不動産トピックス
商業ビル最前線
2008.04.14 10:26
渡東 大型店舗の流れ一転し地域密着型店舗の需要高まる 徒歩で買い物できる利便性が魅力 地域に根付いた小店舗が生き残る
平成13年12月、山梨県富士吉田市の中心地に開業した商業施設「富士吉田渡東ショッピングセンター」は、敷地面積は約1000坪の地上2階建て、売り場面積は約400坪の地域密着型店舗だ。店舗1階部分にはスーパーマーケット「セルバ」、2階部分には100円ショップ「ダイソー」が入居する。
当時、敷地面積が1万坪単位で500坪規模の店舗が複数集中する「パワーセンター」が主流となっており、商圏の狭い小規模店舗は難しいとされていた。
しかし、現在では「徒歩で通える地域密着型店舗」として、順調な集客を見せている。「元々、この施設にはダイエー系のスーパーが入居していましたが撤退してしまい、地域からのSC開業要請があって商業施設を開発しました。しかし、パワーセンターと呼ばれる大型商業施設が全盛期であった当時、小規模店舗は好まれない傾向にありました」(岡田氏)
パワーセンターとは、1万坪単位で確保された敷地の中に、500坪前後の店舗が複数立地する大型商業施設だ。商圏が200㎞から300㎞といった広範をカバーする。
「当時、スーパーの店長にも、こんなスーパーは時代に即していないと言われていました。100台以上収容できる駐車場を用意しても、これでは足りないと言われたものです」(岡田氏)
元々ダイエー系の店舗であった施設を買い取り、新たな商業施設として開業させるにあたって、岡田氏は各地のショッピングセンターを見学に行ったが、「何万坪の敷地に駐車場があっても、一部分にしか駐車されていませんでした。敷地も広く、店舗と店舗の間を移動するにも一苦労です」との感想を抱いたという。
しかし、ここにきて店舗の大型化の波に変化の兆しが現れた。大丸ピーコックや成城石井、東急ストアなど、食料品や日常品の取扱いに特化した小型ストアが登場。これらの店舗が成長したのは、「衣類や嗜好品は都心まで足を運び購入するが、食品等日常品については近場で調達する」需要が強かった点もあるだろう。
「当社が経営するショッピングセンターは、日常品の買い物には適度な規模で、かつ町の中心部にあり歩いて行けるのが大きな魅力です。高齢化社会は避けて通れない道でしょう。高齢者は郊外型SCには通えませんので、今後は地域密着型の店舗の需要が高まるのではないでしょうか」(岡田氏)
激戦見込まれる大阪駅前 両グループが総力を結集 新北ビルの核テナントJR西日本伊勢丹に
西日本旅客鉄道(大阪市北区)が大阪市北区梅田で開発を進めている「大阪駅新北ビル新築工事」について、これまで三越(東京都中央区)が運営する百貨店を核テナントとすることで準備を進めてきたが、4月8日、西日本旅客鉄道の連結子会社で、伊勢丹(東京都新宿区)の持分法適用関連会社でもあるジェイアール西日本伊勢丹を、大阪駅新北ビルにおける百貨店の事業主体とすることを決定した。
今年4月1日、三越と伊勢丹は三越伊勢丹ホールディングスとなっており、かつ大阪駅の顔となる百貨店をより一層魅力的なものにするためには、同ホールディングスと西日本旅客鉄道の両者グループが総力を結集させることが必要であるとの認識に至ったもの。
「大阪駅新北ビル新築工事」は、敷地面積約5万7400㎡(大阪駅含む)で、地上28階地下3階塔屋2階の規模。延床面積は百貨店が約9万㎡、専門店が約4万㎡、オフィスが約4万5000㎡となる予定。同時に、駅構内の改修も行われ、「アクティ大阪」と新北ビルの間をドームで覆う計画で、総事業費約1500億円となる巨大プロジェクトである。
大阪駅周辺では、同23年に「阪急百貨店梅田本店」の建替え工事が完了する予定。建替え後は、店舗面積約8万4000㎡の大店舗となる。その他、「大丸梅田店」の増床工事など、平成23年には大阪駅周辺は商業激戦地区となる見込みだ。
