不動産トピックス
クローズアップ 防カビ編
2009.06.08 11:42
雨が多く湿気がちなこの時期、心配されるのがビル内外でのカビの発生である。カビや細菌は報知しておけば人体に悪影響を及ぼすため、早めの対応が必要である。今回は既に付着したカビを除去し、新たな発生を防ぐ防カビ剤を集めた。
TOTOオキツモコーティングス 超親水性で雨水がカビ菌を洗い流す 約380色で思い通りの塗り替えも可能
TOTOオキツモコーティングス(東京都新宿区)のハイドロテクトカラーコート「ECO-EX」は、平成19年5月に販売が開始された、外装用の光触媒コーティング材である。
ハイドロテクト技術とは、様々な素材の表面に分子レベルでの水分薄膜を形成し、半永久的に超親水性を持続する、TOTO(北九州市小倉北区)が世界で初めて開発した技術である。
同製品の最大の特徴は、水接触角10℃以下の超親水性と分解活性指数10以上の分解力、この双方の両立による最高レベルの防汚性。雨が降ると雨水が外装表面に広がりカビなどの汚れの下に入り込むことで、汚れを浮かせて洗い流す。このセルフクリーニング効果が、使用後のメンテナンスを容易にするのだ。
超親水性によってカビ菌などを寄せ付けず、高い防カビ性を実現することはもちろん、光触媒特有の空気清浄能力も有している同製品。原田氏は「施工後の空気浄化能力は、広葉樹の中で最も空気を浄化するとされるポプラの木に換算すると、1000㎡あたり95本分で、ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点からも高い環境貢献度を証明しています」と語る。
また、同製品は豊富なカラーバリエーションも特徴のひとつで、約380色をラインアップし防カビと同時に、思い通りの外壁塗り替えが可能となっている。
なお、同社ではECO-EXの試験施工サービスを行っている。光触媒の高い効果を一度体験してみてはいかがだろうか。
テムスケミカル 汚れの元を専門的に分析し洗浄 壁に浸透した成分がカビを根本から除去
テムスケミカル(東京都品川区)の「MOS」シリーズは、建物内外のカビ・藻の除去やサビ・タバコのヤニ除去などを、使用する素材に応じて使い分ける洗浄剤・保護剤である。
コンクリート外壁に使用する「MOS-A」は、カビの除去ができるだけではなく、大腸菌や黄色ブドウ球菌に対しても効果があるため、飲食店舗や病院内にも適している。また、洗浄後に使用する保護剤「MOS-コンクリート」は高い撥水効果と防菌剤を含有することで、酸性雨による酸化防止や防カビを長期間維持する。
同社では平成17年からカビの研究を専門的に行う部署を立ち上げており、その成果といえるのが同社の製品を使用する「MOS工法」である。「MOS工法」とは、まず建物の汚れを研究部署で細かく分析し、ケースごとに適した洗浄・保護を実施するというもの。外壁の診断、調査から防カビの高次実施までを、同社がトータルで請け負う。
同社の洗浄剤は従来の殺菌剤や漂白剤とは異なり、壁の内部に洗浄剤を浸透させてカビを根本から除去する。工事は洗浄剤を壁に吹き付けるだけなので、少人数でスピーディに行うことができる。施工対象はコンクリート、タイル、石材、木材、ガラスなど、使用する部位の素材に応じて「MOS」シリーズを使い分ける。
大澤氏は「吹きつけ後は浮き出た汚れの元を洗い落とすだけなので、ブラシ等で壁をこすることなく、建物を傷つけたり塗装を変色させることはありません。防カビ剤の成分は食品添加物に使用されているものと同じものを採用しているので、人体や植物にも安心です」と話す。
アステックペイントジャパン 400種のカビ・細菌・藻類を阻止
アステックペイントジャパン(福岡県粕屋郡)が販売している防カビ剤「アステック」は、JIS規格の試験菌13種、建築物から頻繁に検出される57種を含む、400種のカビ菌を防ぐ。
空気中にはクロカビ・コウジカビなどのの菌が浮遊しており、外壁にそれらの菌が付着し繁殖すると、建物使用者はカビ菌を体内に吸い込む危険性が高まり、嘔吐・ぜんそく・免疫力低下などの症状を招いてしまう可能性がある。日本国内において販売されている防カビ剤は、JIS規格の定める13種の菌のうち3~5種に効果が発揮されれば、防カビ剤として認定されている。そのため、従来の防カビ剤が、建築物に発生しやすい57種の菌すべてに効果を出すのは難しい。
「アステック」はカビ・細菌・藻類の400種に対応し、施工後短期間で除去するのではなく、2~3日かけて確実に菌類を除去する。工事はまず素地の汚れを除去し、施工に適した状態にしてから防カビ効果を長期間持続させる下地剤「アステック・プラスA」を塗布。そして下塗り後、使用箇所に応じた仕上げ剤「アステック」を塗布することで完了となる。
製品は無臭で、すべての工程を水性材料で施行することが可能。人体に悪影響を与える化学物質は一切使用しておらず、ビル・工場・学校などの外壁や病院の内壁にも適している。また、「アステック」は熱・紫外線・酸・アルカリに強い成分を配合。変化・分解をしない安定性を有しているため、環境の変化による塗装面への影響はない。
カントック 独自の工法で壁面の美観を維持 塗布後のカビ発育阻止に高い効果
カントック(神奈川県芽ヶ崎市)では通常の外壁洗浄に、建物のカビ・汚れを根本から分解する「カントック工法」を加え、躯体を傷つけることなく防菌・防カビ効果を実現している。
この工法で使用される洗浄剤・保護剤「カントック」シリーズは、使用する場所や塗布面の材質によって種類が分かれている。中でも、建物内外のほぼすべての場所に使用できる洗浄剤が「カントックM」である。外壁に使用する場合は、まず壁全体に水をかけた後、「カントックM」を原液もしくは2~3倍に希釈し、壁面に吹き付けていく。カビ・細菌の除去は30分程度で完了し、水で洗い流せば壁面の美観を長期間維持することが可能となる。
製品の主成分となる次亜塩素酸ナトリウムは、一般的に野菜などの洗浄およびおしぼりの殺菌に使用されるもので、液剤中の水酸化ナトリウムは助剤として使用しており、人体への刺激性については問題ない。効果は市販の防カビ剤と違い、漂白やカビの胞子・菌糸のみを除去するのではなく、菌の核まで分解する。ものでカビの発生を長期にわたり防ぐことができる。
保護剤についても、主成分の防カビ剤には食品添加物を使用。溶剤にシンナーやトルエンなどは使用しておらず殺菌剤に広く用いられるエタノールが採用されている。この「カントック」を使用する同社の防カビ工法は、塗布後のカビの発育阻止に効果があるとして、日本の文化財保護に携わる東京文化財研究所からも高い評価を得ている。