不動産トピックス

クローズアップ ヒートポンプ編

2009.08.10 10:01

 ヒートポンプ技術は省エネ実現に非常に効果的な技術である。製品ラインアップも多岐にわたっており、自分のビルの環境に合わせて導入できるのも大きなメリットだ。今回は、ヒートポンプ技術を活用した製品を紹介する。

東芝キヤリア 室内ユニットに自動清掃機能搭載 省エネ性能に優れCO2排出削減効果高い
 東芝キヤリア(東京都港区)は店舗・オフィス用のカスタムエアコン「スーパーパワーエコキューブ」を発売している。
 製品名の「キューブ」とは”立方体””3乗”を意味し、3つのEco(Ecology/Economy/Ecoltouch)を実現する商品を意味している。  また、店舗・オフィス用エアコンの室内ユニットである天井カセット形4方向吹出しタイプでは、セルフクリーン機能搭載で、納入初期時の省エネ性能を長持ちさせる「新呼吸カセット」シリーズ9能力ランクを発売している。  事務所や飲食店、理美容院などに代表される店舗・オフィス用エアコンは、家庭用エアコンと比較して設置条件、使用条件が過酷な場合が多く、室内ユニットの内部に様々な汚れが蓄積しやすい。このため、カビ・雑菌の繁殖による嫌な臭いの発生や省エネ性の悪化、冷暖房能力の低下などの症状を引き起こすケースが多く発生している。
 スーパーパワーエコキューブの室内ユニットは、熱交換器に付着したカビ。雑菌などを結露水で洗い流した後、畿内を乾燥し、カビ等の成長を抑制する温度条件まで低下させる「セルフクリーン機能」を搭載。
 また、表面積を約1・5倍にアップさせた高性能プレフィルターを標準装備することで、セルフクリーン機能とあわせて、簡単な手入れだけで、複数年使用による消費電力の悪化率を低減させている。
 さらに、室外機はDCツインロータリーコンプレッサーの搭載等により、定格以外の低・中負荷領域でも高い省エネ性を実現している点も大きな特徴の一つだ。
 「この優れた省エネ性能により、10年前のエアコンを同製品に買い換えることで、1年間にスギ約84本が吸収する分のCO2量と同等のCO2削減効果が得られます。工場などの産業部門と比較して遅れていると言われるオフィス・店舗等の業務部門でのCO2排出量削減対策に実用面から貢献できる機種と言えるでしょう」と栗原氏は語っている。

ダイキン工業 大容量のヒートポンプ給湯システム 最大54tの貯湯が可能
 ダイキン工業(大阪市北区)は自然と環境に優しいビル用設備の開発・販売に注力している。
 同社は業務用ヒートポンプ給湯システム「エコキュート」の大容量タイプ「MEGA・Q」を開発・販売し、大型施設でも高効率給湯システムが導入できる製品ラインアップを整えている。
 MEGA・Qにはヒートポンプを利用した熱交換方式が採用されている。この方式は、ガスやボイラーといった燃焼型の給湯機器に比べ、CO2排出量を約4割削減することが可能である。すでに普及が進んでいる家庭用や店舗用エコキュートとの違いは、その容量にある。
 同社の業務用エコキュートは従来0・4t程度のタンク容量でこれを複数組み合わせて容量を確保していたのに対し、MEGA・Qは4tから最大で54tまでという大容量のタンクを有し、比較的お湯の使用量の少ないオフィスビルから、大量にお湯を使う商業施設までさまざまな環境で使用できる。
 「使用している冷媒は空調に用いられているのと同じ410Aであるため、COPが高く、さらに冷媒のメンテナンスを行う際も空調の装備が流用できるといった点が利点です」(木部氏)

新菱冷熱 設置場所を選ばない氷蓄熱システム
 新菱冷熱(東京都新宿区)は、施設内の限られたスペースを有効活用できる氷蓄熱システム「自由雪計」を開発した。
 同システムは、中小規模ビルから地域冷暖房プラントのような大型施設まで幅広い分野のニーズにフレキシブルに対応することができる。自由雪計のカギとなるのは、ダイナミック氷蓄熱システムを支える製氷装置「トランスペット」である。このトランスペットは、同社が独自に開発した製氷装置で、蓄熱槽から分離して配置できる点が大きな特徴である。連続した密閉配管内で直接氷を生成し、離れた蓄熱槽まで圧送することが可能になっている。
 氷蓄熱は水蓄熱に比べエネルギー効率が良く、蓄熱槽自体もコンパクトに収められるという特性を持つ。さらに、トランスペットは、氷をシャーべット状にして運ぶため、配管途中で詰まることがなく、ポンプの出力次第でかなり離れた場所へも運べるため、蓄熱槽と製氷装置を設置するためにまとまったスペースが必要だった従来機種に比べ、設計自由度を大幅に高めている。
 このことにより、設置する環境を選ばず、新築・既存のどちらのビルに対しても、自由に設置することが可能。
 また、蓄熱槽はパネル蓄熱槽、地下二重スラブ利用蓄熱槽のいずれも使用する事が可能で、既設の水槽の条件や、建物の空間条件などに合わせて、蓄氷方式を使い分けることが可能である。

前川製作所 水熱源型のヒートポンプ給湯 冷水と温水を同時に給湯することが可能
 前川製作所(東京都江東区)はCO2を冷媒に用いた、水熱源型の業務用給湯ヒートポンプ「自然冷媒(CO2)ヒートポンプ”水熱源型 業務用 エコキュート”」を開発、販売している。この製品に冷媒として用いられているCO2は、オゾン破壊係数がゼロで、地球温暖化係数も1と地球にやさしく、しかも、毒性や可燃性がない上に安価であるといった利点を併せ持つ自然冷媒である。
 エコキュートのシステムの心臓部であるCO2圧縮機には、新製品の高信頼性・高効率な自社製国産レシプロ圧縮機を採用し、ヒートポンプ消費電力を削減している。
 また、各種食品工場で需要の多い井水温度レベル(17度)の冷熱と、食品加工機器のサニテーション用温水温度レベル(65度)の温熱を同時に利用した場合を想定した、トータル成績係数(COPt)は8・0と高い水準を達成している。
 「この時の給湯能力も93kWと業界最高値を達成。65度の給湯と7度の冷水を同時に給湯した場合のCOPtも6・5と高く、一般的な冷房・給湯を行った場合でも高効率な運転が可能です」(飯田氏)




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