不動産トピックス
クローズアップ オフィス家具転倒防止編
2011.10.24 11:51
東日本大震災から8カ月。未曾有の被害をもたらした大災害を忘れることがあってはならないが、発生直後に高まった防災への意識が薄れつつあるビルオーナーもいるのではないだろうか。大地震では思わぬ物が凶器に変わる。什器やキャビネットなどをしっかり固定し、「その時」に備えたい。
リンテック21 アンカーボルト不要で移動防止
屋内の地震対策(転倒・移動・落下防止)の専門メーカーとして各種製品の製造・販売を行うリンテック21(東京都品川区)は、現地調査にはじまりコンサルティングから取付け工事まで、総合的な屋内地震対策を提供している。
オフィス内では未だに転倒対策を講じていない複合プリンターやキャビネットなどが多く対策は急務だが、中でも複合プリンターはキャスター付きのため地震時に移動しやすい。重量もあるため壁を突き破って暴走する場合もあるといい、対策をおこたれば危険な状況をまねきかねない。
「リンクワイヤーストッパー」は複合プリンターのキャスター部にワイヤーを装着して床とつなぎ、地震時の揺れによる移動や転倒を防ぐ製品。床との固定は接着剤を使用するため、アンカーボルトなどを打ち込む必要もない。同社の製品は「両面接着方式」を採用しているが、これは壁や床に穴を開けることなく家具や什器などを固定出来るため、現状復帰も容易だ。
また同社では、阪神大震災時の地震波を使った震度6強の耐震確認試験を行い、これをクリアしたものを商品化しているという。この他、火災警報器の警報を携帯電話で受信できる機器の製造販売なども行っており、総合的な地震・防災対策も可能。東日本大震災以降、同社には各業種の企業から地震対策についての相談が増えているといい、本社ビルから全国の支店ビルまで企業を挙げた対策を実施した大手企業も少なくないという。実績と経験を活かした包括的提案を行えるのも、同社の強みだろう。
プロセブン 「敷くだけ」で耐震化するマット
プロセブン(大阪市天王寺区)が展開する「プロセブン耐震マット」シリーズは、什器や家具、電化製品などの底に貼り付けるだけで簡単に地震対策、転倒防止ができるマット。固体と液体の両方の性質を併せ持つ新素材ゲルの柔軟性と粘着力によりあらゆる揺れに追随し、震度7クラスまでの地震に対応している。
マットは厚さ約5mmと薄く、取付け後も目立たない。美観を損ねることもないため美術品や文化財などの固定にも設置されているという。貼るだけで簡単に取付けることができ、綺麗にはがすことができるため設置位置の微調整も可能。水洗いで繰り返し使用でき、はがした後のベタつきも残らない。米国難燃試験(UL―94規格)のV―2に適合した高い難燃性と、紫外線強度225w/m2で7日間でも変色劣化のない耐光性、さらにオフガス(VOC)分析試験にも合格し、健康被害の原因となる揮発性有害物質の発生もないなど耐震のみならず高い安全性を実現した。
オフィスや家庭での使用に適した「一般用」はブルータイプとクリアタイプの2色を用意。それぞれ重量40kgから100kgまで対応できる5製品、全10アイテムをラインアップしている。その他、テレビやパソコンなどの薄型ディスプレイに適した「テレビ・BDレコーダー用」、揺れの激しい船上での使用を想定し、3mまでの波に対応した「船舶用」なども展開。適応温度も75度からマイナス20度までと幅広く、様々なシーンで使用できそうだ。
荒川技研工業 信頼のワイヤー固定金具で実現
荒川技研工業(東京都渋谷区)は6月1日より「転倒防止ワイヤー」の販売を開始している。同社はワイヤー固定金具などの製造を国内で行い、全品検査・確認を実施することで創業以来高い品質性を保ち続けている。東日本大震災以降、同社の製品を利用して棚やラックなどの転倒防止対策を講じられないかという顧客からの要望が寄せられた結果、商品化が実現した。
転倒防止金具の設置をためらう最も大きな理由はインテリアのデザイン性を損ないたくないことが一因にあるというが、同製品は従来の転倒防止金具に比べ、シンプルで目立ちにくいためインテリアによくなじむことが大きな特長だ。オフィスや店舗のほか公共施設や住宅などと、幅広い建物においての導入が可能なほか、ワイヤー金具の長さ調節も可能なため、施工性にも優れている。
同社第二営業部部長の比護太一氏は、商品について次のように説明している。
「金具・ビス・付属ワイヤーを一組にしたパッケージのほかに、ピクチャーレールを用いるなどして、さまざまな顧客ニーズに応えるような、防災機能を含めた総合的な壁面の有効活用を提案もしています。現在も金具やワイヤーを活用したさまざまな防災方法を研究・開発しており、さらなる建物のバリューアップとなるような提案を目指しています」