不動産トピックス

今週の一冊

2009.03.23 12:55

グローバルな視点で住宅システムの変遷を検証

住宅政策のどこが問題か
著者:平山 洋介
出版社:光文社
発行:平成21年3月20日
価格:860円(税抜)

「戦後日本を特徴づけるのは、その持家社会としての存立である」
 平山氏が注目するのは、日本の住宅システム変遷であり、その変遷のうらには何が起きていたかということである。戦後という区分で見ても住宅システムには大きな違いがある。まず、都市部においては戦前は持ち家率が低く、ほとんどの住まいは民営借家であった。しかし、戦後になると持家という所有形態が一般的になり、その流れを後押しするように日本は高度経済成長へ突き進んでいった。しかし、こういった「持家社会」は経済次元の「自然現象」として生まれたわけではないと平山氏は主張する。
 住宅システムを編成する主力の一つは、政府セクターである」
 戦後社会では住宅政策の規模が拡大し、住宅問題が公共政策の対象事項である度合いが高まったことを背景に、住まいに関する政府介入の影響力が増大。「住宅問題」は「住宅政策の在り方の問題」に転換したと平山氏は説明する。さらに時代は進みグローバル化や証券化などそのシステムはより複雑になる。
 「持家社会」の次は何処に行くのか。その答えは本書を読んでいただきたい。




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