不動産トピックス
クローズアップ 警備ロボット編
2011.02.21 11:50
最新のオフィスでは機械警備が標準になりつつある昨今。人的警より安上がりとはいえ、単なるセキュリティシステムでは少々味気ない。今回は、警備機能はもちろん、PR効果も見込める警備ロボットについて特集する。
ALSOK 関内案内やクイズ・ゲームも
少子高齢化の影響で、警備業界における若い労働力の確保が困難になることが予測される一方、セキュリティに対する要求は以前にも増して高まってきている。
こうした背景を踏まえて、20年以上前から警備ロボットの研究開発に取り組んできたのがALSOK(東京都港区)である。
同社が平成18年に開発した巡回警備ロボット「ReborgーQ」は、従来の屋内警備用ロボット「ガードロボDー1」の改良型。あらかじめインストールされた情報をもとに館内を自動で巡回・監視し、高性能カメラが捉えた映像を録画する。自動走行のほかリモコンで操作することもでき、TV電話機能により防災センターの警備員との会話も可能だ。
「ガードマンとロボットの融合」がコンセプトで、警備・監視機能だけでなく、本体正面のタッチパネルを用いて来場者の館内案内も行う。子供向けにクイズやゲームといったコンテンツ機能も搭載しているのもユニークだ。こうした演出により導入した施設の付加価値向上にも資するという。
「『ReborgーQ』のノウハウを生かし、案内機能に重点を置いたロボットも開発しました。既に全国の企業やショッピングモールなどで導入されております」(開発技術部 菅原 雄介氏)
セコム 危険な場所にも対応する屋外型
セコム(東京都渋谷区)が平成16年に開発した「セコムロボットX」は、4つの車輪で広い敷地を所狭しと動き回る、屋外巡回監視ロボットだ。
これまでにも現金輸送用ロボット「セコムロボット」や食事支援ロボット「マイスプーン」など、さまざまなロボットを開発してきた同社のロボット開発の延長線上にある本製品。「屋外警備用ロボットは業界としても初」(コーポレート広報部 安田 稔氏)という。
従来、広い屋外での警備はカメラを設置したり、警備員を巡回させるなどして対応してきたが、いずれにしても多数のカメラや人員が必要だった。「セコムロボットX」に切り替えることでコストを削減できるほか、人を配置するには危険な場所の警備も可能になった。
「広いエリアを俊敏に行動することができる」というコンセプトで開発された「セコムロボットX」、人間が走るスピードに合わせた最高時速10kmで走行する。通常はあらかじめ設定したルートで敷地内を自動巡回し、緊急時には管制からの遠隔制御により不審者などを追跡する。360度全方位が監視可能なカメラは夜間や暗い場所にも対応する。捕獲機能はないが、光や音声、発煙装置によって威嚇を行うことができる。
販売方法はレンタルで、主に工場、学校、空港、倉庫、遊園地など広い場所での使用を想定している。
テムザック 携帯電話使って遠隔操作
テムザック(福岡県宗像市)は、警備会社のアラコム(東京都港区)と共同で、携帯電話で操作できる警備ロボット「Tー34」を開発した。
地方の中小企業ながら、独自の技術力と発想力により業界内で抜群の知名度を誇る同社。そのロボット研究開発は、平成4年、前身の食品加工製造会社が世界初の「脱着式ベルトコンベアー」の開発に成功したことから始まる。注目を浴びたのは翌年の平成5年、受付・案内ロボット「テムザック1号機」がきっかけだ。ボタンやタッチパネルで訪問部署を入力すると、応接室まで案内してくれるというものだった。
莫大な研究資金が必要なロボット開発。中小企業ゆえ資金繰りに苦しみつつも、次第にその実力が認められ、今は大手企業や大学、地方自治体、さらに海外からも注目を集めるに至った。
「Tー34」は、携帯電話によりリアルタイムの画像を見ながら遠隔操作が可能なロボットで、不審者の動きを封じる網を放射するネットランチャーを搭載している。ビルの機械警備においてこれまで手薄だった、異常発生時の現場確認と初期対応を可能にするのが狙いという。