不動産トピックス
クローズアップ グリーンレンタル編
2008.05.12 10:03
近年、国際的にも意識の高まるCO2対策を受け、外壁や屋上緑化に対する関心が集まっている。しかしその反面、ビル内部における緑化に関しては、まだ目を向けかねているのではないか。変化するグリーンレンタルを見る。
国土緑花 空間のトータルマネジメント 細かな顧客ニーズの汲み上げ
国土緑化(東京都江戸川区)のグリーンレンタルは、フランチャイズ制度である「グリーンポケット」を通して全国に展開している。
同社では、”緑による文化の創造”を企業理念に、観葉植物を用いた顧客のニーズにマッチする緑化空間構築のトータルマネジメントを目指している。
「当社のサービスは、顧客の持つさまざまな要望や経費等に合わせたプランニングが行える点と、フランチャイズチェーン展開による全国統一サービスを提供できることが特長です。水やりなどのメンテナンスや設置植物の交換など、観葉植物に関わる一切をプロデュースしますので、ビルのオーナーやワーカーが管理に気を配る必要はほとんどなく、緑のあるオフィス・商業空間を、手間をかけずに手に入れられるようなサービスを行っています。自社で植物を購入・管理をしていたところがレンタルに切り替えるケースも多いのです」
商業系施設の中には、店舗のイメージアップとしてグリーンを重要視するところも増えている。グリーンポケットでは、季節の花を楽しめるコンテナガーデンや、例えばトロピカルやジャングルといったテーマを持つ店舗にはヤシ系の植物を多く使用したコーディネートをするなど、幅広い設置方法を提案している。
「植栽を実際に設置してみると、次に設置する植物のリクエスト等も具体的になってきます。顧客の満足を一番に、豊富な種類の植物と四季折々の草花を用意しています」
野沢園 PHSを活用したメンテナンス体制 力強い根張りが植物を見る鍵となる
明治7年に創業した野沢園(東京都世田谷区)では、本社事務所近隣に合計2000坪・4ヵ所の農園を所有するとともに、茨城県牛久には無人の植物再生専用農場を配置。コストダウンとともに健康な植物の育成を行っている。
同社では、従来難しいとされてきた植物のメンテナンスにおけるシステム化を推進しており、業務提携によって開発されたソフトを用いて、PHSを活用し、メンテナンス現場から画像や現況を直接本部に転送。本部で植物の状態を観察し対応を行っている。
「植物を見るときに、最も注目するのはその根張りです。ぜい弱な根の植物はひ弱な印象を与えますが、根ががっちりと張っている植物は、その力強さが違います。当社では八丈島に農園を構え、健康で力強い植物の生育に力を注いでいます」
同社では、鉢植木のリースと造園・樹木の維持管理に加え、テレビ局スタジオ等における舞台装飾を手がけている。そのため、TV分室としてフジテレビジョン内に事務所を設けており、オフィス等で従来良く見られるような植物だけではなく、要望に応じたさまざまな種類のものを提供することが可能だ。また、配送に使用するトラックにも一工夫されており、”走る温室”をテーマに、配送中、周囲に植物を見て楽しんでもらえるよう、荷台にアクリル張りの小型温室を設置している。
八勝園 清潔感あるハイドロカルチャー 大手カフェチェーン店にも導入
八勝園(東京都府中市)では、ハイドロカルチャーを使用した植栽の提案を行っている。
ハイドロカルチャーとは、発泡煉石と呼ばれる凹凸の多い石を用いた水耕栽培。土を使用しないため、衛生面で注意が必要な飲食店などに主に導入されている。
「ハイドロカルチャーは清潔であるとともに、再利用が可能なためエコロジカルとされています。もちろん、土を使用した鉢植えも多数提供していますが、喫茶店やレストラン及び飲食商業ビルでは土に含まれる有機物などに気を配る必要がないため好評をいただいています。特に飲食店舗では人手を植栽の管理まで割く事が難しく、メンテナンスも当社に任せ切りにできるところが受け入れられているようです」
家庭用では小型のものが多い栽培方法だが、同社が提供する植物は1・6m(鉢含む)ほどの高さのものを中心に展開。使用用途に合わせた鉢植えを提供している。一方で、土を使用した植栽では「PREMIUMGREEN」と呼ばれるシリーズを展開。ビビッドな色の鉢をはじめ、デザイン性の高い植栽を提案している。導入費用は、同社で行っている通常のサービスにプラス2〜3割だ。
同社では「ホームセンターで手に入る安価な鉢植えと同等の鉢植えを提供したのでは、プロである意味がない」としており、経費や環境を考慮しながら、空間デザインの構築を提案している。
エド・プランツ・サービス 内装デザインにも貢献するサービス 空間構築のプロとして提案する植栽
グリーンレンタル及び鉢植えの通信販売を行っているエド・プランツ・サービス(東京都江戸川区)では、銀座や青山及び六本木をはじめとする商業店を中心にサービスを提供している。同社は百貨店の催事場やディスプレイなど幅広くサービスを展開。大手上場企業の入社式や会社説明会場にも使用されている。
「当社では、さまざまな企業と付き合う上で、グリーンだけではなくまわりに付随したアイテムの加工や装飾も行ってきました。例えば、店舗に使用したいという要望に応えて、青竹を焼いて色をつけたオブジェを提供したり、家具店とコラボレーションして空間デザインを行ったりしています」
同社では、植物を説明するときにはカタログを極力使わず、顧客からのヒアリングによってイメージを固め、それから植物を選択する。200種類にも及ぶ植物のカタログを提示しても、選びきれずに方向性を見失うケースが多いためだ。
「顧客からの要望にはきわめて抽象的なものが多いのですが、それを踏まえて植物を選択することがプロとしての腕の見せ所と考えています。導入先では、水遣り等のメンテナンスを自社の社員教育に用いている企業もあり、当社では、ただ緑を置くというところから一歩進み、緑を教育などに活用するという企業が増加するのではないかと考えています」