不動産トピックス

今週の一冊

2008.03.10 15:31

地域資源を活用しまちの魅力を向上

観光振興と魅力あるまちづくり 地域ツーリズムの展望
著者:佐々木一成
出版:学芸出版社
定価:2600円(税抜)
発行:平成20年2月25日

 日本の各地で、独自の歴史や文化、伝統、景観等の資源を十分に、有効に活用することで、活性化に成功した事例が多く存在する。10年以上にわたって観光研究に取り組んだ著者は、わが国の観光振興 や魅力ある地域づくりに貢献することを目的に、これまでの集大成とも言える本書を執筆した。
 まず1・2部では、外国にばかり目を向けられ、積極的に行われてこなかった国内の観光振興の現状について述べられている。続いて3部で、地域の特性を生かした観光振興で、成功を収めた実例が紹介されている。「別府八湯温泉泊覧会」という地域資源を活用したイベントを開催する大分県の別府温泉や、自治体による映画・ドラマの撮影地誘致が活発化する現在、市内で撮影が行われた映画を集めて、映画祭を開催する長野県上田市などの取り組みが紹介されている。
 最後に4部では日本の変わり行く景観や休暇制度など、観光振興のこれから改善や対応が求められる問題点が指摘される。
 観光ビジネスに携わる人には、日本の観光市場の現状を知る上で参考になる1冊であるとともに、少子高齢化・財政難に苦しむ地方を応援する著者の思いが本書には込められている。




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