不動産トピックス
クローズアップ 緊急脱出編
2008.12.22 10:20
コクヨS&Tデッドスペース活用し設置可能な救助ツール
コクヨS&T(大阪市東成区)が開発した「レスキューキャビネット」は、震災によって瓦礫に埋もれた人や、エレベーターに閉じ込められた人を救出するための緊急救出ツールである。
この製品は、バールやハンマー、ヘルメットなど非常時に役立つアイテムがひとまとめにされており、オフィスフロアの片隅や柱の影など、普段からテナントのスタッフ達が通行する場所でありながら、通行の妨げにならない場所に設置することができる点が特徴だ。
同社のプロジェクトリーダーである川本英樹氏は「非常時に必要なバールなどのアイテムは普段はほとんど使用しません。ワーカー達がどこに置かれているか知らなかったり、すぐには取り出しにくい倉庫の奥深くに置かれることも多く、被災した場合にすぐ取り出せずに対処が遅れてしまうケースも考えられます」と語る。
実際、このようなアイテムがどこに置かれているかすぐに分かる企業ばかりではないだろう。その点、「レスキューキャビネット」はちょっとしたデットスペースを活用して設置することができ、更にワンタッチで誰でも開けることができるという簡便性も備えている。
過去の震災でも、避難路を切り開くために近隣の住民や会社員らが協力して活動したという実例があるため、この製品のように救出する立場に立たされた誰もがツールを取り出せるというメリットは、いざというときに大きな効果を生むだろう。
GERBER非常時に役立つ7つのアイテムプロ使用の高い耐久性警察や軍に採用の実績
GERBER(米国)の「緊急脱出ツールキット」は、7つのアイテムを内包した防災・安全対策に寄与する製品である。
セット内容は、折りたたみ式のスコップと小型斧、ノコとガラス割りツールの「ウインドーパンチ」、緊急用のはさみと緊急用非常灯「スライドライト」及び、ドライバーや小型ナイフなどがセットになった「マルチプライヤー」となっている。
特に、折りたたみ式スコップはかつてNATO軍が採用したという軽量で耐久性の高い製品。中でも、「スライドライト」は日本警察も採用している製品で、緊急用赤色非常灯が付属している。
また、「マルチプライヤー」には栓抜きや缶切りも付属しているため、被災時の保存食のパックを開封するにも便利だ。
これだけのアイテムが内包されていながら、サイズは31×27とコンパクトに収納することができ、赤い専用バッグに収納するため目立ちやすく、オフィスのロッカーや社用車の中などちょっとしたスペースを利用して収納しておくことができる。
製品のコンセプトはプロ使用となっており、各アイテムの耐久性もさることながら、さまざまなシーンに対応できる有用性が一番のメリットだろう。
日本ドライケミカル 軽量・コンパクトな吊り上げ式脱出器具 パンツ型の身体保持部位荷重高い特殊繊維使用
日本ドライケミカル(東京都品川区)の「ハイセーバー30型」は、火災などの非常時に、ビル外壁を伝って脱出するための携帯型緊急脱出用具である。携帯型と名づけられている通り、重量がわずか1・9㎏と、従来品と比較して軽量でコンパクトなケースに収められているため、持ち運びに便利だ。この製品は、避難する人の身体を保持するためのパーツがパンツ型になっており、降下時に両手で自身の体を支える必要がない点が特徴だ。速度を調整するパーツ部はアルミ及びステンレス製でさびに強く、ロープは大手メーカーが開発した特殊繊維を用いているため、安定した降下を実現する。
また、耐荷重は1000㎏を想定しており、ビル壁面に吹き付ける風などの要因で、避難する人の体が大きく揺れるなどして荷重がかかっても安心の設計となっている。また、こうした吊り下げ式の製品では家庭用が多いとのことだが、この製品はロープの長さが30mと長く、小規模ビルくらいの高さならば、脱出時に役立つだろう。
なお、「ハイセーバー30型」は日本消防検定協会の合格認定を受けており、安心して導入することができる。なお、ビルの形状によっては使用できない可能性もあるため、事前に問い合わせが必要だ。