不動産トピックス

クローズアップ 機能ガラス編

2011.01.24 11:19

 建築物の印象を大きく左右する要素の一つであるガラス。現在では様々な機能が建築用のガラスに備えられ、ビルの省エネルギーや断熱などに貢献している。今回はその中から機能性の高い建築用ガラス製品をピックアップして紹介する。ビルの装いを一新してみてはいかがだろうか。

旭硝子 ワイヤレスと防火性向上を実現
 旭硝子(東京都千代田区)では網なし耐熱強化ガラス「マイボーカ」を発売した。
 現在の建築基準法では万一の火災時に被害が拡大しないよう、建物と建物の間に1階は基準線より3m以内、2階以上は5m以内にある建物外部の面(外壁、屋根、軒裏など)は不燃材で造ること、並びに延焼の恐れのある開口部分を防火設備で構成することが定められている。ビルの防火設備とは主に開口部に用いられる防火戸のことで、20分間の防火性能が必要となる。同製品は、同社で行った20分間の防火設備の試験をクリアしており、火災発生時も一定時間炎の侵入を防ぎ、延焼やもらい火のリスクを最小限に抑えることができる。
 また特殊なエッジ加工・強化処理によって割れにくく、一般的なガラスに比べて破損した場合も細かな破片となる。そのため万一割れた場合も破片によって周辺の人を傷つくリスクが減る。
 同製品のもう一つの大きなメリットは、防火設備の閉口部で多かった網入りガラスのタイプと違い、同製品はワイヤレスタイプのものである点だ。網入りタイプのものの場合、ガラスの防火性は上がっても外の景色が見えにくく、外観が損なわれる欠点があった。しかし同製品はその欠点が無くなり、さらに薄く軽いメリットがある。(網入り板ガラス6・8mmと同製品5mmを比較した場合)。
 同社広報・IR室主幹小田氏は「今までの防火ガラスは網が入ったものであることが常識だと思われています。しかし同製品はワイヤレスタイプのため、クリアな視界を保ちつつ、高い防火性を兼ね備えた、画期的な強化ガラスです」と語った。

ヘラクレスガラス技研 新素材アクリル樹脂採用の環境貢献型合わせガラス
現在国内、海外においてガラスの多くはフィルム合わせガラスが主流となっている。このタイプのガラスは高温・高圧の接着エネルギーが必要となるが、ヘラクレスガラス技研(神奈川県横浜市)が今回発売した建築ガラス「ヘラクレス」はアクリル樹脂で接着する全く新しいタイプの合わせガラスである。同製品は常温・常圧の接着エネルギーで製造が可能で、1㎡辺り1kgのCO2削減が可能となり、地球温暖化防止に貢献した次世代型建築ガラスといえよう。
同製品はガラスとガラスの間にアクリル樹脂を使用した中間膜を合わせた、ソーラーカット遮断合わせガラスでもある。この中間膜には熱線カット剤を分散され、熱線を反射吸収し、室内の温度上昇抑制に効果的である。 もう1つ特徴点は色合いのバリエーションの多さにある。アクリル樹脂素材は顔料を注入することでムラの無いキレイな色の仕上げを完成させることができる。赤、青、緑とユーザーに希望の色合いに合わせることができるため、商業ビルなどのビルの差別化に効果的といえよう。
「当製品は製造段階でCO2削減に貢献できるアクリル樹脂という新素材の採用した全く新しい合わせガラスとなっております」(CSR事業部部長 伊地知正弘氏)

日本電気硝子 住宅版エコポイントの対象商品
 日本電気硝子(滋賀県大津市)は、ガラスブロックの製品構造に革新的な改良を加えることで、様々な機能を備えた新世代のガラスブロック「ファイネックスシリーズ」を開発した。
 近年経済対策の一環として環境保護を軸とした各種ポイント制度や優遇税制が実施される中、住宅分野においては住宅エコポイント制度の導入などにより、今まで以上に住宅の省エネ化が脚光を浴びるようになった。とりわけ、建物自体の高断熱化や熱の出入りが最も大きいとされる開口部の断熱化は、省エネ対策として非常に効果的であると言われている。
 日本電気硝子では、このような環境配慮・省エネ気運の高まりに対応すべく、「ファイネックスHI」を開発した。
 同製品の特徴は、まずこれまでにない高い断熱性能を実現している点である。従来のガラスブロックと比較して約1・3倍の高い断熱性能を持つガラスブロックとなっており、経済産業省の省エネ等級(ガラス)の最上級である4等級に相当し、寒冷地においても快適に使用することができる。
 また、住宅版エコポイントの対象商品となっており、最も厳しい1.及び2.地域でも、エコリフォームの窓断熱改修の外窓交換において、ポイント発行の対象になる。

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