不動産トピックス

クローズアップ 緑化パネル編

2011.10.03 15:39

 環境問題への意識が高まる中、ビルに緑を取り入れる動きが加速している。しかし、従来の緑化工法は大掛かりな施工が必要となり、課題も多かった。今回、紹介するのは、緑化工法の課題を払拭し、簡単施工を実現する緑化パネルだ。

彩か インテリアに最適な造花パネル
 デザイン性の高いインテリア・ガーデニング用品全般を取り扱う「彩か」(東京都目黒区)は、屋内の壁面を緑で装飾できるGreen Wall Decor(グリーン・ウォール・デコ)」を10月1日から販売している。
 同製品は、発泡ウレタンが入った木製パネルに造花を接着したシンプルな構造。パネルの裏側にフックが付いており、壁に引っ掛けるだけで装着できる、絵画を壁に飾るような手軽な施工性が魅力だ。また、スペースを確保する必要がない上、造花のため、手入れも不要。害虫が発生する心配もない。メンテナンスいらずで、印象的な癒しの空間を生み出せる画期的な製品である。
 「無機質なイメージがあるオフィスビルを緑化する動きは活発になっており、エントランスやトイレに導入すればビルの価値向上にも貢献します」(企画広報課 課長 神子 隆宏氏)
 デザインは全部で10種類。オーソドックスな樹木の葉をあしらったものから、シダ類や花、果物、苔など、好みに合わせてデザインを選択できる。パネルの大きさは30cm×30cmと取り扱いやすく、様々なデザインのパネルを組み合わせて自由に空間を演出することができる。
 「意匠性が同製品の売りですが、造花部分は光触媒でコーティングされ、ホコリが付きづらく、有害物質や嫌な臭いを分解・除去し、クリーンな環境を提供します。今後はサイズの大型化や植物の種類の充実、季節感のあるパネルの提案をしていきたいです」(同氏)

モスワールド コケを使った屋上緑化で超軽量・無管理・低コスト実現
 都市の環境改善を目的に、屋上緑化を取り入れるオフィスビルや工場が増えている。そんな中、モスワールド(東京都中央区)は、超軽量・無管理・低コストを実現する苔(スナゴケ)を用いた屋上緑化「モスインティー・グロウ」を展開中だ。
 同製品は、不織布付き樹脂製立体ネットに保水基盤と苔を固定したシート状の超軽量緑化資材。屋上面に設置した断熱材の上に同製品を接着し、防風ネットで固定する。屋上面に穴を開けないので、漏水の心配はなく、簡単に施工できる。同社の代表取締役を務める古暮氏は「苔」の特性についてこう話す。
 「従来の屋上緑化工法では、土壌を整え、耐根シートや灌水装置を導入するため、総合的に考えると省エネ効果は非常に少ない。しかし、苔は大気中から水分や養分を吸収するため、土壌が必要ありません。また、灌水、施肥、刈り込み、除草など、一切の管理が必要ないため、緑化に伴うトータルコストの抑制を実現します。また、冬場でも苔は枯死しないため、一度施工すればほぼ張り替える必要はありません」
 現在は工場などの折板屋根への導入が中心だ。鉄骨2階建て、屋根面積1000㎡の工場に導入した場合のシミュレーションでは、CO2削減量は年間60トン、冷暖房費の年間削減コストは約520万円と試算。
 「CO2の削減量が売買可能な排出権取引の対象となっているため、施工費は約5年で償却でき、経済的なメリットも大きいです」(同氏)

日本ターフ&グリーン 駐車場緑化を促進する芝生パネル
 環境緑化事業を展開する日本ターフ&グリーン(東京都足立区)は、駐車場緑化を推進する芝生パネル「PGEパグ」の販売・施工を行っている。
 アスファルトやコンクリートに覆われた駐車場でも簡単に芝生化させることができる同製品。芝生保護材「パグベース」に5ヶ月以上養生した芝生を定着させ、50cm角の芝生パネルを形成。既存の舗装面をすべて剥がすことなく、排水のための穴を数カ所開け、その上から直接芝生パネルを敷き詰めていくだけなので、効率的な緑化増加が図れる。また、芝生保護材は再生ポリプロペリン樹脂を100%使用しているため、土壌汚染の心配もない地球環境へ配慮した素材である。
 「コンクリートを芝生で覆うことで、路面の蓄熱を抑え、照り返しを防止できるので、都市部で問題視されているヒートアイランド現象対策には最適です。また、無機質なビルの駐車場では、景観向上やヒーリング効果も期待でき、大型施設や工場では緑地面積として算入することができます。また、使用する芝は3種類から選べ、どれも駐車場に対応した丈夫な芝ばかりです。頻繁に自動車の出入りがあったり、芝生上でハンドルの切り返しを何度も行うと、劣化が早まりますが、当製品は芝の痛みが激しい部分だけパネルを入れ替えるだけで補修ができます」(代表取締役 茂出木氏)




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