不動産トピックス
クローズアップ 耐震用品編
2010.02.01 15:55
1月、ハイチで起きた大震災の惨状が伝わるにつれ、都市直下型地震の恐ろしさを改めて、感じるとともに、阪神・淡路大震災での経験を思い起こした方も少なくないだろう。なによりもまず、日常から、地震への備えを怠らないことが重要である。
不二ラテックス BCPの観点からも必須となるオフィスの耐震対策 家具を傷つけず誰でも簡単に施工可能な耐震用品
先月17日で阪神淡路大震災から丸15年が経過した。ビルオーナーもあらためてビルの耐震対策の重要性を認識したのではないか。
平成17年3月に東京消防庁が発表した「転倒防止器具の取り付け方法や安全な家具の置き方に関する指導指針」によると、近年発生した大型地震において家具類の転倒・落下による負傷が30%から50%に上る。こうした統計が出ているにも関わらず、家具等の転倒・落下防止対策を実施しているのは、3割以下と非常に少ない。
対策を講じない主な理由として、「耐震用品を導入することで壁や家具を傷つけたくない」、「見た目が悪くなる」といった項目が挙げられる。住宅において、このような考えから設置を躊躇するのは理解できる。しかし、自らの命はもちろんのことオフィスワーカーの命を守らなくてはいけない、ビルオーナー及びビル管理者という立場においては、いざ地震が発生した場合に「何も対策していなかった」では済まされない。
こうした問題点を解消すべくダンパーの専門会社である不二ラテックス(東京都千代田区)は、簡単取付・取り外しが可能な耐震用品「不動王」シリーズを開発・販売している。
「不動王は壁にビス止めせずに女性社員にでも簡単に取付ができるという点を重視して開発された製品です。開発にあたっては、明治大学理工学部建築学科の荒川利治教授と職業能力開発総合大学校東京校建築系の横濱茂之教授との共同研究を行いました。その成果として、超発泡ダンパー開発に成功し、設置するだけで震度7に対応する高機能性と簡便な取り扱いを実現しました」(不動王販売促進室 室長 神谷哲夫氏)
当然、設置によりオフィス内の安全性も大きく向上するが、昨今注目されるBCPという観点からもこうしたオフィス内の耐震対策は重要となる。BCPとは事業継続計画の意味であり、企業が地震などの天災により被災した場合でも事業を可能な限り短期間で再開させ、企業評価の低下などから企業を守るための経営戦略である。
「中越地震での自動車産業に与えた影響からも分かるように、いま日本企業に求められているのはBCP、BCMS(事業継続管理システム)の策定です。こうした取り組みは、今後のビジネス契約時の取引条件化の傾向が高まってくることが予測されます」(神谷氏)
実際に数字が表しているように、地震が発生した場合の負傷理由として30%から50%は、家具類の転倒によるものである。事業継続の上では、オフィスワーカーの安全を確保し被災後もスムーズに事業を再開させることが最も重要であり、「不動王」を設置することで迅速な事業継続、事業再開を実現することが可能となる。
また、簡単に設置することができる点も同製品の大きな特長である。「不動王ホールド」を例にとると、まず「不動王ホールド」の底面に貼ってある粘着テープをはがし、調整板を壁側にセットし、調整板を上方向に引き抜く。次に「L型固定式不動王」を上部から差し込み、しっかりと張り付ける。最後に剥離紙を引っ張りはがし壁に接着させ、設置完了となる。同製品の設置工事は、施工会社に依頼することも可能であるが、オフィスワーカーでも簡単に設置することができるよう開発されているので、通常オフィスの耐震対策としてかかる工事費用も削減することができる。
地震対策は早急に取り組むべき課題であるにも関わらず、なかなか実施が進んでいない状況にある。とりわけ、オフィス内の耐震対策となるとほとんど実施されていないのが現状だ。所有ビルの耐震性能をより高めるためにも、「不動王」シリーズの導入を検討してみてはいかがだろうか。
アール免震 短期にできてコストも抑えられる耐震補強
各種地震対策サービスを販売・施工するアール免震(東京都千代田区)は耐震改修の工法として、短期間かつコストを最小限に抑えて施工できる「SRF工法」を提案し推奨している。同社は同工法の施工数において国内トップクラスの実績を誇っている。
SRF工法とは、高延性補強材による耐震補強工法。車のシートベルトに使用されているような丈夫なポリエステル繊維を、ベルト状に巻いてコンクリートの柱に巻きつけたり、短冊状に用いてコンクリート壁に張り伸ばしたりして接着し、建物の軸体力と靭性を強化する工法である。同技術は、建築技術審査証明事業実施機関である建築防災協会から認められている。施工後は、万が一構造物の一部が崩れても、高性能補強材を巻きつけたコンクリート柱が倒れずに残り、テナントの生存空間が確保される。
「補強材は軽量で、人力で施工するので機器を使った大がかりな作業は発生しません。また、作業中に臭気や粉塵がほとんど出ないため、強制換気なども不要です。短期にできてコストも抑えられるので、是非躊躇なく、ご検討頂ければと思います」(同社代表取締役社長横塚克明氏)
シーファイブ
気象庁による「緊急地震速報」の一般向け提供が、平成19年10月から開始となっている。緊急地震速報は、気象庁や防災科学研究所が全国約1000カ所に設置している地震計によって検地された地震波にもとづき、その発生位置や規模を瞬時に把握し地震の揺れが到達する前に、国民の間に通報するためのもの。
シーファイブ(東京都中央区)は、この通報をデータセンターで受け、建物に設置された受信装置「EQ-reporter2.」インターネット経由で、瞬時に送るシステムと装置を開発・製造している。この受信装置には、直下型地震が発生した際に、初期微動P波を検地する地震計が内蔵されている。
同システムは受信した速報を元に予想震度と予想時間を音声で伝え、建物の放送設備と瞬時に連動して通報する。同システムの特長として、ビル内の各種設備と連動するという点が挙げられる。エレベーターと連動して最寄りの階に停止させたり、オートドアを事前に開閉させたり、自動安否確認のメール配信なども行なう。
同製品は、NPO法人リアルタイム地震情報利用協議会技術認定機器(認定番号07^006)で、気象庁の技術基準に適合している。