不動産トピックス
クローズアップ 太陽光発電編
2011.03.07 11:19
ビルオーナーにとって、省エネや省CO2などの環境関連のサービスは、関心が高い分野だといえる。建物の屋上の有効活用を検討した場合に、緑化や太陽光発電の導入が考えられる。今回は、太陽光発電に焦点を当てて、各社が展開するサービスについて見ていこう。
田辺工業 屋根材から外壁材まで幅広い用途での利用が可能
産業プラント設備工事の設計・施工事業などを展開している田辺工業(新潟県上越市)は、プラントエンジニアリングの経験を活かし、5年程前より太陽光発電システムの企画からアフターフォローまで一貫体制によるサービスの提供を行っている。
同社は、富士電機システムズ(東京都千代田区)が開発したフィルム状の太陽電池モジュールを取り扱い、独自の接着技術により意匠性を損なわずに屋根材から外壁材まで幅広い用途での利用を実現している。
「太陽電池モジュールは、アルミのフレームを含めても1m2あたりの重要が5kgのため軽量となっております。そのため、屋上の一部に緑化とともに、当社の太陽光発電システムを駅ビルなどに採用して頂いていたケースがあります。その他にも工場や学校関係などで導入して頂いており、設置場所によって太陽電池モジュールを屋上の底面や架台を設けて、取り付けることが可能です」(東京本社 産機エンジニアリング部 環境エコ推進室 電気グループリーダー 西山 久良氏)
また、太陽電池モジュールはフレキシブルなので、電柱などの柱に巻きつけて、駐車場の照明設備や防犯灯として使うことができる。
「太陽電池モジュールとともに、軽量PVモジュール専用充放電コントローラを設置して頂ければ、日没から自動で照明器具が点灯して、点灯後、何時間で消灯をするのか設定を行うことができます」(同氏)
カナメ ワンタッチジョイント構造のため30%コストを削減
カナメ(栃木県宇都宮市)は、太陽光発電システムの開発・製造・販売・施工およびシステムの流通販売事業を行っており、住宅や大型施設の新築から改修まで可能な屋根付き太陽電池「PVウェーブパネル」を展開している
同製品の特徴として、既存のメーカーモジュールをそのまま組み込める設計であり、パネルをジョイント部にスライド挿入し、ビスを使って固定するだけのワンタッチジョイント構造となっている。そのため、施工現場での設置作業の省力化を実現し、従来の屋根材型太陽電池に比べ、30%のコスト軽減に寄与している。
また、モジュールと一体型の架台部が、屋根としての強度や防水性の機能を有しているので、新築時では屋根の工事が不要であり、既存屋根への取り付けにおいては、水密性などの屋根機能を向上させる付加価値を付けることができ、太陽電池が目立たないフラットデザインとなっているため屋根の意匠性を損なわない仕様になっている。
その他に、太陽電池下に通気層が設けられており、太陽熱により暖められた空気が自然換気されるので、太陽電池の温度上昇を抑制し、温度上昇にともなう太陽電池の発電効率の低下を防ぐことができる。
テクノマテリアル 低コストおよび工期の短縮を実現
テクノマテリアル(東京都千代田区)は、プレキャストコンクリートの製造販売および建設機械と資機材のレンタル事業を展開している。
同社は、ほとんどの国内メーカーの公共・産業用太陽光発電モジュール(パネル)に対応可能なコンクリート製基礎架台「ソーラーベース」をパナソニック環境エンジニアリング(大阪府吹田市)と共同開発した。
工場生産された同製品を平坦な場所に並べ、パネルを金具で固定するだけで風力にも耐える仕様となっている。簡単な方式で設置が可能なため低コストおよび短工期を実現しており、ソーラーベースの第1号物件として、「井手町立小中学校太陽光発電設備設置工事」(京都府綴喜郡井手町)に採用されている。同小学校には、公称最大出力20kWのパネル設置用にソーラーベース126基納品している。
従来の鉄骨トラス架台方式と比較すると、架台製作と現場設置・パネル取り付けまでのコスト(パネル購入費は除く)は約25%削減。工期は鉄骨トラス架台では、1カ月程度を要するのに対して、ソーラーベースでは完成検査まで含めて1週間での施工を可能にしている。