不動産トピックス
今週の一冊
2009.05.18 17:03
ポスト成長経済社会を豊かに生きるためには
不動産のプロから見た日本経済の活路
著者:長嶋 修
出版社:PHP研究所
発行:平成21年5月22日
価格:1400円(税抜)
著者である長嶋氏が不動産業界に入る前は広告会社の営業として働いていた。そんな長嶋氏が不動産業界に対して抱いた疑問は、大きく二つ。一つは日本不動産市場特有の物件データや取引の仕組みの未整備。二つ目は、不動産仲介業者が物件購入者に対して「物件を買わない」という選択肢を与えないということ。この二つの疑問点を解決すべく長嶋氏は、平成11年に業界初の「個人向け不動産コンサルティングサービス」を手がけるさくら事務所を立ち上げた。
本書は、日本経済の低迷の原因を探りながら、これからの時代の資産や不動産との付き合い方、そして人を幸せにする経済とは何であるかを追及したものである。
また、第5章では「内需を安定させる不動産政策提言」と題して、不動産業界や住宅税制の問題に対して数多くの提言をしており、現時点での長嶋氏が考える不動産業界の今後、そして正しいあり方が示されている。
不動産を通して、日本経済のあり方、そして、豊かに生きるにはどうすれば良いか、ということが追及されている本書は、ポスト成長経済社会が訪れている日本において、ひとつの指針となる一冊ではないだろうか。