不動産トピックス
クローズアップ ドアロック編
2011.07.25 16:14
防犯の要として最重要項目に挙げられるドアロック。ビルでは鍵の管理が煩わしいという印象もあるが、きちんとした管理はテナントへのアピールにも繋がる。高い防犯性はもちろん様々な機能を備えたドアロックで、他ビルとの差別化につなげたい。
オプナス シリンダー交換不要でキーチェンジ 施錠・解錠確認できるオプションも
オプナス(東京都千代田区)が販売する「メモリス」は、シリンダー交換不要でキーチェンジが出来るシステム。入退去のたびに鍵交換が必要なビルはもちろん、最近増加しつつあるSOHOオフィスなどでも活躍しそうだ。
交換も非常に簡単。キーの種類は「子鍵」「チェンジキー」「マスターキー」の3種類があり、テナントが使用するのは「子鍵」。テナント退去後、鍵穴に「チェンジキー」を指し込み、右に180度回転させて引き抜く。これで鍵がリセットされ、以前の子鍵は使用できなくなる。次に新しい子鍵を指し込み、左に180度回転させて引き抜くだけで鍵の交換は完了する。ピッキング対策も施されており、防犯性能も高い。
また特徴的なオプションとして、施錠したかどうかを確認できるシステム「施開錠状態表示キー『アイズ』」が用意されている。アイズは鍵に小窓が付いており、施錠するとオレンジ色、開錠すると黒色が表示される仕組み。同社ビジネス創出グループの木村一郎氏は「電子ロックや生体認証など、ドアロックのシステムも多様化が進んでいます。そのなかで、物理的に『鍵をかける』という動作は安心感を生みます」と話す。警察庁の調査(平成22年)では、玄関から進入する空き巣の64%が「無施錠」状態の玄関から進入しており、ピッキングによる進入はわずか1%にすぎないという。
確実な施錠こそが最大の防犯対策であるという明らかな事実をふまえ、「ついうっかり」を未然にふせぐことができるアイテムだ。
イナフケア 国内初「二段階マスター機能」採用
イナフケア(東京都墨田区)の「楽々ロック」は、国内初かつ唯一の「二段階マスター機能」を搭載した暗証番号式のドアロック。従来のツーロックは鍵が2個必要だったが、1つを暗証番号式としたことで鍵を2個持つ必要がなくなった。同社セキュリティープロデューサーの折元洋己氏は「現状の鍵に施工可能なため経済的です。防犯強化・他物件との差別化にもつながります」と話す。
テナントビルにおける運用では、オーナーが暗唱番号を、管理会社がマスターICキーを保持する。マスターキーを分けることで、管理会社に委託する際の不安感払拭にも一役買っている。月額数百円の支払いで最長5年間の延長補償が受けられる制度も完備している。万が一の際のサポートは24時間体制。完全アウトソーシングで、離島を除く日本全国を網羅している。外部電源が接続可能なため、本体の電池が切れた際も開錠できる。
また本体裏には温度センサーを設置。火災を感知すると警報を吹鳴。消防隊員の侵入を妨げないよう自動的に解錠する。本体外部からはセンサーに温度が伝わらない設計になっているため、強い日差しや、外部本体を暖めたりしても解錠は不可能という。
暗証番号8個、ICキー15個まで登録可能な標準機能の「MI‐03」、暗証番号・ICキーの登録をそれぞれ1個としたシンプル機能の「MI‐02」、暗証番号・ICキーに加え、フェリカでの開錠も可能にした「MI‐05」の3機種。「MI‐03」及び「MI‐05」は複数の解錠方法を持ち、暗証番号を忘れた際の対策にもなっている。
シーズンテック ICカードや携帯電話が「鍵」に
シーズンテック(名古屋市中区)の「シリンダーICロック」は、ICチップ入りの携帯電話やフェリカ、会社のIDカードなどを玄関キーとして利用するシステム。携帯電話や電車カードなどが「鍵」として使用でき、登録できるICチップは300枚。既存のシリンダー錠も併用可能。
装置は既存のシリンダーホールを利用してドアに直接取り付ける。穴開けなど加工の必要が無く原状復帰が可能なため、賃貸物件に適している。自動で施錠されるオートロックも搭載している。
実際の管理ではオーナーが既存の鍵をマスターキーとして保有し、管理会社はICのデータを保管。仲介業者やメンテナンス業者にはその都度専用のICカードを配布すれば、鍵の管理の手間は大幅に軽減される。
様々なオプションも用意。カードや携帯電話などの開錠履歴(年月日、登録ID)を自動保存するオプションを利用すれば、さらに確実な管理も可能。本体に保存される履歴は3000件で、データは本体のUSBポートとデータ・ターミナルから抽出する。パソコンにデータを移し、専用のソフトを用いた管理や履歴のプリントアウトもできる。
また無線ユニットを取り付ければ、専用のオートリモコンで開錠することができる。さらに「エントランスIC5000」を導入すれば、エントランスの自動ドアや宅配ボックスなどの利用も管理することができ、ビル全体の状況を容易に把握できる。