不動産トピックス
クローズアップ 業務用給湯編
2009.09.14 17:03
ヒートポンプ技術の改良により、業務用給湯機の性能は飛躍的に向上している。現在ではオフィスビルでの小規模な利用のみならず、老健施設やスポーツジム、ゴルフ場のクラブハウスなど大量のお湯を使用できる環境にも耐えられる機器が登場しており、さらなる普及が期待される。
東芝キヤリア 業務用大容量エコキュートを発売 ヒートポンプで高COP実現
東芝キヤリア(東京都港区)は業務用ヒートポンプ式給湯システムを販売している。
同社の業務用給湯システムの代表機種である「ほっとパワーエコBIG」シリーズは、一日の使用湯量が3t以内の小規模な利用現場を想定した「ほっとパワーエコBIG」をはじめとして、ヒートポンプユニットを2~4台連結した、使用湯量3トンから13tの中規模な現場に対応する「ほっとパワーエコスーパーBIG」。そして貯湯用に4~30tの開放型タンクを用いることで大容量の給湯を可能にした「ほっとパワーエコウルトラBIG」の3タイプがそれぞれラインアップされている。
ヒートポンプ機構によってエネルギー効率は非常に高く、「ほっとパワーエコBIG」シリーズの定格COPは4・45という高水準を誇っている。
中でも「ウルトラBIG」は独自の制御によってシステム全体の効率運転を可能にしており、貯湯量を週単位、日単位、時間単位で自由に設定することが可能。
業種や設置環境によってまったく異なる利用のピークとなる曜日や時間帯に対応すべく、事前に沸き上げ湯量を設定しておくだけで、無駄なお湯を沸かすことなく、システムとしての効率を向上した状態で給湯を行い、ランニングコストを抑えることができる。
さらに、これまで熱効率が悪いヒーターを利用して行っていた配管内の水の再加熱を、配管内専用のヒートポンプユニットを設置して行うことで、すみずみまで省エネ化が図られている点もこの製品の大きな特徴だといえる。
「ほっとパワーエコウルトラBIGは、目標湯量を自在に変更できるため、使用する環境に合わせて少量から大量までいかなる湯量にも対応した最適な制御が可能です」(砂原氏)
日本イトミック 電気式の瞬間湯沸器モデルチェンジ 安全・高性能化を追求
業務用電気給湯器の開発・製造・販売を行う日本イトミック(東京都大田区)は、電気瞬間湯沸器の新機種を発売している。
電気湯沸器では、貯湯タンク内に貯めた水を電気ヒーターで沸かせる製品が一般的だが、同社では瞬時に水をお湯に沸かせる電気瞬間湯沸器もラインアップしており、その需要は年々高まっているという。
同社の電気瞬間湯沸器におけるスタンダードモデル「DEシリーズ」は店舗や厨房向けに多くの採用実績がある製品で、このほど更なる安全・高性能化を追求する為にモデルチェンジを行っている。
このモデルチェンジは、電気瞬間湯沸器の上位機種「EI-N5」シリーズと同様のSSR制御(無接点方式を採用することで、作動精度と耐久性を向上させ、外装および内部主要部品を金属製にすることで安全性を向上させている点が特徴である。
機種ラインアップはヒーター容量10・1kWのDE-10N1と同15kWのDE-15N1の2機種。
希望小売価格はDE-10N1が28万円で、DE-15N1が30万円となっている。
日立アプライアンス 寒冷地向けヒートポンプ給湯システム
日立アプライアンス(東京都千代田区)は、マイナス20度の外気温まで使用を可能とした寒冷地向け業務用自然冷媒CO2ヒートポンプ給湯システム「日立業務用エコキュート」を発売している。
この製品では、ヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットに凍結防止機能を搭載し、また、コンプレッサーの運転を外気温に合わせて制御することでマイナス20度の外気温まで給湯を可能とした。これにより、一般地向け機種では導入が困難であった東北地方北部(青森県、秋田県、岩手県)や北海道の一部でも業務用エコキュートの使用が可能となっている。
また、同製品では、一般地向け機種に既に採用している即湯循環システムに対応している。
給湯配管内を循環したことで温度が低下した貯湯タンク内の湯を、ヒートポンプユニットの「内部熱交換器」により効率良く再加熱することで、配管内の湯を高温に保つことが可能となっている。これにより、給湯機と離れた蛇口やシャワーからでも即時に最適な温度を給湯を行う即湯循環システムに対応したため、ビジネスホテルや宿泊型の介護福祉施設などでの使用にも適している。
さらに、一般地向け機種と同様に、当社の大型冷蔵庫に採用している日立独自の高性能な真空断熱材をヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットに採用。
これにより、放熱のロスを抑え、貯湯タンクユニットでは保温性能を約12%向上し、省エネ化を実現している。
ゼネラルヒートポンプ工業 水冷・空冷対応ヒートポンプ給湯 空調と給湯が1台でまかなえる
ゼネラルヒートポンプ工業(名古屋市緑区)はヒートポンプシステムを利用した排熱回収型空調・給湯システムの製造販売を行っている。
同社の「湯もでーるマルチ」は給湯機能が付いたビル用マルチ空調システムで、一般的な空冷式のほかに、水冷式や空水冷式などの製品をラインアップしている。
中でも地下水を熱源とする水冷式は、地下水の安定した水温を利用して冷水・温水をつくるシステム。しかも、冷房を行う際には熱交換時に生じた排熱を活用してお湯を作り、給湯として活用する。そのため、ガスや石油はもちろん、通常のヒートポンプ給湯機と比べても非常に高いエネルギー効率を実現しているのだ。
また、温度が安定した地中熱を利用するため、ヒートポンプ式の弱点であった寒冷地にも強いというメリットがあり、南は沖縄から北は北海道まで、日本全国どの地域でも問題なく使用できると評価され、高い導入実績を上げている。
給湯機としてみた場合、使用するタンクの大きさによって大小さまざまな施設で利用できるが、特に老健施設やホテルなどの使用湯量が多い施設ほど効率が高まり導入時のランニングコスト回収が早まる。