不動産トピックス
今週の一冊
2009.10.05 10:27
不正な農地転用の実態に鋭く迫る
偽装農家
著者:神門 善久
出版社:飛鳥新社
発行:平成21年8月14日
価格:714円(税抜)
いかに農地転用が行われるか、または転用狙いの土地所有者である「偽装農家」が本来の農業を阻害しているか、実態を詳述した一冊である。100ページもない薄さなので短時間で読むことができるが、内容は鋭く、濃い。
宅建業の試験でも、農地の取引については一通り出てくる。農地は農地法などで農業以外の目的での取引はできず売買にも許可が必要だ。しかし実際には、いつのまにか郊外の農地が倉庫やパチンコ屋、スーパーマーケットになっていたりするのをご覧になったことがあるだろう。ほとんどただ同然の固定資産税さえ払い、名ばかりの転用規制をクリアできれば100倍の価格で売買も不可能ではない。こうした特殊性が、農業をしない土地所有者「偽装農家」を生み、耕作放棄を進めてゆく。
このカラクリを詳述した上で、著者は違反転用や耕作放棄地の実態は把握することが必要だという。問題を直視した上での農地改革の提案は、イメージ先行になりがちな農業改革とは一線を画している。