不動産トピックス

クローズアップ 臭気対策編

2011.07.11 14:22

 7月に入り蒸し暑い毎日が続くなか、例年避けて通れない「におい」の問題がある。原因や出どころも予想以上にさまざまのようである。今の時期は何らかのにおいで悩まされる人が多いのではないだろうかと思い、今回は臭気対策を取り上げる。

共生エアテクノ におい刑事(デカ)活躍中 祖父の介護で悪臭に取り組み気が付いた臭気対策の重要さ
 臭気対策に特化して事業を展開する共生エアテクノ(東京都中央区)。
 代表取締役の松林宏治氏は、起業のきっかけを「自分のことを可愛がってくれた祖父の介護にかかわるなかで、臭気対策の重要さに気がつき、その際に悪臭解消に取り組んだ経験からです」と、話してくれた。
 自らを「におい刑事(デカ)」と称し、各メディアや講演活動を通して、臭気対策への啓蒙活動も行っている。  建設、設計業者や建物管理者とならんで、直接ビルオーナーから依頼を受けることも少なくないという。なかでも悪臭の発生原因調査についての問い合わせがもっとも多く、原因不明の悪臭に悩まされているオーナーが少なくないことを実感したという。
 「ビルオーナーの方からの問い合わせは、テナントの入退去に密接に関わっているため急いでいたり、詳しい状況の説明が必要だったりしている場合が多いです。私どもは脱臭装置や消臭剤を闇雲に導入する前に、入念なヒアリングと臭気調査をして脱臭方法をご提案しており、約90%は原因を突き止めている実績があります。臭気の原因も、感じ方の個人差も千差万別です。気軽にお問い合わせいただければと考えています」(松林氏)

カルモア 酸素クラスター除菌脱臭装置 悪臭包むイオンのかたまり
 従業員の約8割が臭気判定士の資格を持ち、総合的な臭気対策事業を展開するカルモア(東京都中央区)は、「カルモア酸素クラスター除菌脱臭装置 『ionair』」を販売している。空気環境の改善を目的として、90年代中盤ごろからスイスより導入した。
 人が悪臭を感じる成分は多くがごく小さな分子量であり、それを大きく上回る酸素クラスターイオンというかたまりで包み込み、イオン分解反応を経て無臭の分子に分解する仕組み。有害物質の除去や除菌、空気清浄にも効果があるという。
 脱臭効果は、室内のごみ保管所で90%以上と非常に高く、場所や広さなどの用途別に、モデルを3タイプそろえている。 なかでも広い空間向けのダクトタイプは、センサーを伴った調整器を使って、室内環境を常に最適に保つように、酸素クラスターの稼働率を自動で調整することが可能だ。
 同社の建築設備チーム係長・榎本崇浩氏は「この商品は海外でも販売されており、上質な室内の空気環境を作ることで他の建物との差別化をはかろうと、導入する利用者が多いようです。今後は日本でも空気環境のよさが建物の付加価値となると感じており、今まで以上に需要が高まるのではないかと期待しています」と、話していた。

三菱樹脂 光触媒「ダイアパーティション」 光触媒技術を室内間仕切りで実現 拭き掃除繰り返しても性能維持
 三菱樹脂(東京都中央区)では、表面に光触媒機能を持つ酸化チタンを施した、可動式間仕切「ダイアパーティション」を販売している。室内の照明や太陽光から紫外線を取り入れて、有機物を酸化分解する仕組みになっている。
 油、たばこやアンモニアなど、室内の気になるにおいを分解する防臭効果のほか、抗菌やホルムアルデヒド分解の効果があることが特徴である。
 同社製の樹脂フィルム積層鋼板「ヒシメタル」を、表面材として採用することで、従来外装材として一般的だった光触媒機能を、屋外と比べて紫外線量の少ない室内で活用できる製品を実現した。
 一連の分解機能を発揮する紫外線量の目安は、500~1500ルクスであり、蛍光灯の明るさ程度である。また、拭き掃除を1000回繰り返しても、製品の性能を維持できる耐久性を持つほか、帯電防止機能やセルフクリーニング効果があるという。
 同社複合材事業部・パーティショングループの渡辺裕之グループマネジャーは、製品について次のように説明してくれた。
 「最近では節電を迫られているなかで、室内で照明から取り入れられる紫外線の量が、通常より少なくなっています。その点は、月に一度程度の拭き掃除を行うことで十分にカバーできます。オフィスなどのさまざまな用途で広くご利用いただいております」

荏原実業 腐植質脱臭剤「ボエフ」脱臭「EKOフィルター」
 荏原実業(東京都中央区)では、土を使った独自の腐植質脱臭剤「ボエフ」を開発、販売している。
 活性炭の従来品と比較すると脱臭容量が大きいため、長期間にわたって脱臭効果を発揮し、ランニングコストを低減することができる。
 また、土が主成分のため湿気に強く、脱臭効果は臭気ガスの湿度に左右されることがない。
 生産時のCO2発生量が、活性炭の脱臭剤と比べ約50分の1と少ないこと、使用後は肥料へのリサイクルが可能であることから環境への負荷も低減できるという。
 同社のボエフ・脱臭部の参事・木村郁夫氏は「ボエフは、対象ガスにより4種類用意しております。ビルメンテナンス向けには酸性・両性ガスに対応している『EPSR1』がおすすめです」と、話している。
 また、同社で製造販売する脱臭フィルター「EKOフィルター」は、平成17年に慶應義塾大学との共同研究で開発され、平成21年には下水道新技術推進機構の「建設技術審査照明(下水道技術)」を取得。
 フィルター内部は臭気を逃しにくいハニカム構造で、その上に塗られた高性能の触媒が、悪臭の原因物質を吸着・分解するという。




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