不動産トピックス
クローズアップ 空調設備編
2010.08.02 14:30
夏本番を迎え、連日、夏日が続いていると、建物内部は空調を一日中、稼働している状況にあるのではないか。そのため空調機器のダメージが目立つようになり、空調設備の更新を検討しているオーナーも多いだろう。今回のクローズアップでは、各社の特徴のある空調設備を紹介する。
三菱樹脂 吸着率が高く40度~60度の低温排熱で利用可能
三菱樹脂(東京都中央区)は、吸着率が高い「AQSOA(アクソア)デシカント空調機」の営業を去年の春から開始し、具体的な施工事例として、除湿が要求される工場などで導入実績があるが、今後はスーパーマーケットや飲食店が入居するビルへの展開を検討している。
同製品は、ゼオライト系水蒸気吸着材の「AQSOA」をハニカムローターに使用したことにより、40度から60度での排熱利用を実現している。なお、耐久性も高くなっており、従来の製品では交換の目安が3年だったが、同製品は実証実験により約4年間の稼働でも不具合は見られていない。
吸着材は、温度・湿度の条件に合わせて「AQSOAーZ01」「AQSOAーZ02」「AQSOAーZ05」の3タイプをラインアップ。ユーザーの使用環境や用途によって幅広い対応が可能であり、同社が展開する「AQSQA吸着式冷凍機」と組み合わせることにより、熱の回収効率が向上する。
新規事業推進AQSOAプロジェクトのプロジェクトマネージャーである工学博士の吉江建一氏によると、今後の展開として設備の小型化に取り組んでいるという。
「機器の最適化により1m程度の小型サイズにすることが可能です。持ち運びができる大きさのため施工も容易となっております。大型設備の導入が難しい中小ビルでも取り付けることができ、湿気が溜まりやすい地下のフロアなどに部分的に導入することもできます」
現在は、ビルでのデモ実験を視野に入れ、場所の提供をし、実験に協力するビルオーナーを募集しつつ、小型の空調機のプロト機を使用したモニタリングを検討中とのことである。
昭和鉄工 ヒートポンプ内蔵型の最新技術空調機
昭和鉄工(福岡市東区)は、ヒートポンプ内蔵型省エネ空調機「リタンエアデシカント空調機」を今年度10月に発売予定である。この空調機は従来のデジカント空調機に、さらに改良して、エネルギーの削減を実現でしている。
従来のデシカント方式の空調機は、デシカント(吸湿剤)ローターの再生に排熱を利用することで、従来の冷却減湿方式に比べ少ないエネルギーでの湿度処理ができるシステムである。
「デシカント空調機は、省エネ対策の空調機として注目を集めています。そのデシカント空調機にさらに改良を加えたものが、今回当社が販売するリタンエアデシカント空調機です。還気する室内空気(リタンエア)を、デシカントローラーで更に除湿して、外気と全熱交換します。これにより従来排気されていた、低温排熱を利用することが可能となり、最終的に空調機で使われる冷却消費エネルギーを抑えることが可能となっています」(機器・装置事業本部 空調熱源事業部 安松 直樹氏)
冷却減湿方式の冷却消費エネルギーは37 kJ/kg。これに対して、同製品は10 kJ/kgである。
ラインアップは、処理風量4000~1万2000㎥/hの床置きタイプ5機種を揃えており多様なニーズに応じた省エネ空調・快適空調の実現に役立つであろう。
新晃工業 ダブルファン採用の新型空調機
新晃工業(大阪市北区)は空気調和機プラグファンシリーズ「ダブルプラグファン空調機」を発売した。同製品は、空気調和機のプラグファンを2枚にしたことでコンパクトながら、省エネ対策も可能である。
同製品は、ダブルファンとインレットコーンを使用した両吸込構造(DP形)を採用したことで、流体力学的に抵抗の少ないスムーズな構造を実現させた。また、プラグファンの周りにガイドという壁を装着することで、より空気の流れを効率良く吹出することが可能だ。
ダブルプラグファンは、従来のシロッコファン(多翼送風機)に比べて、モータのサイズダウンか可能である点も特徴の1つである。シロッコファンがベルト駆動に対して、ダブルプラグファンは直結駆動型のため、プラグファンによるベルトロスが無くなった。「サイズダウン」「ベルトロス」の2つの特徴は、ファンの動力エネルギーの削減に繋がり、両方のファン(共通条件、風量2万4100㎥/h)を比べると、ダブルファンは年間電気量10万7000円、CO2は4240kg削減されていた(1日8時間、年間稼働250日として計算)。
また、同製品は設置現場ごとに風量・静圧に基づいて都度設計するオーダーメイド方式を採用している。多彩なサイズに対応し、ランニングコスト削減を実現できる。