デビアス 銀座の空に円曲描く新ビルアジア初のデビアス路面店 約7億6000万円のダイヤモンドも陳列
ジュエリーブランドのデビアスダイヤモンドジュエラーズ(英国ロンドン)は、3月28日に銀座2丁目マロニエ通りにて、アジア初の路面店「デビアス銀座本店」をオープンさせた。
店舗を構える「デビアス銀座ビルディング」は、空に向かって歪んだ円曲を描く外観をしており、建物の基本設計は日本橋三井タワーなども手がけてきた建築家、光井純氏による。店舗は地下1階から地上2階までの3フロア。
内装は黒と白のカラーと木を基調としており、エッチングガラスや黒檀ディスプレイカウンターなどを用いて、ダイヤを思わせる光と影のコントラストで表現している。
1階のハイエンドコーナーでは約7億6000万円のピンクダイヤモンドなどのハイクラスなジュエリーがディスプレーされる。
小田急百貨店 14階レストラン15年ぶり改装改装費2億円投じ新たな顧客確保 フロアのバリアフリー化も推進
小田急百貨店(東京都新宿区)は、新宿店本館レストラン街・マンハッタンヒルズのうち、最上階14階および13階エントランス部分を改装し、3月23日にオープンした。プレステージ性が高い店舗を展開する14階の全面改装は、平成5年以来15年ぶりとなる。改装費は約2億円。今回の改装において、14階の「日本料理なだ万賓館」および「銀座清月堂」では、内装の一新と、新たな戦略顧客として捉える30代〜40代の「上昇志向を持って働く女性」を顧客化すべく、メニューを含め強化が図られた。
吹き抜け構造の13階エントランス部分は、内装、照明を一新し、開放感のあるアトリウム空間にすると同時に、フロアのバリアフリー化を推進している。
<新商業施設>東急リロケーション PASSAGEAOYAMA」小路(パサージュ)に新業態が集約し南欧空間を創出 感度な物販と飲食店以外にもアート作品発表の場まで幅広く
4月11日、港区南青山二丁目に、南欧をイメージした商業施設「PASSAGEAOYAMA(パサージュ青山)」がグランドオープンした。
同商業施設は、東京地下鉄(東京都台東区)および地下鉄ビルディング(東京都台東区)が共同開発した複合施設「AOYAMAM’sTOWER」の一角に位置する。東急リロケーションが同施設を一括賃貸し、店舗イメージのデザインからテナントリーシング、運営までを担う。
青山通りから外苑西通りに抜ける小路(パサージュ)には店舗が軒を連ね、その合間に南欧をイメージしたガーデニングが続き、古いレンガの壁や石畳、街灯が心地よい空間を演出する。店舗部分の面積は、地上2階で延床面積1931・63㎡。気軽で開放感のある空間に選りすぐりの13店舗がオープンする。パティシエ高木康政氏が手がける新業態カフェ「ラメゾンドゥタカギ」や、大丸ピーコックによる「上質な日常」を提案する新業態のスーパーマーケット「エクセピーコック」など、生活に彩を添える個性的な店舗が並ぶ。
物販、飲食店以外にも、多目的アートスペースとして「クレアーレ青山アオートフォーラム」が設置される。全国で450作品に及ぶパブリックアートを手がける「クレアーレ」現代壁画研究所が運営する多目的アートスペースで、「クレアーレ」のステンドグラスや陶板レリーフ作品、アーティストたちの作品発表の場として、またアートに親しむサロンやワークショップを開催する場として、芸術・文化の情報発信の役割を担う。
また、汐留に続き国内で2店舗目となる体験型ショールームレストラン「アーキテクトカフェ」も、注目テナントのひとつ。インストアメディア社(横浜市神奈川区)が運営主体となり、協賛企業16社とコラボレーションをはかり、住まいを考えるきっかけを提案する。協賛企業各社の商品を展示し、需要を喚起すると同時に、実際に商品にふれて、試してみることができる娯楽性なども、このカフェの魅力だ。気に入った商品があれば、その場で購入することも可能。
新業態店舗を集約した「パサージュ青山」では、青山にふさわしい都会的で新しいライフスタイルを提案するとしている。