不動産トピックス

クローズアップ 省エネ照明編

2008.04.07 11:03

 ビルにおけるCO2削減義務問題をはじめ、オーナーにとって省エネはテナントへのサービスという位置以上に重要な課題となっている。その中でも大きな比重を占める照明器具では、コストだけでなく交換等の時間削減に寄与する商品が開発されている。

 松下電工 ランプ使用本数が従来比で3分の1に 試算で1万8000時間の長期寿命を実現
 「Wエコ」シリーズは、松下電工(大阪府門真市)により開発された環境配慮型照明器具である。
 従来の蛍光灯は2灯で1セットとなっている。年間3000時間使用すると考えると、従来器具の寿命は約4年間。12年間を1クールとして計算すると合計で6本の蛍光灯を使用することになる。一方、「Wエコ」シリーズは、1灯で従来の2灯分の照度を確保する。さらに、使用寿命は約6年間。結果、同じく12年間で2本のランプを使用するにとどまる。
 また、ランプの寿命は約1・5倍。電気代を21円で計算した場合、ランプ代や電気代込みでの合計ランニングコストは1台あたり約2000円削減となる(試算による)。その秘密は高拡散反射パネルと安定器にある。
 「『Wエコ』は、ハイパワー・長寿命・省エネの3点を特長としています。さらに、従来器具では、ランプ設置当初に明るく、使用年月を経るごとにだんだんと暗くなるのが一般的でしたが、この製品には明るさを一定に保つ安定器が備えられており、ランプをセットしてから撤去するまで、明るさにムラがありません」
 シリーズの中には、リノベーションにも活用可能な直付器具もラインアップされており、環境に配慮する企業の本社ビルやボーリング場など幅広い場所で導入されている。
 「ボーリング場からは、交換が少なくレーンを傷つけずに済むと好評を頂きました」

東芝ライテック 点灯寿命が4万時間の高効率LED 従来のランニングコスト約55%カットを実現する
 東芝ライテック(東京都品川区)が製造・販売する「E-CORE」シリーズは、高効率のLEDダウンライトである。
 寿命は約4万時間で発熱が少なく、波長域が異なるため虫が集まりにくい。
メーカー試算における、ビルのエントランスで年間あたり3000時間、12台を10年間点灯する場合のイニシャルコストとランニングコストの合計を見てみる。
従来のミニクリプトンライト使用時には消費電力が36W、CO2の排出量は年間758と算出され、使用電気料金の単価が22円としたときに合計額は約62万円である。
 それに対して、「ECORE40」使用時には、消費電力が5・3W、CO2排出量は74と算出され、同単価で合計約28万円に抑えることが可能である。
 「寿命が長い分、メンテナンスの手間もかかりません。従来の白熱球の寿命は1000時間から2000時間といわれています。特にビルのような大型建築物ではあちこちで電球が切れてしまうため、メンテナンスの手間やランニングコストが余計にかかっていました。しかし、『E-CORE』シリーズは長寿命のため、その分の時間とコストを削減することができます」
 また、既存のダウンライト用の埋込穴と直径が異なる場合でも、リニューアルプレートを使用することで器具と穴との隙間を埋めることが可能。そのため、リノベーションにも活用することができる。

テスコ・ライティング 約95%の反射率が実現する照度 屋内外で照度を向上b電力約65%カットも
 テスコ・エコライティング(福岡市博多区)が開発・販売している「TDDL」シリーズは、高反射率を実現する広角反射板である。この製品の特長は、95%という高い反射率が実現した照度の向上だ。
 「『TDDL』シリーズの大きな特長である高性能多面体構造は、当社独自の技術で実現されたものです。そのため、通常の機械プレス加工で同様の多面体を加工することは難しく、当社の熟練した職人の技術によって成形しています」
 この多面体により照射エリアが拡大し、結果的に灯数の削減を実現する。また、それによってランプから発せられる熱を約50%カット。さらに照明器具の削減によりランニングコストカットにもつながる。
 「ランプ自体の交換費用も削減することが可能ですし、削減されたランニングコストによってイニシャルコストの回収もより早く行えます」
 そのため、より明るさを求められるスーパーマーケットやアミューズメントスペース等に導入されている。
 「この照明間広角反射板は、高度23mの高さに設置されたライトでも床まで光が届くよう、角度の微調整が可能です」
 今後は、商業施設内の店舗やビルのエントランスをはじめさまざまな分野へ展開していくという。




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