不動産トピックス
クローズアップ 空室対策編
2010.08.30 13:37
都心の一等地に建設された高層ビルから、地方の中小規模ビルまで、ビルの規模に関係無く、空室問題は深刻である。ビルオーナーにとって、テナントの空室が増えるような事態は避けたい筈だ。そんな中、近年「空室対策」に有効なサービスが、様々な企業で展開されている。
カーブスジャパン 地元の社交場も兼ねたフィットネスクラブ
カーブスジャパン(東京都中央区)は「no men(男なし)、no make up(化粧なし)、no mirror(鏡なし)」を合言葉に、女性専門のフィットネスクラブをフランチャイズ展開している。本社が所在するのはアメリカで、日本上陸が平成17年。以来全国各地で782店舗、会員数28万人(平成21年末時点)と着実にその数を伸ばしている。
同社が提供しているフィットネスの内容は、30秒ごとに有酸素運動と油圧式マシンを繰り返す30分間のプログラムのみというシンプルなシステムだ。テナント物件の条件として、通常フィットネスクラブにあるシャワーなどを設置せず、水周りの設備に関しては、給湯室とトイレがあれば可能である。広さは40坪前後で、同社のターゲット層が40代から60代の主婦のため、その年齢層が集まりやすい場所であれば、住宅・オフィス街と問わず、路面や空中階どちらも対象としている。これらの理由から、オフィスビルや、学習塾が撤退した後の複合ビルのワンフロアなどでも多数展開しているのが特徴だ。同社によると、実際にフランチャイズ契約をしたビルオーナーから、地元主婦の社交場として利用されるようになったため、ビルに活気が溢れるようになったと好評を得ているとのことだ。
また同社は、フィットネスクラブでの展開システムを利用して、一部店舗で、自治体と協力して介護予防事業も行っている。介護予防とは、「要介護状態になることをできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態であっても、状態がそれ以上に悪化しないようにする(維持・改善を図る)」ことを指している。同社では地元の老人を対象に、フィットネスクラブの休憩時間、午後1時から3時までの1時間半を、参加費無料、男性も可能とし、同社が専門とする筋力運動や、講話、自宅でできる運動の紹介といったサービスを展開している。
「当社では、平成26年で1500店舗を目標に展開しています。当社のフィットネスクラブを通じて、地域の主婦やご老人の社交場としての役割も担えればと考えています」(営業推進部 山木 現一氏)
レンコーポレーション 会議室・オフィス空室を撮影場所として提供するサービス
店舗、オフィスの仲介やレンタルオフィス、貸会議室、保証金ゼロオフィスなどの空室対策を専門とするレンコーポレーション(東京都港区)は、飲食店のアイドルタイムや会議室・オフィスの空室を利用しスチール撮影やムービー撮影などに利用するサービス、「フォトロケーション」を発表した。
本サービスの内容は、スチール撮影・グラビア撮影などの撮影場所を、様々なシチュエーションにアレンジして提供するというもの。
特徴は、同社がオフィスビルや飲食店などの場所を準備し、様々なニーズに対応できるという点だ。場所提供者は登録制となり、飲食店のアイドルタイムや空室発生時など、ビルの有効利用を目的としている。
また、利用者には面倒な利用交渉や設備の確認などを軽減し、場所探しの手間を省くことも特徴である。
他にも同社のホームページでも登録されている撮影場所を観覧できるようになっている。同社では撮影に関しては常時スタッフを配置する為、利用者、場所提供者、双方に負担を掛けない対応を心がけているということだ。
イエスデザイン 賃貸ワンルーム専門の空室対策
賃貸マンション・収益物件を専門とし、リノベーション事業を展開するイエスデザイン(東京都港区)は、リノベーション対象物件を「ワンルーム・1K」に絞り込んだ低価格リノベーションサービス「リノベワン」を展開することを発表した。
本サービスの特徴は、「入居者自らによる企画・アイデアによって生まれたデザインパッケージ」と、「低価格、定額パック料金制」の大きく二つである・要となるデザインパッケージを創り上げるにあたり、実際に入居者ターゲット層(20代OL、女子大学生、20代男性ビジネスマン)へのグループインタビューを実施し、彼らに「自分たちが住みたい部屋」の企画・デザイン協力を依頼した。
オーナーからの声として、設備系の空室対策(無料インターネットや防犯セキュリティ、ユニットバス分離 リフォームなど)は入居希望者に対する効果・反響が見え難いとの意見が多く、同社では「賃貸物件は見た目が勝負」と割り切り、デザインリノベーションによる満室支援に特化させた。
顧客となるターゲットは、関東一都三県で、ワンルーム・1K賃貸物件の空室に悩む区分所有および一棟所有オーナー。今後、実効性のある新たな空室対策として年間50戸程度の受注を見込む。