不動産トピックス

クローズアップ 駐車場・駐輪場編

2011.05.16 10:34

 駐車場や駐輪場の的確な整備は、ビルの価値向上のみならず地域貢献にもつながる。既存の駐車場・駐輪場をリニューアルしてビルの活性化を、また遊休地・余剰地を整備してさらなる収益を産みだそう。

タイムズ24 コストゼロの安定した駐車場経営実現
 今や完全に定着した感がある時間貸駐車場。その数は、業界トップのタイムズ24(東京都千代田区)が運営する「タイムズ駐車場」だけでも約32万台分で、なおも増加中という。
 一般に、駐車場経営のメリットは2つに絞られる。一つめは余剰地の有効活用という点。同社で運営する駐車場の大半が5台から10台程度の小規模の駐車場というのも、これを裏付ける。「タイムズ」は土地オーナーから定額で土地を借りるシステムを採用しており、賃料は主に近隣の月極駐車場の相場から算出される。そのため駐車場利用の多寡に左右されることなく、安定した収入が見込める。
 もう一つのメリットは初期投資を抑えられるという点だ。「タイムズ駐車場」では機器の設置などは同社が負担するため、開業コストは実質ゼロ。さらにメンテナンスや利用者とのトラブル対応などもすべて同社が行うため、ランニングコストもかからない。24時間対応のコールセンターも開設されており、迅速な対応も期待できる。
 同社のグループ、パーク24経営企画本部の袴田氏は「ビル内の駐車場をお持ちの方にも『タイムズ駐車場』の魅力を感じていただければ」と話す。同社ではポイントカードやフリーペーパーの発行など利用を増やすサービスにも力をいれており、駐車場経営をさらに魅力あるものにしていきたい考えだ。

ダイゾー 駐輪場でビルの価値アップ
 自転車ブームといわれて久しい昨今、交通機関の発達した都市部でも自転車通勤は珍しいものではなくなった。自動車の駐車違反取締り強化やコスト削減のため、近隣の移動に自転車を使用する企業も少なくない。専用路なども整備されつつあり、自転車の利用はさらにすすむとみられる。
 ダイゾー(大阪市港区)の自転車ラック「ちゃりべーた」は昇降式の上段とスライド式の下段からなる2段式。上段のラックは折りたたみ式になっており、ラックを引き出して駐輪した後エレベーターのように上昇させる仕組み。昇降は手動だが、定荷重バネを採用しているため女性や高齢者でも楽に自転車の出し入れができるという。
 下段のラックは駐輪したまま左右にスライドできる構造。上段を昇降させる際には下段をスライドさせてスペースを確保する。スライドも手動だが、片手で動かせるほど軽いという。本体には、さびに強い高耐食溶融めっき鋼板を使用。2段式のため、限られた空間に効率的に駐輪できる。
 駐輪場の整備は、テナントへのアピールや外来者の利便性向上に直結し、また放置自転車を減らすという社会的意義もある。同社では時間貸の駐輪ラックの販売も行っており、利益を産むことも可能だ。駐輪場を完備したオフィスビルが少ない今こそ、その注目すべきかもしれない。

アイテック 時間貸駐車場の常識破る”ロックレス”の駐車管理システム
 料金を支払い、ロック版が下がって出庫する。そんな時間貸駐車場の常識といってもいい仕組みに、変化がおとずれている。アイテック(東京都新宿区)の「ロックレス」式駐車場システムには、その名のとおりロック版がない。かわりに取り付けられたカメラがナンバープレートを自動的に読み取り、車両の入出庫をチェックして課金する。
 料金を支払わずに出庫した車両に対しては、同社が運営する駐車場を再び利用した際に支払いを促す。ナンバープレートを隠したりする不正に対しても、駐車場内全体を撮影するカメラが設置されているためすぐに発見できるという。またカメラ部分を隠すとコールセンターに信号が送られる仕組みもあり、いずれの場合も警備員が急行する体制がとられている。こうした仕組みやカメラの抑止効果もあってか、不正利用は従来のロック版式よりも少ないという。
 また「ロックレス」式には、駐車しやすいというメリットもある。同社の調査では多くの女性がロック版式駐車場を苦手としているといい、実際にロック版式から「ロックレス」式に変えたところ、売り上げが増加したというデータもあるという。
 携帯電話の「フェリカ」を使用した支払い方法や法人向けの支払いシステムなど、利用者の利便性を高めるサービスもある。同社広報担当の高階氏は「これからもお客様目線で、収益を上げる仕組みをつくっていきたい」と話している。

オプナス 新発想のバイク駐輪機 車体とともに荷物も収納
 駐車違反の取り締まりはバイクも例外ではないのは周知のとおり。時間貸の駐車場は増えたがバイク用はまだ数が少なく、都市部では安心して駐車できる場所を探すのが困難なほど。また一般的なバイクは収納スペースがほとんど無いため、ヘルメットなどの盗難も気にかかる。オプナス(東京都千代田区)の「バイロ」は、こうしたライダーの悩みを解決する新発想のバイク用駐輪システムだ。
 「バイロ」最大の特徴は、荷物が入れられるロッカーが取り付けられている点。同社ビジネス創出グループの木村一郎氏は「ヘルメットやジャケット、グローブなど、バイクに乗る方のアイテムは意外と多い」と話し、ニーズは多いとみている。
ラインアップは、個人利用や月極駐車場向けの「ベースタイプ」、時間貸駐車場向けの「精算機対応タイプ」、電気工事不要の「コインロッカータイプ」の3タイプで、様々な使用シーンに対応している。
 自動車用に比べスペースを必要としないバイク用駐車場は、デッドスペース対策にも有効だ。自動車用の駐車場と合わせて活用すれば、相乗効果も期待できるだろう




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