不動産トピックス

今週の一冊

2009.06.15 10:50

アーキテクチャをテーマに新旧論者が集結

思想地図 vol.3
編者:東浩紀/北田暁大
出版社:日本放送出版協会
発行:平成21年5月30日
価格:1300円(税抜)

 東浩紀氏と北田暁大氏が編集委員を務める「思想地図」の第3弾となる本書の特集はアーキテクチャ。アーキテクチャを題材にさまざまな論客を招き、アーキテクチャの現在をあぶりだしている。
 本書の巻頭に収録されているシンポジウムは、批評家である浅田彰氏や建築家である磯崎新氏に加え、情報社会論を研究する濱野智史氏や批評家の宇野常寛氏らを招き、変質するアーキテクチャに対して批評は機能するのか、といった現代的なテーマについて討議しており、特に世代間を超えた問題認識が共有されていく一連の流れは、大変興味深い内容となっている。
 討議の中で議題に上った磯崎氏の掲げるプロセス・ランニング論は、黒川紀章らが掲げる建築物は進化し広がっていくものであるというメタボリズムという概念に対して、建築家は進化し続ける建築物を決断し、その瞬間を建築物として固定するという概念である。この概念はインターネットのように切断することのないアーキテクチャに対して有効であるのか、といった議論は、メタボリズムを具現化するかのごとく広がり続けるインターネット空間と我々が生活をする都市空間を考える上でも重要な問題となるだろう。




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