不動産トピックス
クローズアップ 新エネルギー編
2010.03.08 11:38
阪神大震災や新潟県中越地震以来の防災意識の高まりから、諸官庁が建物やビルにバックアップ電源を設置することを推奨する動きがある。屋外用無停電電源装置をはじめ、リチウムイオン電池やリユース対応非常用バッテリーなど、様々な蓄電池が開発されているのでここに取り上げる。また更に、ビルの蓄電効率を高める太陽光発電装置の最新製品も取り上げる。
新神戸電機/NTTファシリティーズ 省スペース設計の大容量リチウムイオン電池を提供
新神戸電機(東京都中央区)は、NTTファシリティーズ(東京都港区)と共同で、情報通信装置用バックアップ向け大容量リチウムイオン電池システムを開発し今後提供を開始していく。
同製品は、NTTファシリティーズが有する電源システム化及び保守運用技術と、新神戸電機の蓄電技術が融合する形で開発されたもので、両者が平成21年に開発したリチウムイオン電池と、この度開発した制御用バッテリーコントローラーとを組み合わせることによって構成される蓄電池システムである。
「電話設備、サーバ、データ蓄積装置など、情報通信分野の装置の消費電力が増大していくにつれて、それらの装置の停電対策で利用される蓄電池も次第に大型化しておりますが、都市部や高層ビルの建ち並ぶオフィス街において、それら蓄電池を置く場所を確保することは大きな問題でした。しかし、この度開発されたリチウムイオン電池システムは、かなりの省スペース設計がなされているため、各所から期待が寄せられています」
従来の鉛蓄電池に比べて設置面積を半分にすることができ、ビル内の電池システムの設置スペースを大幅に削減することが可能となる。
NTTグループでは、今後省スペース化への期待が高い都市部の業務用ビルに、ユーザーと協議しながら設置を進めていく。また、新神戸電機では今回の開発成果を生かし、今後の大容量リチウムイオン電池の市場拡大に備えて開発技術者と設備を増強し、産業用途での幅広い需要に対応、展開していくという。
ノザワ 太陽電池一体型外壁システムを提案
各種建築資材や工法を開発・販売するノザワ(兵庫県神戸市)は、習志野化工株式会社(千葉県八千代市)と共同で「太陽電池一体型外壁システム」を開発し、今年7月の販売開始を予定している。今月中に3キロワット規模の実物大の外壁模型を発表し、系統機器との接続を含めたシステムの実施工を行なう。
同製品は、押出成形セメント板「アスロック」に富士電機システムズ社製のフィルム型アモルファス太陽電池を組みこんだもので、建築外装に要求される各種の性能を満足しつつ太陽光発電システムとの実用的な融合を図るものである。太陽電池の為の架台が不要なだけでなく将来的に太陽電池モジュールを取り外して発電効率の高い最新型に取り換えることが可能となっており、モジュール間の配線もすべて外部から取り付けとメンテナンスが可能な専用の配線ボックスを採用している。
同社は外壁への太陽電池の採用は、屋根に比べれば発電効率が低下するものの、中高層ビルなど、屋上の設置スペースが小さい建物でも太陽光発電が可能である点に、有効性があると見ている。改正省エネ法施工後、急速に需要が拡大していくことを見込んでいるという。
ジーエス・ユアサ パワーサプライ 屋外設置できる無停電電源装置
ジーエス・ユアサパワーサプライ(東京都港区)は、屋外で使用される情報表示版や、通信、防災、防犯監視カメラなど、屋外機器の電力バックアップに最適な交流無停電電源装置「CAVSTAR(キャブスター)シリーズ」を発売中だ。同製品は負荷装置を1時間から数時間以上バックアップすることを目的として設計されており、災害発生に伴う長時間の停電においても防災機器などの負荷装置に給電を継続する。
阪神大震災や新潟県中越地震以来、防災意識が高まり、諸官庁等が建物やビルにバックアップ電源の整備を推奨する中で同社も各種バッテリー製品を提供しているが、多くの製品は通常屋内での使用を想定して設計され気温などの環境変化が厳しい屋外で使用した場合に信頼性を保てないケースが多い。しかし、同製品は、屋外に置かれている防災機器の電源をバックアップするというコンセプトの元で作られており、屋外に設置しても性能を保つことができる。内蔵絶縁トランスにより、雷サージ対策にも万全を期している。
「スリムな薄型構造タイプが用意してあり、狭い場所でも設置場所を選ばず、また通行の妨げにもなりません。尚、屋外環境を考慮した盤構造なので、CCTV監視カメラや防災機器の負荷停電対策に最適です。
浜田 バックアップバッテリーのリユースを提案
浜田(大阪府高槻市)は、工場・ビル・大型スーパー・病院・大学など、あらゆる場所で非常用電源として用いられているバックアップバッテリーのリユースに対応し、バッテリーのリユースに対応し、バッテリーのリユースを行うバッテリーフロー長寿システムを提供している。
同社は期待寿命を迎えて捨てられていたバッテリーにリユース処理を施し、バッテリーを買い換えるのではなく再利用を提案している。
同社によると、今まで廃棄していたバッテリーを再び使用することで、廃棄物量を削減し、資源の有効利用や環境保護を促進できると共に、新品を購入する際と比べて大幅なコストダウンも可能になるとしている。
同社のバッテリーフロー長寿システムは、バッテリーの劣化原因である化学劣化に注目することで、開発された技術を活用したもの。
一般的にバッテリーの能力低下の原因は、サルフェーション(PbSO4)という物質が極板に蓄積し、充放電ができなくなる化学劣化が起こることが大半を占めているが、この化学劣化に対して有効なBRS技術(株式会社B.R.S 合資会社ニュー・アンド・エスが開発した技術)を用いて、同社はバッテリーに高周波パルス電流を流し、サルフェーションを取り除き充放電を可能にしている。