不動産トピックス

今週の一冊

2011.09.12 11:10

土地の価格をも左右する地盤の性能

誰も知らない地盤の真実
著者:前 俊守
出版:幻冬舎メディアコンサルティング
発行:平成23年8月29日
価格:700円(税抜)

 3月に発生した東日本大震災は、東北地方のみならず、震源地から遠く離れた関東地方の各所でも、液状化現象などによる多くの被害をもたらした。そして今回の震災を経て、建築物の安全性を構成する要素の一つとして、その土地の地盤の状況が大きくクローズアップされることとなった。
 著者によると、地盤の性能は支持力・沈下量・耐震性・汚染度の4点で測ることができるという。当然、土地は立地条件や形状などによってその価格が大きく左右されることになるが、それらの表層的な評価だけではなく、地盤の性能を十分に考慮することによって、建築物の安全性の向上を図ることが可能であると著者は述べている。
 また、著者は自身が代表を務める地盤調査会社に、トラブルを抱えてしまった後の相談など、地盤の調査そのものの存在が知られていないために問題化してしまったケースが多いことを指摘している。本書では年代により異なる強度の地盤や、地盤改良による建物資産の価値向上策、施工後のトラブルを回避する建築のノウハウなど、地盤に関わるあらゆる問題やその解決策をカバーしている。震災を機に、ニーズの高まりに比例して地盤調査に関する企業は増加することが予測される。信頼できる業者を見極めるためにも、本書を活用することをおすすめしたい。




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