不動産トピックス

クローズアップ 消火器編

2009.04.06 12:11

 火災発生時の心強い味方である消火器。消防が到着するまで第一次的な消化器具という、大切な役割を背負っているだけに、日頃から機器の状態は万全を保っておきたい。そのような中、メーカー各社からは器具の消化能力を高めるだけではなく、環境に配慮した製品、室内の用途に合うデザイン性に特化した製品の発表が相次いでいる。

宮田工業 酢をベースに人体無害の消火器開発 オフィスではパソコン等精密機器の復旧にも効果
 宮田工業(神奈川県芽ヶ崎市)では、酢をベースにした人体への影響が少ない消火器を開発、販売を行っている。
 オフィス用の「セーフミスト」は平成20年6月に販売を開始。オフィス内では消化薬剤の飛散による人体への影響はもちろん、通常の粉末消火器を使用すると微粒子がパソコンなどの精密機器の隙間に入り込んでしまい、完全に除去することが非常に困難とされていた。「セーフミスト」は純水をベースに食品添加物成分で作られているため、精密機器への安全性が高く、人体に付着した場合でも水ですぐに洗い流すことができる。消火能力は普通火災・油火災・電気火災のすべて対応しているため、オフィス以外に飲食店や工場にも適している。
 平成20年10月から販売している「キッチンアイ」は、こちらも酢を主成分とした家庭用消火器である。「セーフミスト」と「キッチンアイ」の違いについて、同社代表取締役社長の尾下氏は「『キッチンアイ』は使いやすさとデザイン性が特徴です。製品表面は当社の主力業務である自転車製造で得た塗装技術を採用。4色の鮮やかなカラーを用意しています。また、女性でも使いやすいよう、約2kgのコンパクトサイズとしました」と話す。

ヤマトプロテック 室内の雰囲気に調和する消火器 薬剤のリサイクルサービスも開始
 一般的に消火器は赤いものであるというイメージがあるが、ヤマトプロテック(東京都港区)では、製品のパッケージにインテリア性の高いプラチナシルバー等の配色を施した「カスタムカラーシリーズ」を販売している。
 同社の佐藤氏によると、近年は空間の演出を重視する施設が急増しており、消火器の赤色が雰囲気とそぐわないという声が寄せられていました」とのこと。そこで同社は意匠性の高い室内に調和するカスタムカラーシリーズを開発した。
 消防法では視認性の観点などから、消火器のパッケージ表面は25%以上が赤色でなければならないと定められている。同シリーズは人目に触れにくい製品裏側に赤色を配置。表部分は室内の用途に合わせた配色が可能となっている。
 また、同社では循環型社会への取り組みの一環として「YPリサイクルシステム」を推進している。
 このシステムはユーザーから販売店を経由して粉末消火器を回収し、同社のリサイクルセンターにて消化薬剤をリサイクル原料化するというもので、日本消防検定協会の承認を得ている。佐藤氏は「このリサイクルセンターでは、99・5%の精度で消火薬剤中の異物を取り除く検査装置を備えているため、安定した薬剤のリサイクルが可能です。このシステムによるリサイクル率は100%を達成しており、当社は今後も循環型社会に対応した施策を打ち出していきたいと思います」と話す。

初田製作所 SUS仕上げで劣化による本体破裂防ぐ 電気火災にも効果を発揮 オフィスの二次災害軽減
 初田製作所(大阪府牧方市)の消火器「ECOSSシリーズ」は、劣化による消火器本体の破裂事故防止に特化した製品である。特徴として製品本体の劣化を遅らせるためにクロムやニッケルを含ませたステンレス鋼(SUS)で仕上げ、本体の耐久性を向上させている。また、製品は予め一定の圧力を本体内部に蓄積する「蓄圧式」を採用。使用時の急激な加圧を避け安全性が向上しているとともに、使用した瞬間の反動はほとんどなく、高い操作性を実現している。
 なお、ECOSSシリーズは構成部品のすべてがリサイクル・リユース可能になっており、財団法人日本環境協会のエコマーク認定を受けている。
 ECOSSシリーズの中でも「PW-3SX」は純水ベースの環境配慮型消火器である。消火剤は中性で人体への影響はなく、塩分を含まないため使用後の残留物はほとんどない。kのため、パソコンなどを使用するオフィスに設置することにより、火災発生後の二次被害を軽減できるのだ。薬剤は浸潤剤の働きにより安定した消化能力を有し、電気伝導率は水道水の約20分の1ときわめて低く、普通火災だけではなく電気火災にも適している。
 ECOSSシリーズはオフィス用だけではなく家庭用もラインアップされているほか、安全性の高さからサーキット場にも採用実績があり、火災発生時のレーサーの酸欠防止や、観客席への薬剤飛散防止に効果を発揮している。「PW-3SX」の重量は約5・2kgで、価格は1本あたり3万1500円である。




週刊不動産経営編集部  YouTube