不動産トピックス

クローズアップ 高機能ガラスフィルム編

2011.09.05 11:12

 窓ガラスに貼るだけで様々な機能を発揮する高機能ガラスフィルム。時代のニーズや技術革新が進み、その種類も多岐にわたる。東日本大震災以降、急激に引き合いが強まっている遮熱フィルムやガラス飛散防止フィルム以外にも、斬新かつ有用性の高い製品が目白押しのガラスフィルムの最先端を紹介する。

藤正自販 電源を入れると透明にチェンジ アイデア次第で幅広い用途に対応
 「藤正自販」(東京都町田市)は、多機能型液晶フィルム「LCーF」を展開している。
 通常は白濁状態の同製品だが、通電することでフィルムが透明化。窓ガラスに貼ってブラインドにしたり、ガラス張りの会議室などでパーティションとして導入することが多いという。同社の小嶋氏に開発経緯を聞いた。
 「元々、自動車用に開発したのですが、オフィスや住宅で活用したいとの引き合いが強く、2年前から建物用に販売を開始しました。合わせガラス型の製品は存在していましたが、加工できないのが弱点。当製品は自由に意匠できるよう、曲面への加工、穴開け加工、切断加工が可能で、場所や必要性に応じて様々な用途が期待できます」
 同製品は簡単にガラスに貼り付けるだけで使用ができる。また、プロジェクター機材から映像を投影すれば、映像スクリーンとしても活用でき、液晶TVに引けを取らない高画質を堪能できるのも魅力のひとつだ。
 「オフィスや店舗などで映像広告を展開でき、新しい手法の販促活動が可能です。通常、プロジェクターはスクリーンの対面から映像を投射しますが、当製品はスクリーンの裏側から映像を投射できるため、店内から店外へ広告映像を流すことが可能です」(小嶋氏)

きもと 太陽と雨の力で埃や汚れを自然洗浄
 建物外観の美観を維持する窓清掃はビルの資産価値を保つためにも、重要なメンテナンス業務である。しかし、コスト面から専門清掃業者に頻繁に依頼できないというビルオーナーは多いのではないだろうか。そんな悩みを払拭するべく、機能性フィルムの総合メーカーであるきもと(東京都新宿区)は、光触媒作用による超親水性効果を生かし、フィルムの表面に付着した汚れを太陽光と雨によって自己洗浄する外貼り用セルフクリーニングフィルム「ラクリーン」を展開。窓ガラスなどにフィルムを貼り付ければ、ほぼ何もしないまま、長期間、表面を美しく保つことができる画期的な製品として注目を集めている。
 使用用途は幅広く、高層ビルやマンションなどの窓ガラスを始め、雨天時の視界確保が求められるゴルフカート、観覧車などのガラス・プラスチック素材をはじめ、高い耐候性が求められる屋外看板や標識など。同社の販売プロジェクトリーダーである二俣氏は、同製品の特徴をこう話す。
 「長期間、雨が降らない場合は、フィルムに散水すれば簡単に表面の汚れを除去できるため、清掃の手間や回数を抑えられ、ビル管理におけるランニングコストを大幅に抑えることができます」
 同様の効果をもたらす光触媒塗料も存在するが、塗料の場合は施工時にムラが出ることが多い。しかし、同製品はフィルムであり、施工時のムラは皆無。また、ガラスだけでなく、アクリル板やポリカーボネートなどのプラスチック板にも使用でき、同社の実曝試験において8年以上の性能を持続しており、耐久性も問題はない。

リンテック 高透明断熱フィルムで空調効率大幅アップ
 夏場の節電対策や震災時の窓ガラス破損による二次災害対策などを目的にして、現在、引き合いが急増しているウインドーフィルム。機能性ウインドーフィルムの国内大手メーカーである「リンテック」(東京都板橋区)は、そうした流れを受け、屋内の空調効率の向上に寄与する高透明断熱フィルムのラインアップを強化し、今年6月から新製品の販売を開始した。
 主な新製品は「ヒートカットHCNー70G」、「レフテルZC06T」。それぞれグリーン購入法で定められた熱貫流率5・9(W/m2K)未満や遮蔽係数0・7未満などの基準に適合しており、高い断熱性能を誇る。
 高透明断熱フィルム「ヒートカットHCNー70G」は独自の赤外線遮蔽コートにより、目に見えない近赤外線域を中心に日射を大幅に吸収することで日射透過率を抑制。窓ガラスに貼るだけで、冷房効率を向上させ、高い省エネ効果を発揮する。さらに、飛散防止対策性能や紫外線カット効果も付与し、安全・快適な室内環境づくりに貢献する。一方、「レフテルZC06T」はスパッタリング加工により、熱反射によって断熱効果を得るタイプ。高い可視光線透過率を維持しつつ、優れた断熱性能を発揮する。遠赤外線の反射率も高く、夏場の冷房効率だけでなく、冬場の暖房効率も向上させる。




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