不動産トピックス

クローズアップ 床材編

2008.03.03 16:17

 似通った内装材を使用することがビルのイメージを固定化させている。このことが、テナントに対して物件をアピールする際に価格競争につながってしまう要因の1つとなっていることは否めない。床面は内見の際に最も多く視界に飛び込んでくる部位だ。工夫次第でフロアの差別化に大きく貢献する、特徴的な床材を見ていく。

大建工業 導管にプラスチック樹脂を注入する独自の加工法 木目模様を鮮やかにし高い耐衝性と撥水性を実現
大建工業(大阪市北区)が開発した「コミュニケーションタフ」は、木目の美しさを引き出す商業向け高級床材である。
 この製品の特長は、プラスチック樹脂を木材に含浸させるというWPC加工だ。
「木材には、導管と呼ばれる多数の孔があります。孔が多いほど木材の対衝性は損なわれるのですが、当社で行っているWPC加工によって、対衝性を上げるだけでなく高い撥水性を保持することにも成功しました」
 木材を使用した床材における問題の1つに、ヒールによるへこみがある。この「コミュニケーションタフ」は、このWPC加工によって傷がつきにくく、へこみにくい構造となっている。
 また、木材を表面に薄く張った突き板は、従来品が2mmであったのに対し、この製品では0・5mmの厚さを実現。そのため、比較的低コストで木目の自然な美しさを導入することが可能となる。現在は、老人ホームや幼稚園といった文教施設等に多く導入されており、更に商業施設へのシェア拡大を図っている。
 WPC加工は、木目の持つ自然な濃淡を強調する効果も持つ。現在はブナの木を使用して、染め上げた製品を販売しているが、今後はウォールナッツやチェリーなどの材質をはじめとする複数の銘木を使用し、木目の美しさを活用した商品の展開をしていく予定だ。
1坪12枚あたり4万6200円(税込)となっている。

サンゲツ ポリプロピレン採用でコストカット オフィスフロアに意匠性 雰囲気を変化させる床材
 サンゲツ(名古屋市西区)が開発したタイルカーペット「NTシリーズ」及び「DTシリーズ」の中には、かつてのオフィスに持つイメージの単一色に染められたタイルカーペットもラインアップされている。しかし、同社が奨めている製品はより意匠性の高い製品である。
 「一般的にオフィスと聞いて浮かぶイメージというのは、白い壁に青や灰色の単一色のタイルカーペットではないでしょうか。しかし、当社で開発した製品は多種多様にわたっています。私は、既存のイメージに捕らわれずに提案することを心がけており、できる限りオフィスの雰囲気を明るくするものをお奨めしています」
 意匠性が高くても価格が高ければ、導入に二の足を踏んでしまうのは当然だ。しかし、「DT630」シリーズは、同社が開発している製品の中で最も安価な製品と比較して、坪当たり800円の差額でより意匠性の高いオフィスフロアを実現する。
 使用される材料はポリプロピレンで、カーペットの厚さは6・6mm。モザイク状に編まれた製品は、単一色の製品と比較して表面の汚れも目立たず、メンテナンスに手間がかからないという。
価格は1㎡あたり5700円。1枚あたり1425円となる計算だ。防炎対応で、中程度の歩行頻度を 想定した耐衝性を持ち、オフィス向けの製品である。

タジマ 長期間で使用が可能8mmの原着ナイロンパイル 複雑な柄が動線隠しクッション性を実現する
 タジマ(東京都千代田区)がオフィスの床材として奨めるのが、「タピストラード」である。
この製品は、大きな1枚の柄を50角のタイルカーペットに切り取り、ランダムな模様に現れる様子を楽しむというもの。
 長方形や正方形とストライプ地を組み合わせた柄が、床面に豊かな表情を映している。
 「現在、タイルカーペット全体の売上は一昨年のデータで2700万〜2800万といわれています。その中の8割〜9割が一般的な単一色のカーペットです。しかし、近年は少しずつデザイン要素を加え趣の異なる製品も開発されています。当社としても、この製品を通じてオフィスフロアのデザイン性の向上に寄与していきたいと考えています」
 この製品の厚さは8・0mmとやや厚めに設定されている。そのため、オフィスフロア以外にも老人ホームのような福祉施設や、学校をはじめとする公共の建築物に使用されている。
原着ナイロンを素材に採用し保持したクッション性に加え、複雑な模様が汚れをカバーするため、従来品と比較して長期間使用することが可能。しかも、パイルが多少つぶれてしまったとしても、細かな 色の濃淡が動線を感じさせない。
 価格は1㎡あたり9800円となっている。

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