に開閉するタイプの自動ドアが前後にあるが、ゲートそのものが円筒状になっており、上から見ると自動ドアも弧を描くように動く。そのため設置場所は、本体の幅である1mを確保できれば設置できる事になる。
同社事業開発部の高根氏は「設置場所のスペースが広ければ、横に2台並べる事もできます」と語る。
全体的なデザインは、近未来的な洗練されたイメージで構成されており、内部の壁は透過性の光の矢印(青色LEDを使用)で通過する人の進むべき方向を表してくれる。
「本システムの検知システムは重量測定タイプです。各個人の体重データを入力しておき、ICカード等との連動で本人かどうかを確認します。この時、二人で入 れば当然体重オーバーとなりますので、入室する事はできません」(高根氏)
通行能力は1分間に6人と、一般的な他社製品よりも早いのも特長の1つだ。本体価格は750万円。
日本ハルコン 既存の電気錠はそのまま使用できる ドアの前に置くだけ据付工事などは不要
日本ハルコン(長野県佐久市)では、これまで使用してきたドアの電気施錠やセキュリティシステムを変える必要のない、共連れ防止装置を提供している。
「ILD(インターロックドアユニット)シリーズ」は入り口のすぐ前に置く事で、物理的に二人以上で入退室ができなくした。
外寸は幅115㎝、奥行き66㎝、高さ165㎝で、ドアのすぐ前に置いても圧迫感はない。また、侵入を防ぐパネル部分は透明で、これもものものしい雰囲気を避ける要素になっている。
同社の発表によると、以下のような入室手順となる。
まず通行者がドアの前まで来ると、同システムのゲートが開く。通行者は今まで通り本物のドアの施錠を解除し、認証され入室が可能となる。この時、ゲートは閉まり、本物のドアが開かれても第三者が入室する事はできない。
既存の電気施錠をそのまま使用できるという特徴の他に、同システムは製品をドアの前に置くだけなので、据付工事が不要。電気錠の接点信号をそのまま装置内に取り込むだけで使用でき、複雑な接続作業も必要ない。また、通常のオフィスビルのエレベーターで搬入できるので、搬入費用なども必要はない。
オプションとして、音声案内なども用意されており、目の不自由な利用者でも安全に使用できる。
竹中工務店/他 人的警備との組み合わせで厳しいセキュリティを実現 3社での共同開発マンションに導入
竹中工務店(大阪市中央区)と日立製作所(東京都千代田区)、日立エンジニアリング・アンド・サービス(茨城県日立市)は共同でハンズフリーによる入館と、共連れ検知システムを両立したマンション向けセキュリティゲートシステムを開発した。
「スルー&ガード・ハイブリッドセキュリティシステム」はアクティブ型ICタグ(電池を内蔵し、電波を用いて受信機器と情報を受発信できる無線ICチップの事)を利用したシステムで、マンション入居者はこれを普段から持ち歩いていれば、入館時に特に機器類にタグをかざす必要もなく、通行する事ができる。
その際、タグを持たない人物が続いて通行しようとしても、センサーが即時に検知。管理システムにアラームが発報され、管理人やセキュリティスタッフが対応を行なう。これは都内のある大規模新築マンションにも既に採用されており、各種検知システム機器は床や天井裏に埋め込まれているのでエントランスの意匠性を損なってはいないとの事である。
また、このシステムに使用されているタグを利用した特殊機能も提供されている。エントランスでロックが解除されると、タグの情報をもとにして居住階向けのエレベーターを先行して自動呼出しし、待ち時間を低減するという。
このシステムは人的警備との組み合わせでより高い効果を得る事できるが、実際に導入済みのマンションも人とシステムの両方で共連れ防止対策を行なっている。
ネットワークス マンション向けのシステムを開発 小型のマットで体重を計測様々な条件に合わせ施工可能
制御装置などの設計・製作や各種電気工事などを行うネットワークス(東京都品川区)からは、2つの共連れ防止セキュリティを紹介する。
1つは「SBOX(エスボックス)」。検知システムは体重測定タイプで、一番の特徴はそのための機械を薄いマットにした事にある。このマットは50cm角程度の正方形で、スペースに合わせて設置できる。
同社代表取締役米山氏は「セキュリティゲートを設置できるスペースは、ビルの規模や条件によって様々です。当社では、そのまま置ける完全なボックスタイプも用意しておりますが、マット化する事で、あらゆる広さ、形状のスペースに対応でき、またコストも他社よりは大幅に安くする事ができました」と語る。これは、例えば既にある自動ドアをセキュリティゲートにしたい場合などに有効だろう。
もう1つのシステムは「IOキャッチャーM」で、超小型タグを利用した共連れ検知システム。「例えばマンションの場合、タグを持っている人ならば普通にエントランスを通過できますが、タグを持っていない人がそのすぐ後から付いて来て、建物内に入ろうとした場合、管理室のモニターなどに部外者が侵入した事が通報されます」(米山氏)
このシステムは、入り口付近に赤外線システムとタグリーダーを設置するだけで済むので、コストパフォーマンスも高い。