不動産トピックス

クローズアップ 放送設備編

2009.03.16 17:14

 従来、館内放送設備は商業施設や一部の商業ビルのみに導入されていた。最近では、災害やセキュリティ対策の観点から、オフィスビルにも非常用設備、ないしはBGMを流すための放送設備が設置されている。今回は、各社の業務用放送の関連設備を紹介する。

ヒビノ 各部屋ごとに放送内容を制御 曜日や時間に応じて変更可能 価格帯は他製品に比べ低水準
 ヒビノ(東京都港区)は、商業施設やビルなどを対象に、音響及び館内放送システムの提案・販売を行っている。
 同社が扱う製品群の中でも、特に人気が高いのがゾーン制御マルチプロセッサー「ZonePRO」シリーズである。
 放送設備において、音源からアンプに直接つないで増幅を行う場合、音質が安定しない上に、部屋ごとに放送内容を振り分けると言った制御も難しいといった問題が発生する。
 この製品を音源とアンプの間に接続することで、複数の音源から入力された音を、制御している各スピーカーに振り分けて鳴らすことができる。これにより、部屋によって異なる音楽を鳴らしたり、全館一斉アナウンスを行ったりといった制御が簡単に行える。
 また、タイマー機能を搭載しており、曜日や時間に応じて自動で放送内容を変更すると言った制御も可能だ。
 さらに、同じ機能を持つ製品に比べて価格的にも安価となっており、本体価格14万8000円から23万円までの中から、出力チャンネル数および制御機能に応じて選ぶことができる。
 「当社は低域から高域までどの音もフラットに再現できるシステムの構築を目指しています。ZonePROシリーズは商業施設・ビルのゾーニングに特化し、低価格でありながら安定した音質と、充実した制御機能を提供できます」(大平氏)

日本ビクター 消費電力1/3のデジタルパワーアンプ 高効率化により増幅能力はアナログタイプ4台分
 日本ビクター(横浜市神奈川区)は館内放送設備など使用されるデジタルパワーアンプ「EM-A842D/A822D」を販売している。  同製品の特徴は、従来のアナログタイプに比べ消費電力を約3分の1に抑えた省エネ性能。
 これまで、ビルの館内放送設備などに用いられてきたパワーアンプの多くは、アナログ式で音の増幅が行われている。アナログ方式は入力された音を均一に増幅するため、効率が悪くなっていた。このため、消費電力が大きくなるという問題に加え、ビルや商業施設などで使用するためにはその規模に応じて台数を増やす必要があり、導入コストの増加及び設置スペースの確保という問題が生じていた。
 「EM-A842D/A822D」は、デジタル方式を採用することで、効率の向上を図っている。「EM-A842D/A822D」は、入力された音信号をデジタル処理によってパルスに変換。この中から伝達に必要な音のみを増幅することによって、余分なエネルギー使用を避け、高効率化を実現している。高効率化により、デジタルパワーアンプ1台で、従来のアナログタイプ4台分の増幅能力をあげることができる。
 「EM-A842D/A822Dは、1台当たりのエネルギー消費も従来機種の約3分の1に抑えられており、業務用に最適な、環境に優しい製品であるといえます」(松山氏)

パナソニック 災害等非常時対応の放送システム 非常リモコン8台接続 敏速な緊急放送を実現
 パナソニック(大阪府門真市)は、緊急事態発生時の館内非常用放送システム「WL-8000」シリーズを販売している。
 同シリーズは、数年おきに各地で起きる大規模地震や、風水害、建物内での事故など、予期せぬ事態への備えとして、業務放送での運用中にも敏速な緊急放送を可能にするラック形非常用放送設備である。
 最大340局・340回線にも対応が可能で、大規模なシステムを有する大型ビルにも対応が可能。
 また、緊急放送用として、マイクや緊急メッセージを使用した放送も可能であるほか、日本防犯設備協会技術標準に準拠した防犯警報音も内蔵しており、セキュリティ方面でも活用できる。
 また、非常リモコンを8台まで接続でき、こちらからも緊急放送が実施できる。
 業務用放送機器としての機能も充実しており、同機にはマルチリモコンマイクを8台まで、リモコンマイクを6台まで接続可能など、拡張性に優れている。
 また、プログラムコントローラーなどからの外部起動による放送も可能で、業務メッセージ放送や、放送エリアおよび優先順位を設定して目的箇所に任意の内容で放送が可能だ。
 さらに、手動スイッチを用いたメッセージ(音源再生)放送が可能である。
 なお、価格はオープン価格となっている。




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