不動産トピックス
クローズアップ 断熱材編
2008.09.22 17:33
CO2削減規定などによって省エネへの関心が高まる昨今、各種省エネ商品が開発されている。その中でも、オーナーにとっては空調に費やされるエネルギーの削減が大きな問題となる。そこで、今回は近年新たに開発された省エネタイプの断熱材を紹介する。厳しい暑さの夏から冬の寒さと結露に向けて対策を取りたいというオーナー必見の製品だ。
吉野石膏 省エネ効率を上げる高機能石膏ボード 防湿気密シートが一体化する部材の隙間が逃がす熱を防止
吉野石膏(東京都千代田区)が開発・販売する「タイガー防湿ボード」は、防湿気密シトと一体化した石膏ボードである。従来の石膏ボードと同様に、内壁及び天井に施工することができる。
この製品は、気密性の高いシートが、部材間に生じる隙間を防ぎ、熱を逃げにくくするという点が特徴。冷暖房のエネルギーロスを削減することで、省エネに貢献する。
「石膏ボードは、紀元前7000年の古代エジプトから使用されてきたとされている建材です。現代でもあまりに身近にあるため、わざわざ注目することは少ないかもしれませんが、あらゆる場所で目にするという点を考えても、安価で丈夫で、さらに有用性が高い建材だということは分かって頂けるのではないでしょうか」
火力発電所から、発電時の副産物として作られる副生石膏や、古くなった石膏ボードを回収してリサイクルした廃石膏を用いて、環境に配慮している。他の建材と比較しても、熱伝導率が比較的低いため冷暖房の効率を高める作用もある。日本工業規格による断熱性規格値をクリアし、「省エネルギー協力製品」に指定されているという。
デコス 樹木由来繊維の空気層が保護するセルロースファイバー 新聞古紙からリサイクル環境配慮型のエコ断熱材
デコス(山口県下関市)が提供するデコスドライ工法は、樹木由来の断熱材を使用した工法である。ここで用いられるのは、セルロースファイバーと呼ばれる、新聞古紙からリサイクルされる環境配慮型断熱材。繊維自体が持つ空気胞と、太さが異なる繊維が絡まることによって、外気が持つ熱と屋内空間の間に空気の層を作り出し、熱や音を伝わりにくくするのである。この素材は米国における断熱材種別シェアによれば、最も多く使用されているとのこと(メーカー調べ)。しかし、日本国内においてはグラスウールが多く、未だセルロースファイバーの特性は広く知られていない。
この断熱材は新聞紙から製造されるとあって木材由来である。そのため、無垢の木材と同様にホルムアルデヒド及びVOCの放散試験において、F☆☆☆☆以上の安全性が認められているという。また、難燃処理や撥水処理によって、延焼及び雨漏りに対する対策がされており、一般的に紙に対して持つイメージとは異なり、建材として使用に耐え得るだけの耐久性を備えている。
日進産業 太陽光による熱を反射 ミクロレベルの断熱層
「GAINA(ガイナ)」は日進産業(東京都板橋区)がJAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携し改良した断熱塗料である。この製品は、従来品の断熱塗料「シスタコート」を基に開発されており、熱を効率良く反射させ、屋内外の熱が出入りしにくくする効果を持つ。
ガイナは、10〜20ミクロンという非常に細かい球形セラミックが混入しており、このセラミックボールが表面に多重断熱層を形成することで、断熱効果を実現している。従来の塗料と比較して高い効果を実現した鍵は、このセラミックビーズだ。
遮熱性の高いセラミックビーズは、通常沈殿したりうまく撹拌(かくはん)できないなどの影響によって、本来の効果が発揮できないことがある。しかし、ガイナに使用されているセラミックビーズは、乾燥するに従って自然に表面に集まる性質を持っている。そのため、躯体を隙間なく覆うことができるのだ。これによって、保護、遮熱層だけでなく、防水・防音層をも形成することとなる。
また、水溶性で環境に優しく、塗料に含まれるセラミックとシリコンの帯電防止性と二酸化チタンによって親水性の塗膜を形成。汚れやほこりを防止するのである。