不動産トピックス
クローズアップ セキュリティ編
2008.05.05 10:51
ビルのセキュリティは、オーナーにとって気にかかる問題の1つ。かといって、どのようなアイテムを導入しても構わないというわけにもいかない。また、金銭や物品だけでなく情報を盗もうとする事件も少なくない。有効なセキュリティとはどのようなものなのか。特徴的な製品を見てみる。
北陽電機 高性能測域センサが実現する検知システム 関係者の入室に紛れる不安 高セキュリティレベル対応
北陽電機(大阪市北区)が開発した「共連れ検知センサシステム」は、部外者が関係者の入室に紛れて入り込むことを防止するためのセキュリティシステムである。
このシステムに用いられているのは、同社が開発した測域センサ。元々は無人搬送台車(AGV)に搭載されていた工場内での接触事故防止用センサであった。やがて、顧客からの依頼でセキュリティロボット等へ搭載。
「AGVに搭載時から小型でしかもスポット的に計測するのではなく、面として認識できるよう設計していました。それが評価され、各社のロボットへの搭載が決定。現在は7~8割のシェアを占めています」
セキュリティに高い関心が寄せられる昨今、IDカードや暗証番号を使用して防犯対策を行っているビルは多い。しかし、一方で滑り込まれてしまう共連れの危険性は回避することが難しい。
「通常ではカメラを用いるのですが、当社のものは元々警備用ロボットなどに用いていたセンサを活用しています。そのため、価格も100万円前後と比較的安価で導入が可能です」
検出パターンも認証後の駆け込み・すれ違いの検出等さまざまなケースを想定しており、造幣局やサーバールームといった、より高いセキュリティレベルが求められる場所で導入されている。
日本ロックサービス 簡単施工で取り付け可能な室内用鍵 施錠時は付属のカンヌキの押込だけ
日本ロックサービス(東京都板橋区)が開発した「インサイドロック」は、ドア及び窓に後付する内側用の鍵である。
この商品の特長は、第一に室内側の施錠を行うためガラスを破っての侵入の防止に効果を発揮することがあげられる。窓の多くでロックはされていても、施錠されていることはほとんどないという。そのため、ガラスを破って侵入することが可能なのである。
その点、インサイドロックは窓そのものを鍵で施錠。そのため、簡単に窓を開けることは難しい。また、製品そのものもスリムで、狭い場所でも使用することが可能。取り付けも簡単で施工を依頼する必要がない。
「この製品は、ビルの窓・ドアを問わずに使用できます。取り付けたい場所にインサイドロックを当て、ネジ等を用いて固定するだけという簡単施工です。そのため、個人のオーナーであっても自分で施工することができます」
ただし、取り付け面が木製またはアルミ製であることが必須。スチール製の場合には別途、加工を要するので注意が必要だ。
施錠時はかんぬきを押し込むのみ。開錠する場合には鍵を差し込み、かんぬきを移動する方向に回す。施錠・開錠に手間がかからないため、外出時の慌ただしい中でも焦らず操作することができる。
また、イタズラ防止のアンプッシュ機能も付属しており、安全に配慮されている。
サンエス技研 投げるだけの簡単動作で犯人検挙 証拠となるミクロの粒子 飛散領域は半径約10m
サンエス技研(東京都渋谷区)が開発した「クラックボール」は、全国の郵便局及び金融機関を中心に幅広く用いられている。
「人間は、非常時には投げるという単純な動作のほうがとっさに出やすいものなのです。当社でも開発にあたり、さまざまな形態のものを考案はしてみましたが、ただの球体のほうが使用しやすいと考えました」
使用されている塗料は、同社が塗料メーカーと共同事業で開発したもの。蛍光色のオレンジに含まれるナノレベルの粒子は、地面に落下した位置から平均して約10mの距離まで飛散。また、紫外線を用いるとルミノール反応を起こすため、ブラックライトを当てればその場にいたかが瞬時にわかる。
「水で拭いても粒子が繊維に残ってしまい、洗濯しても落としきることは不可能です。そのため、今まで導入した中で約78件の事件で犯人が検挙されました」
事例の中には同様の犯罪を重ねていたため、自白に導くことが難しいかと思われたが、粒子が付着していたことが証拠となり結果自白させることができたという事件や、女子行員が犯人に投げつけ事件解決につながるなどといったエピソードも。現在は大手コンビニエンスストアにも導入されており、その簡便さと性能でロングセラーとなっている。