不動産トピックス
クローズアップ 災害対策編
2010.11.01 14:04
11月9日から消防庁が制定する「秋の全国火災予防運動」が開催される。火災は勿論だが、地震や洪水など、災害はいつ、どこで発生するか予測は難しい。災害によって発生するリスクは、貸ビル経営者にも影響する。ビルなど資産の損害、損失を生むリスクもあるが、何より入居者の人命を優先して、災害対策を取らなければならない。そこで今回は「災害対策」について特集をする。
ミラクル・マネジメント 耐震性向上させる鉄骨溶接工法 工程の簡略化・部材の削減にも貢献
ミラクル・マネジメント(大阪市中央区)では、耐震性の向上と溶接量+重量の削減によるコストダウンを実現する耐震鉄骨溶接工法として、「WAWO(ワオ)構法」の提案を行っている。
「WAWO構法」はアークリエイト(高知県高知市)と高知大学などの産学協同研究によって、平成13年に開発された。工法の特長について、ミラクル・マネジメント代表取締役の瀧川昇三氏は次のように語る。
「『WAWO構法』は阪神・淡路大震災を契機に開発された工法で、鉄骨の柱と梁を接合する際に、従来の溶接工法とは異なり補助材やスカラップ(穴)を使用せず、溶接部ののど厚を大きくすることで、溶接量を大幅に削減します。これにより、工程の簡略化・部材の削減を実現するのです。また、この工法は構造がシンプルで歪みや応力集中が少ないことから、耐震性にも非常に優れていることが大きな特長といえます」
同社の試算によると、延床面積約5000m2、地上5階建て建築物の新築時における本体鉄骨躯体工事の費用は、従来工法に比べて「WAWO構法」の溶接のみの採用で5・2%の削減、同工法の重量軽減タイプでは最大10~15%のコスト削減効果が見込めるという。
「鉄骨部材や工期を減少させることはCO2の排出削減にも繋がるため、環境にも配慮した工法であるといえるでしょう」(瀧川氏)
三菱重工業/三菱電機 ディーゼルエンジンと発電機を組み合わせた非常用・防災用自家発電
三菱重工業(東京都港区)、三菱電機(東京千代田区)は、ディーゼルエンジンと発電機を組み合わせた非常用・防災用自家発電「PGーQシリーズ」を発売している。
同製品の特徴は主に4つである。
1つ目は、新型デジタル制御盤の搭載、表示操作部(非常停止を除く)に液晶タッチパネルを採用したことで、操作性が向上した点だ。また、故障発生時に画面が赤色に変化し、誤操作を防止するため画面のスイッチ類は「長押し操作方式」を採用した。
2つ目は、自動定期保守運転機能の搭載により、曜日・時刻を設定するだけで自動的に3分間の保守運動を行い、次回運転までの残日数も表示されるため、計画的な保守業務が可能である。
3つ目は、発電機の保護や、動作のための保護リレー機器(継電器)のテストは、従来リレーを取り外さなければならなかったが、同製品は主要3種類のリレーにテスト回路を標準装備させているため、リレーを取り払わずにテストを行うことができる。
4つ目は、遠隔監視機能(オプション)により、事務所や管理室など遠方で発電機の状態を監視でき、これにより監視・保守義務の簡素化が図れる。
これらの機能に加え、同製品には、環境の配慮として、制御盤の筐体に高耐食性鋼板を採用した。これによって、同社が販売している、従来機種「PGーQシリーズ」と比較して塗装に使用する有機溶剤の量を約80%削減できるとしている。
コクヨS&T 必要な時に誰でもすぐに使えるコンパクトな災害対策用品
コクヨS&T(大阪市東成区)は、企業や各種団体などの災害対策用品として、必要な時に、誰でも、すぐに使える「レスキューベンチ(施錠タイプ)、(地震感知タイプ)」と「キーボックス(地震感知タイプ)」の3製品を発売した。
「レスキューベンチ」は、座面下のスペースに救助工具類を収納することで、普段はロビーチェアーとして活用できるキャビネットだ。備蓄スペースを削減しつつ、救助工具類を身近な場所に収納しておくことが可能となる。
また震度5強相当以上の地震の揺れを感知すると、自動的にロックを解除する「地震感知タイプ」と管理者が解錠する「施錠タイプ」の2タイプがラインアップされている。
一方、「キーボックス(地震感知タイプ)」は、震度5強相当以上の地震の揺れを感知すると、自動的に扉のロックが解除される仕組みとなっている。防災用品を保管する倉庫の近くに設置し、鍵を保管すれば、地震発生時に管理者が不在でも鍵を取り出すことができるので、迅速に救助・復旧活動に取りかかることができる。
またボックス内には、A4サイズのファイルを収納できるスペースを確保。スペース内には、災害マニュアル、緊急連絡先一覧表、備蓄品の取扱説明書など、災害時に必要な書類を入れることできる。