不動産トピックス

クローズアップ 特殊塗料編

2008.03.24 11:51

 ビルの外壁などを塗り替える時、多くのオーナーは業者に一任してしまうだろう。色や風合いは気にしても、断熱効果や防音効果を有する塗料を指定する事は少ない。今回は特殊な機能を有した塗料を紹介するので、塗り替えの際にはもう一度検討してもらいたい。

神栄産業 ステンレスを含んだ塗料藻の発生防ぎ美観も向上 水槽取替えより低コストで導入が可能に
 ビルの屋上に設置されているFRP製水槽。汚れが目立ちやすく、また完全な遮光が難しいので、藻の発生を招きやすい。
 トーチ(東京都品川区)が製造し、神栄産業(東京都豊島区)が代理販売を行う「タンクステンコートPS500」は、FRP水槽が抱える問題を解決する。
 同製品は「SUS316Lステンレスピグメント」と呼ばれるステンレスの素材がうろこ状に重なり合い、光の透過率を0%に抑える。
 神栄産業のクリーン環境グループIT管理責任者、福原一樹氏は「既存のFRP水槽に塗装するだけですので、大がかりな取替え工事を行う必要がなく、産業廃棄物も発生しません。また施工期間も大幅に短縮できるので、ビルの利用者やテナントへの影響も軽微です」と語る。FRP水槽は表面がざらついている事もあり、汚れが付着しやすい。また、屋上にあるため、ビルの外から見える場合も多い。これでは、いくらビルの外観を美しく保っていても、イメージダウンは避けられない。
 ステンレスを素材の1つとしている同製品の塗装後は、汚れが付着しにくくなり、適度な光沢もあるのでより美しく、強度も強くなると同時にビル全体のイメージも向上するだろう。
 また、材料中には人体に有害な成分は一切含まれておらず、施工中も施工後も、利用者は安心して業務を継続できる。雨風の影響を直接受けるだけに、塗料の選択は重要だ。

日進産業 宇宙航空研究開発機構の技術を民生部門に 断熱だけではない塗料防音や空気環境改善も
 日進産業(東京都板橋区)が開発・販売している高性能塗布式断熱材「GAINA(ガイナ)」シリーズは、JAXA(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)から技術の実施許諾を受けて製品化したもの。
 JAXAの発表によると、日新産業は約10年前から建築業界を中心に塗布式の断熱材「シスターコート」を販売していた。その後平成17年にJAXAから「Hロケットの先端部の衛生保護カバー用に開発された断熱材技術」の実施許諾許可を受け、民生分野での製品化に成功したという。
 同製品には、断熱、遮熱といった効果の他、防音や防露、消臭、防菌などの効果もある。
ガイナを特徴付けているのは、特殊セラミックを塗料化した事にある。セラミックは、断熱性能に適した種類のものがあり、それを原料とする事で断熱効果を確保した。
 また、このセラミックの働きによって空気を改善。理想的なイオンバランス空間を作り出すことが可能だという。
 施工も簡単で、吹き付け施工やコテ塗り施工、ローラー施工など様々な施工方法に対応する。従って、高価な専門道具を揃えずとも、今ある道具で塗布がすぐできる可能性もある。

ニッシン・ジャパン 酸やアルカリにも侵されず銀イオンが細菌繁殖を防ぐ 乾燥早く工期を短縮メンテナンスも容易
銀イオンを配合したことにより、防菌・防カビ性能を高めた塗料「ステリシーンSI」は、日本ではニッシン・ジャパン(東京都大田区)が販売している。開発は英国のリクイッドプラスティックス社。
 ニッシン・ジャパンの説明によると、同製品は「銀イオン配合により、塗膜が存在する限り構造が維持され、防菌・防カビ効果が続く」「厳しい洗浄状態が求められるエリアで、強靭な特殊弾性アクリル塗装が剥がれや気泡、ひび割れの発生を防ぐ」「対候性や耐薬製が高く、また、酸やアルカリによっても、劣化や変質などを起こしにくい」「塗装面はなめらかで光沢があり、スチーム洗浄や薬剤洗浄でも損傷しない」「バクテリアが発生しやすいセラミックタイルへの使用が可能」「マイナス30℃から80℃までの極端な寒暖差への耐性に優れる」などの特長が挙げられている。
 また、銀イオンが細菌の繁殖を防ぐメカニズムについても説明。「銀イオンが細菌の細胞壁を破壊、呼吸作用を妨害し、さらにDNAに付着して増殖機能を破壊」するとしている。
 実際の施工にあたっては、乾燥が速く工期が短くて済むのも特長の1つであり、また日々のメンテナンスとしては、汚れなどが付着しないよう、定期的な水洗いを推奨している。
 さらに、「適正な方法で使用されたものに対しては施工後10年間、保証付き」とするなど、アフターサービスにも力をいれている。

ロックペイント 汚れが付きにくい特殊薬剤配合 優れた硬化速度により塗装作業を短縮させる
 ロックペイント(大阪市西淀川区)では、汚れが付きにくく、藻やカビなどの発生を抑える特殊薬剤が配合された塗料「プリンキピア」を製造している。
 同社の発表によると、このプリンキピアは「全く新しい速硬化技術により作られた樹脂塗料」との事で、塗装工期を大幅に短縮させる事が可能だという。
 具体的には、特殊速硬化型NAD樹脂を採用した事で、温度の変化が硬化速度に及ぼす影響を抑え、低温時にもすぐれた硬化性を示す。
 また、ホルムアルデヒドの放射がなく、芳香族有機溶剤を含まない超弱溶剤を使用しているので、臭いも抑えられているとの事だ。これは、トルエンやキシレンといった、芳香族系炭化水素溶剤を含有しない事によって実現した。
 鉛やクロムなどの有害金属も減量としては使用されておらず、懸念されていた土壌汚染なども避けられる。
ウレタン結合の特性も持ち、対候性のある表面の仕上がりとなる。
 「プリンキピア」用途範囲は広く、コンクリート、モルタル、鉄、非鉄金属部、木部、硬質塩ビなどに塗布できる。
 実際に塗装作業には、概ね2〜3回の重ね塗りが必要で、乾燥時間は1・5時間とされている事から、重ね塗りはそれ以上の時間を空ける必要がある。
 同社のホームページ上には、色見本も公開されている。もちろん、実際には最終的に色見本によって色合わせをする必要があるが、大まかな目安としての参考になるだろう。




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