不動産トピックス

クローズアップ 防音・消音編

2008.05.19 16:13

 オフィスビルに限らず、騒音問題は常に発生しうる。また発生源は建物の内外を問わず、伝播経路も空気伝播だけではなく、壁や床などの固体伝播によるものも多い。小規模ビルや老朽化したビルなどは、防音性能が低くなりがちだ。今回は窓や床など、様々な防音設備・建材を紹介する。

消音技研 スタジオなどが入居するビル階下への振動や騒音を抑制 音響防音・消音遮断技術で固体伝播音を防ぐ
 消音技研(埼玉県所沢市)では、防音・消音・遮音の建材や工法などを研究・開発している。その中の1つ、音響遮断技術と遮断材は、固体伝播音を遮断するという防音技術だ。同社代表取締役社長、井上一二三氏はこう説明する。
 「音の伝わり方は、空気中に広がる事によって伝播する音と、壁や床などの固体を通して伝わる音とがあります。特に後者は、音の発生源が壁や床に接触している時に起こりやすい。これを固体伝播音といいます。この音は、騒音のレベルとしては低いのですが、気になってしまう事が多い音でもあります。これを防ぐために音響遮断材を使用するのです」
 具体例としては、空調室外機や地下水槽から水を汲み上げるポンプ音などが、「騒音レベルは低いが気になる音」に該当するという。ピアノなどを置く場合、既存の床の上にこの音響遮断材を置き、さらに必要ならばピアノ用床(ステージ)などを置く。ビルなどより音が階下に伝わりやすい木造建築でも、これでほとんど伝わらなくなるという。
 井上氏によると、ダンススタジオや格闘技道場、ジム、印刷会社などをテナントとして入居させる場合には、特に有効だとの事である。

トステム 後付けタイプで既存物件にも取り付け可能 平均40dBの減音を達成音の侵入と漏れを抑える
 トステム(東京都江東区)では、樹脂製内窓サッシとして、「プラウィンⅡ」を販売している。新築マンションなどに最適な「額縁一体枠タイプ」と、既存の窓に後から取り付けられるリフォーム用の「後付け枠タイプ」がある。
このサッシの防音性能はJIS遮音規格でT―40(40等級)。これは、平均で40dBの減音を可能とする数値で、外からの音の侵入と内側からの漏れを抑えられる。後付け枠タイプの「プラウィンⅡ」は、短い施工時間も特長の1つ。同社ビル建材事業本部の三吉氏は「既存の物件で、現在の防音性能に不満な場合など、後付けタイプのプラウィンⅡを取り付ける事で、遮音性能を高めることができます。乾くまで時間がかかるコーキングを使用しないため、施工時間が短縮できます」と語る。
 また既存のサッシと取替える場合、壁のコンクリート部分などを壊して、既存サッシ枠を利用し新しいサッシを枠ごと組込むといった方法もある。しかし後付け枠タイプの「プラウィンⅡ」は既存サッシを残して二重窓にできるので、そのような大がかりな工事は必要ない。従って、テナントやマンション住人が各戸に取り付ける事も可能だ。

YKKAP 中間空気層の効果で高い遮音性能発揮 防犯対策や操作性を向上メンテナンスへの配慮も  YKKAPが販売’している「Rs200S」は、遮音性能と断熱性能を高めた二重窓である。
 遮音性能については、T―4(40等級)を確保。騒音環境の厳しい立地条件でも対応できるという。同社の説明によると具体的には「二重窓の中間空気層の効果により、遮音性能を確保」したとされる。断熱性能については、「外窓と内窓の枠は断熱材を介在させて結合。二重窓による中間空気層の効果と合わせ、抜群の断熱性を実現している。室外への熱損失を抑えて暖房負荷を軽減した」との事だ。
 同製品では、操作性の向上もなされている。例えば引き手(開閉の際に持つ取っ手の部分)の設定だが、操作高さを限定しない形材引き手を標準装備。身長差などに関わらず開閉しやすい仕様となっている。
 また、防犯対策も次のような設定がなされている。まず補助ロックを標準設定。さらに、防犯合わせガラスにも対応できるよう、ガラス溝幅を22㎜とした。防犯合わせガラスとは、2枚のガラスの間に中間膜を挟み込み、加熱圧着させるもの。この中間膜が、ガラスを割って入ろうとする事を防ぐ。
 その他、消耗部品の交換も容易にするなど、メンテナンスへの配慮もなされている。




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