不動産トピックス
クローズアップ レンタルオフィス編
2010.07.26 11:36
景気情勢の悪化により企業の人員削減が行われ、オフィスを縮小する傾向にある中、活況を呈し、また、ビルの空室対策の活用法として注目を集めるレンタルオフィス。今回、レンタルオフィスに取り組む４社を紹介する。
未来予想 仲介会社と連携してサービスを展開
未来予想（東京都港区）は、赤坂、六本木、青山、新宿にレンタルオフィスを開設し、スペースの提供だけではなく、起業家を支援するインキュベーションを展開し、起業家が集中できる環境を整備している。
同社では、法律に詳しい専門家集団がサポート体制を敷いており、経営の無料相談、希望者によっては給与計算や税務申告などの実務を代行し、ワンストップでの解決を実現している。オフィスを賃貸する上で発生する敷金や内装工事などのコスト、実務に要する時間や負担の軽減ができるので、ベンチャー企業の成長スピードの促進に寄与している。
今年の７月にオープンしたばかりの「ＣＲＯＳＳ ＣＯＯＰ新宿」は、２５０名の利用が可能であり、同社が開設するレンタルオフィスの中では、最大の収容人数となっている。インターネットの内覧会を受け付けているが、社員が５～２０名程の中小規模の会社からの申込みもあるという。
同社の代表取締役ＣＯＯの庄子素史氏によれば、「人員削減によるダウンサイジングを求める会社は多くなっていますが、不動産の仲介会社では要望に応じたくても、物件に限りがあるため提供することが難しいようです。当社は、新宿のレンタルオフィスに関しては、仲介会社と契約を締結し、物件を探している会社の紹介をしてもらっています。今後、新宿以外のレンタルオフィスにおいても仲介会社と連携してサービスの展開を図っていきたいです」と語る。
オフィスの形式は、個室タイプではなく、パーテーションで仕切られたオープンな環境であり、起業家同士がコミュニケーションをとりやすくなっている。また、月に１回、勉強会や交流会を行い、起業家同士の横のつながりを提供している。
アイ・エス・オー 住所・電話番号を変えずにオフィス移動可能
「馬車道」駅に立地している「ヘリオス関内ビル」で、アイ・エス・オー（横浜市中区）は会員制のレンタルオフィスを展開している。チーフディレクターの伊藤氏は「『ヘリオス関内ビル』内の４階において、これまで特別会員（契約期間１、２年）・バーチャル会員（契約期間２年）の２種類の契約形態で、２８社と契約していました。現在、当社は同ビル９フロアの内、６フロアに営業スペースを拡大しています。会員タイプも、バーチャル会員（６カ月、１、２年）が加わり、３タイプ用意され、会員企業１６０社以上です」と語る。また、会員が経営事情でオフィスを拡大、縮小する場合は、同ビル内で移動すれば電話番号や住所はそのままの形で事業の継続が可能である。全てのブースにはオフィス家具、多機能電話、インターネット回線が繋がっており、同レベルの賃貸オフィスを借りるより少ない初期費用でビジネスを始めることが可能となる。
アットバリュー ユーザーの満足度が高いレンタルオフィスを運営
プロパティマネジメント（ＰＭ）会社からの委託によりレンタルオフィスを運営するアッドバリュー（東京都品川区）は、五反田と新宿でサービスを展開している。
オフィスの形式は個室タイプであり、新宿のレンタルオフィスでは全室が窓付きとなっている。料金体系は、シンプルで分かりやすい金額設定をしており、ローコストでオフィスを提供しているため定着率は高くなっている。オフィスの募集は、インターネットを活用して集客を行っているが、ユーザーの中には五反田が５年前、新宿が４年前に開設した当初から長く入居しているところがあるようである。
五反田のレンタルオフィスでは改修工事を行い、小型のオフィスを一部大きくして広い部屋を増やしつつあるため、バリエーション豊かなレンタルオフィスにすることで、ユーザーの幅広いニーズに対応が可能となっている。また、来年に向けては、通常のレンタルオフィスだと供給が過剰気味なため、趣向を変えたレンタルオフィスの展開を予定している。
VISIX 小規模なスペースで高級感があるオフィス
大規模なオフィススペースを借りる必要のない少人数の企業も、今後経営拡大を目指す場合、オフィスに高級感を持たせブランド力を上げたいと考える場合はある。「オフィススペースは小規模でも高級感が欲しい」そう思っても、都心で高級感あるテナントビルは、大規模なオフィスビルが中心で、スペースも広すぎ、賃料も高い。そういったニーズに応えるため、港区の赤坂、千代田区の平河町にそれぞれサービスオフィスビルを所有するＶＩＳＩＸ（東京都港区）は、少数でも飛躍的な企業にサービスを提供している。都心の一等地のオフィスを６坪～４４坪まで幅広く入居できるというのが、同社の特徴である。
今年から展開している「キュービックルオフィス」というブランドでは家具、光熱費インターネット使用料込で５・５３㎡から入居できる。同ブランドは、当初赤坂のみだったが、７月から平河町でも展開している。入居希望者も多く、良い立地で初期費用を抑えて起業したいと考えているニーズに合っているということであろう。
立地だけではなく、設備とサービスも充実している。両ビルとも、外観・内装ともに高級感があるデザインで、１階は来客の取次ぎなどをサポートしてくれるレセプションサービス（受付）、地下は商談などで使用できる共有ラウンジが設けられている。各部屋には光ケーブルなどＩＴインフラ、個別空調を完備し、無料のウォーターサーバーも設置されており、快適空間を比較的低コストで入居できる。
