不動産トピックス

クローズアップ 外断熱編

2008.05.26 17:08

 断熱材やフィルム、断熱塗装などは、日本国内で当たり前となっている内断熱の工法に由来するリノベーション方法だが、近年、欧米で一般的な外断熱に目が向けられつつある。住居だけではなく商業・オフィスビルにも応用可能な外断熱を見てみる。

康和地所 経験がベースのコンサル商業施設への導入実績も 5つの付加価値を実現する外断熱を提案
 康和地所(東京都千代田区)は、外断熱のコンサルティングを行う総合デベロッパーである。外断熱にかかわる疑問や有用性に対する説明や提案を行っている。同社が掲げる付加価値は5つ。健康・省エネ・結露抑制と耐久性及び資産価値の向上だ。
 「当社に寄せられる案件に対し、コンサルタントとして相談に乗っています。当社で行っている外断熱工法は、乾式と湿式と呼ばれる2種類の工法です。外断熱コンサルティングを行ったものの中には、商業ビル等もあります。当社は首都圏では最も長く外断熱に携わっており、今までの実績を基に、物件にマッチした提案を行ってきました」
 乾式は、ボルトを打ち込んで外装材と断熱材の間に通気層を形成する。手間がかかる分、コストも多少上がってしまうが、一方でより通気性を確保するとともに、日光による断熱材への直接的な影響が及びにくい。
 湿式は乾式ほどの通気性は難しいが、躯体にアンカーボルトを打ち込む必要がないため工期が短く、コストも抑えることができる同。社が行った数々のコンサルティング物件の中には「シェーンバウム」という賃貸マンションなどがあり、また康和地所でも分譲マンション「リリーベル」シリーズで外断熱工法を取り入れ、より耐久性が高く安全で健康な物件の構築を目指している。

木野内化成産業 象が乗っても割れない外断熱材を製造 メンテナンス通路等に施工顧客の要望で生まれた製品
 木野内化成産業(愛知県松山市)が開発した断熱パネル「PGパネル」は、露出断熱防水のための歩行用断熱パネルである。断熱材を0・5mm厚のガルバリウム鋼板で保護し、1あたりの耐圧強度を80tまで強化した。
 「『PGパネル』で外断熱を行うことにより、躯体の保護や環境の平均化、結露域を最小に留めるといった効果を期待することができます。本来、当社の断熱パネルは人の歩行に耐えうるほどの強度を持っていませんでした。顧客からの依頼により、ガルバリウム鋼板を併用して歩行できるように製作しました」
 顧客からのメンテナンス通路に使用したいというリクエストから生まれた製品だが、同じ悩みを持っていたあちこちの 屋上における外断熱に引き合いが多いとのこと。
 「鳥栖のアウトレットショッピングモールでは、合計1600㎡分を施工しました。従来製造されていたスレート板やケイ酸カルシウムを使用した製品と比較して、大幅な軽量化にも成功していますので、象が乗っても大丈夫という安全性と軽量を同時に提供できたと自負しています」

丸二 内部結露を防止する外断熱クリーンな空気を提供する ダニ・カビに要注意結露がもたらす影響
 丸二(東京都武蔵野市)は、リフォームや土地活用なども行う建設会社である。その中でも外断熱工法はビル躯体そのものを保護するとあり、建築における柱の1つとして顧客に提案している。
 同社の外断熱工法は、ガルバリウムまたはサイディングと呼ばれる金物系外装材の内側に断熱材を入れる。これにより従来工法の内断熱に多く見られる”内部結露”を防止するというものだ。内部結露は外壁材と断熱材との間にカビが生え、ダニが住み着く要因となる。
 「実は、排気ガスが多く含まれると思われている外気よりも、室内空気のほうがずっと汚れています。その中でも人体に悪影響を及ぼすカビやダニは、結露によって生み出されるものです。外断熱工法を使用することで、これらの物質が空気中に散布されるのを防ぐと同時に、快適な温度の維持に貢献します」
 同社では、”本物の建築を提供する”ことを目指し、建設会社としての立場からの提案を行っている。その一貫として行っている引渡し後のアフターサポートでは、毎年5月に「ありがとう月間」を設け、顧客の要望をヒアリングするなど細かなサービスの提供を目指す。
 同社では、「入居者による座談会も、オーナーの協力を得て行っている」とのこと。 明豊エンタープライズ 厚さ約125mmの断熱材で保護 結露を防ぐ断熱工法オール三ツ星で証明
 明豊エンタープライズ(東京都渋谷区)が開発した「シェルゼシリーズ」は、外断熱工法を用いて設計した分譲型レジデンスである。  このレジデンスの入居者からの外断熱工法に対する評判は、”結露しにくい”ほぼカビが生えないというものが非常に多いという。
 「入居者からは、外断熱工法を用いていることで結露をしない上にカビが生えないと好評をいただいています。外断熱は、冷暖房の温度調節を極端に上下させる必要がないため、外部に対して排出されるCO2や使用電気量の削減に寄与します。また、結露をしないという顧客からの反応の通り、カビが生えにくいため清掃も簡単に終わらせることができる点も特長です」
 同社が開発するマンションに施工する外断熱工法は通気層を外装材との間に設ける工法。通常の約5倍・約125mmの断熱材が、コンクリート躯体を覆い室内の温度との同調を促す。
 平成19年に開発した「シェルゼ木場公園」では、東京都マンション環境性能表示において、都内初となるオール三ツ星を獲得。なお、同物件は既に完売しており、今後は「シェルゼ杉並下高井戸」を分譲予定だ。また、同社の目黒事務所「シェルゼパビリオン」では、無料の体験宿泊を受け付けている。予約制のため、事前連絡が必要だ。




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