不動産トピックス
クローズアップ 検査ツール編
2009.04.13 11:42
ビルの管理を行う上で、どのような設備を導入し、メンテナンスを行うかという点が重要だ。そのためには、前段階の調査が不可欠。そこで今回のクローズアップでは、メンテナンス前に必要な調査を手助けする検査ツールを取り上げる。
GEインスペクション・テクノロジーズ・ジャパン 片手で持てる工業用内視鏡 米国防省の性能試験をクリア
GEインスペクション・テクノロジーズ・ジャパン(東京都武蔵野市)の「XL Go VideoProbe(ビデオプローブ)」は、小型化によって持ち運びが便利になった内視鏡である。この製品は、配管内など狭い場所の検査に用いるもので、従来品の計測機能や温度警告機能などといった機能はそのまま踏襲している。
同社のカントリーキーアカウントマネージャーである漆原将樹氏は「この製品は従来品が約10kgあったにもかかわらず、片手で持てるまで軽量化することに成功した製品です。そのため、どんな場所でも使用することが可能で、さまざまな用途に使用されています」と話す。
小型化によって懸念された画質低下も極力避けられており、画質の高さを証明するかのように、テレビ局がアフリカ取材の際に高い場所で寝起きする鳥の巣を覗き込むカメラとして活用したというエピソードも残っているとのこと。高出力ホワイトLEDランプ及び液晶モニタによって従来の製品と変わらない明るくて鮮明な画質を実現した。
また、操作は基本的に簡便に設定されている。軽量化によって片手が自由に扱えることもあり、作業が必要な場所でも使用することが可能だ。
米国防省が定める各種性能試験をクリアしており、約1mならば落としても影響がほぼ出ないという試験結果にも現れている。
土牛産業 カボチャ型ヘッドが転がる音で判別 発生する音の強弱が異常を知らせる
土牛産業(兵庫県三木市)が提供している「カボチャ玉打診棒」シリーズは、ヘッドにカボチャのようなくぼみが入った打診棒である。
従来の打診棒は、1つひとつ叩くことによって発生する打音を診断するため、例えば外壁タイルのように1枚ずつ確認しなければならず手間がかかった。
この「カボチャ玉打診棒」シリーズは、ヘッド部を対象箇所に押し当てて転がすことで回転させ、その際に発生する音で診断するというもの。
コンクリート躯体のクラックが発生している場合などは、健常な部分から転がしていくと次第に音が大きくなり、少し練習すれば誰でも判別できるという。
同社営業部の中島俊和氏は、「この『カボチャ玉打診棒』は、約6種のラインアップを用意しています。ヘッドの大きさやシャフト部に使用した素材に多少の差があるため、検査現場に応じた製品を使用していただくことができます」と話す。
カボチャ玉の場合、素人でも音の差を判別することが可能なため、異常がないかオーナー自身で確認することもできるのだ。
また、同社ではこの製品以外にもアイデアのつまったさまざまな打診棒を提案しており、ワイヤー入り打診棒のように、ビル外壁のチェック中に万が一ヘッド部がはずれても、シャフト後部からつながったワイヤーがヘッドの脱落を防ぐといった安全性に配慮した製品も用意している。
リガク 持ち運び可能な画像取込装置を開発 今夏発売予定の非破壊検査向け商品
X線技術の応用製品を開発しているリガク(川崎市川崎区)が開発した「RAXIA(ラクシア)CR」は、ビル躯体の非破壊検査時に必要とされてきたフィルムの現像に代わる新たな”可搬型イメージングプレートスキャナー”である。
ゴルフバッグ1つ分の重量で、これまでフィルム現像向けに現場に置く必要があった暗室車とは異なり、普段使用している営業車に搭載可能なサイズとなっているため、複数階にわたるなど移動を伴う現場での検査にも対応が可能だ。
この製品は小型でも読み取り部が幅広く、判別が難しい鋳造部品もはっきり視認することができる。
また、フィルムではなく磁気を一時的に帯びたプレートからデータを読み取るため、繰り返し使用することができ、省エネにも貢献。
さらに、PC上でデータを管理するため、画像確認のために必要だったフィルムや処理液及び水なども削減することができ環境にもやさしい。
同社のNDTイメージング事業部営業部副部長の森清治氏は「ラクシアCRは、これまで現場で煩わしいとされてきた、暗室までの往復やフィルム交換も必要なく、経済的なだけでなく作業効率向上にも貢献します」と話す。
画像読み取りには、「ラクシアCR」本体をPCとUSB接続するのみと確認も簡単だ。
なお、同製品は今夏の発売予定となっている。
テストーどこにでも取り付け可能な計測子機 高精度の温湿度測定器を新たに開発
テストー(横浜市北区)は、今年4月、温度湿度モニタリングシステム「TtestoSaveris(テストーサヴェリス)」を発売した。
従来のモニタリングシステムとは異なり、イーサネットによってワイヤレスで約100mの距離を送信することができる。また、温度と湿度の計測はその正確さで他社製品と差別化を図っており、本社営業部の齋藤良介氏によれば「温湿度計測の制度の高さにおいては同規模の製品で随一と自負しております」とのこと。このシステムに保存された計測データは定期的にパソコンへ送信され、一時的に無線に障害があっても継続的に保存できる。計測値は自動的に保存され、転送されたデータを、付属の「testo Saverisソフトウェア」をインストールしたPC上で一元管理する。従来品のようにデータ保全の手間を省くことで、作業効率をアップする。
これらのシステムは、計測するための子機となる「無線プローブ」の取り付けが簡易にできるため、導入までが短時間で済む点も特長だ。クリーンルーム管理や病院、食品倉庫などをターゲットとしており、テナントとして入居している薬品会社などが設置する際にも大規模工事が不要。ビル空調のモニタリングにも活用することができ、絵画を飾ってあるフロアなど環境に敏感な調度品を守るなど適正な環境を保護する手助けをする。