不動産トピックス
今週の一冊
2010.06.07 17:00
IT革命がもたらす産業社会の未来を読む
ネットビジネスの終わりポスト情報革命時代の読み方
著者:山本 一郎
出版社:PHP研究所
発行:平成22年11月4日
価格:952円(税別)
ビルオーナーの中にも自ら自社物件のホームページを作成し、テナントなどへのアピールを行う事例が増えている。本書「ネットビジネスの終わり」では、過剰にその効果を喧伝されているネットビジネスやIT活用による業績改善などについて、懐疑的な立場を取る。
例えば、昨今ネットビジネスにおけるキーワードとして使われている「Web2・0」という言葉に対して、「Web2・0という概念自体が、そういう言葉をありがたがる人たちに対する客寄せのお礼にすぎない」と著者である山本氏は喝破する。
確かに、ネットを活用すればすぐに利益向上に直結するというほど産業構造は単純ではないだろう。ただ、本書の論旨を不動産業界に置き換えてみた際、いささか先の話をしているように思う。未だにネットをうまく活用しきれていない不動産関連企業も多い。これだけ情報インフラが整備されている現状を鑑みるに、不動産業界は、ITの利用法をもう少し検討してみる必要があるのではないか。